表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
筆置き、またゆっくり歩みを進めて?私は信じてるよ……(話數版)  作者: 小説が書けない初心者
第二章-雪麟と出会う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/88

第二章15:執掌主持の乄

  彼女があの構えを見せて、太刀を握ったその瞬間、私はもう察していた!


  「おちつけおちつけおちつけ!!」


  雪鱗:『逝者は灰となり、生者は俗界に入り、世は常なり、鬼さえも泣く……与哇ヨワの破壊もまた然り……斬り尽くし…あるいは絶えよ!』


  言い終えたその刹那、彼女の体からまばゆいばかりの血色の光が溢れ出した!


  次の瞬間――太刀が柄から引き抜かれ!


  さらに力強く、振り下ろされた!


  重たき血色の斬撃が、遺跡の入り口めがけて飛び込んでいく!!!


  周囲の木々さえ、白黒に染まった!


  「な、なんだこの威力……」


  『ブシュ------』


  『ドゴォオオオオオ!!!!!!!!』


  遺跡は……本当に彼女にメチャクチャにされた……。


  私は、唖然とした。


  でもその衝撃に浸る間もなく、雪鱗が私の手を引き、遺跡の中へと一気に走り込んできた!


  ……


  !!!!!!!!!


  遺跡へと足を踏み入れたその瞬間、目の前の世界が、まるで別の姿に変貌した!


  青空は淡い紫に染まり、ときおり流れ星が横切っていく。


  そして、あの壮大な建築物たち……


  雪鱗:「詩欽、目を覚まして」


  声は聞こえるのに、姿は見えない。


  続いて、突然の浮遊感と、胃をひっくり返すような落下感が襲ってきた!


  反応する間もなく、私は目を見開き――


  見知らぬ空の下で目を覚ました時には、すでに空から落ちていた!


  「うわあああ、なんで私、空にいるの!?」


  雪鱗:「そこにいるわ!」


  彼女の声を追う間もなく、空中を飛ぶ小さな飛行艇が、ぴたりと私を受け止めた!!!


  でもバランスを崩し、激しく転げ落ち、あと一歩で飛行艇から落ちそうに!


  その刹那、雪鱗が素早く片手で、落ちかけた私の体を引き戻した!


  「はぁ……死ぬかと思った……ありがとう、雪鱗……」


  雪鱗はホッとしたように微笑んで、「礼には及ばないわ。感謝すべきなのは、今回の任務を依頼した私たちの仲間よ」


  彼女の指差す方を見やると――そこには、修行者らしき白衣の男が一人、静かに立っていた。


  *……まさか本当に、私たちを雇った理由は、殺して財宝を奪うことじゃなかった……?*


  白衣の男:「忘川嬢、この武の心得もない娘を連れてきた理由は、一体何をお考えで?」


  疑念に満ちたその問いに対し――忘川嬢こと忘川雪鱗は、淡々と応えた。


  「彼女の体質は、普通じゃない」


  (⊙_◎)


  体質って、何!?血が他人より厚いとか!?


  すると、操縦していた白衣の男の動きが、わずかに鈍くなり――


  視線が私に向けられた瞬間、まるで信じられないものを見たかのような表情に変わった!


  だが、それもわずか二息の間。


  すぐにその視線は逸らされ、飛行艇の操縦に集中し直した。


  白衣の男:「忘川嬢、彼女……どこで見つけたのです?」


  雪鱗:「それは、大して重要じゃないわ」


  「ふふ……」


  白衣の男:「ならば、深くは問いますまい……」


  白衣の男:「我が名は章延、どうか良き協力関係となりますように、柯緋嬢」


  !?!?


  急に態度変わった!?いや、それより――


  なんで私の名字知ってるの!?


  (柯緋詩欽、がフルネーム)


  ……たぶん、雪鱗が教えたんだろうね?私自身は言った覚えないけど。


  「う、うん……こちらこそ、よろしく……よろしくね……」


  私の返事を聞くと、章延はもう何も言わず、静かに飛行艇を操っていた。


  正直、この人めっちゃ変じゃない?


  見た目クール系なのに、感情読めないし、でも時折すごく不自然な反応をする。


  遺跡の空はどんよりしてて、ときおり魔獣の叫びや、修行者の飛剣の音が聞こえてくる。


  それに――私がここに連れてこられた“理由”って、何なの?


  私の何が使えるっていうの?


  そんな疑問を抱えていた時――雪鱗が先に口を開いた。


  「さっき遺跡に入った瞬間、時空の乱れを感じたんじゃない?」


  「うん…よく分かんないけど……空が淡い紫で、ちょっとピンクっぽくて……流れ星もあった……」


  「で、下には大きな建物がたくさん……今まで見たことないような魔球があった」


  雪鱗:「魔球…そして淡紫の空……」


  雪鱗:「思い出したわ、あなたはさっき、誤って魔界に入り込んだのね」


  ……


  !?!?!?!?


  「魔界!?この世界、そんなのもあるの!?」


  雪鱗:「あなた、どこの世界から来たの……?魔界も魔王も普通にあるわよ。けど、私たち修行者と魔王城は関係がないから、互いに干渉しないの」


  その時――今まで黙っていた章延が、突然口を開いた。


  「我らには老祖がいる。いずれ戦があろうと、我らは決して敗れん」


  その言葉を最後に、皆が静まり返った。


  ――地面には、魔獣の死骸が転がっている。


  「この魔獣たちも、魔界の?」


  雪鱗:「この遺跡は魔界の支部の一つ、“廃域”と呼ばれているの。魔獣は魔素に呼ばれて生まれた存在で、魔界の統治下にはないわ」


  雪鱗:「本当の魔界の住人は、知性を持っている」


  「じゃあ、修行者の敵は……魔界なの?」


  雪鱗:「違うわ。敵は【天道】よ」


  「天道って……例の、機嫌損ねたら雷でぶっ叩いてくるっていうあの――」


  雪鱗:「言い過ぎよ。頭上三尺に仙明ありって、聞いたことない?」


  「はいはい……」


  雪鱗:「噂では、天道は人の姿をとって現れ、出会った者に“死の予言”を残すって」


  ……あの予言!私、生き返った時に聞いた!


  雪鱗:「その顔……まさか、あなたも渡されたの?」


  「……雪鱗も?」


  雪鱗:「あるわ。興味ある?」


  「ある!めっちゃ聞きたい!」


  雪鱗:「【お前は自由なる身を失うだろう】」


  ………………


  「それが……死の予言?本当に天道が言ったの?」


  雪鱗:「間違いないわ。あの目を見れば分かる。あれは、老祖たちすら凌駕する存在よ」


  「じゃあ……その予言通りなら、誰かが雪鱗を閉じ込めることになるの?」


  雪鱗:「あるかもね?あなた、私を強く見すぎてるのよ。強い人なんて、上には上がいるわ」


  そう言われると、私はつい興味が湧いてしまった:「じゃあ、雪鱗の“境界”って?」


  雪鱗:「私は、形塑境よ」


  「……強い?」


  雪鱗は、一息だけ私をじっと見て――


  雪鱗:「ふふ……修行の境界は、魂啓、魄聚、形塑、神錬、骨鋳、肉盈、魄定、そして真還と続くわ」


  (メモ中)


  *……なんか、世界観でかすぎない?いずれ破綻しそう……*


  そう思いながらも、私は何の才能もない、ただの人間。


  修行も、魔法も、呪文も――まったく無縁の存在……


  「っていうか、私はあなたたちにとって、何の役に立つの?」


  その言葉に、二人とも――なぜか沈黙した。


  (ó~ò)?


  雪鱗:「だって、あなたは特別だから」


  逃がさないぞ!


  「どこが特別なの?」


  雪鱗:「うーん……自覚ないの?変な力、持ってるって」


  「え、ある?」


  呼吸器がおかしいくらいで、特に普通だと思うけど?


  雪鱗:「あなたのその力は、【乄】よ。無罪衆の執掌主持たちが持っている力」


  無罪衆……?


  あっ!思い出した!


  書物で読んだことある、あれは邪教だ!


  “悪を根とせず、罪もまた無い”と謳う十二の執掌主持――


  この世界最大の脅威で、魔王軍の六魔将よりも強大と言われていた!


  そしてその力の根源が、万の術を超える一つの力――【乄】


  【乄】があれば、ただの非力な人間でも、万国を脅かす存在になれる!


  「私の中に……乄が?」


  「ってことは、私、執掌主持!?」


  ……


  雪鱗:「執掌主持は皆、狂人よ。あなたがそうだとは思えない」


  「じゃあなんで、この力が……?」


  雪鱗:「だって、あなたは“神造者”でしょ?」


  「……」


  本当に……そんなに分かりやすいの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ