第二章14:遺跡への突入
〈明後日はすぐにやって来た〉
最も恐れていた瞬間が、ついに訪れてしまった……
だって、あんなに強い雪鱗と一緒に行動するなんて、またとんでもない厄介ごとに巻き込まれるかもしれないじゃないか?
でも、もう断れない。だって、約束しちゃったんだから……
だから、私たちは集まった。
雪鱗はすでに現場にいたが、彼女が言っていたもう一人の人物はなかなか来なかった。
雪鱗:「焦ることはない。その人は宗門の修仙者だから、宗門の一団と一緒に動かねばならないの。だから少し遅れるのよ……」
え、なんか雪鱗のほうが焦ってる?
それにその人って修仙者……
ってことは、私たちがこの修仙者の遺跡に入れるのも、その人のおかげってわけ?
雪鱗:「後で気をつけてね。」
「危ないの?まさか修仙者たちが私たちを襲ってくるとか?」
この世界では、皆それぞれの世界で生きている。凡人は俗世で、修仙者は修仙界で、魔法使いは冒険者ギルドで……
だから、私たちのような放浪者は、普通なら修仙界に勝手に入っちゃいけない存在。
雪鱗:「違うわ。あそこは一年に一度しか開かれないの。だから、宝を取りこぼさないようにって意味よ。」
なるほど、そういう「気をつけて」ね……
「了解。」
でも、ちょっと気になってることがある。
修仙者の遺跡って、一体どういうところなんだろう?峻厳な山々?それとも地下ダンジョン?
……
『シュオーーーー』
突然、遠くの空に一糸乱れぬ飛剣の光が現れた!
雪鱗:「詩欽、息を止めて!」
指示通りにすぐ実行……
修仙者たちは異変に気づかず、そのまま剣に乗って飛行し、前方の遺跡の入口に降り立った。
はあーーー
雪鱗:「まだ息しないで――」
慌てて両手で口を塞ぐ!
危なかった、もう少しでバレるところだった。
でも目をその修仙者たちに向けると、一人の長老っぽい人物が、こちらの隠れている場所をじっと見つめていた!
だからさらに身を低くして、バレないように祈るしかなかった。
その時、空から一人の老人が降りてきた――どうやらかなりの重要人物のようで、宗門の長老たちがその姿を見た瞬間、全員が深々と頭を下げた。
この人、一体誰!?
長老たち:「使者様にご挨拶申し上げます!」
えっ、あの人って“使者”なの?
使者:「礼は要らぬ。弟子たちよ、よく聞け。これよりこの老夫が遺跡の入口を開ける。」
使者:「ただし、順位は魔獣の討伐数で決まる――人を殺すことで得点を稼ぐなど、断じて許さん。」
使者:「この老夫は、試練を口実に不正を働く弟子が何よりも許せん。だからこそ、諸宗の長老には弟子たちの安否を常に注視してもらう。もし一人でも消えたら……その凶手の命脈を老夫が断ってくれる!」
長老たち:「心得ております!すでに弟子たちの身には監視術を施しており、見逃しはありません!」
その言葉に、何やらやましいことを考えていた弟子たちも口を閉じ、魔獣の討伐に集中するしかなくなった。
私はこの一連の流れを見て思った。修仙界の使者って、案外まともな人なのね?
だって、修仙アニメとかではいつも「弟子が死のうがどうでもいい」ってノリだったから。
そして隣を見ると――雪鱗の顔に苦悩の色が浮かんでいた。
あれ? どうしてそんなに困ってるの? あの協力してくれる修仙者が来てないから?
あるいは、その修仙者が監視されてて自由に動けないとか?
どっちにしても、今回の任務はあんまり順調じゃなさそう……
雪鱗:「あの老人、倒しにくいな……」
この子、やっぱりすごい(呆)
……
しばらくして、使者が再び口を開いた。
使者:「ではこれより、老夫が遺跡の転送門を開く。周囲の者は数歩下がれ!」
そう言うと、使者は手を前に差し出し、何やら不明な呪文を唱え始めた。
すると、彼の手から青い光が放たれ始めた!
試練の転送門も、回転と変化を伴いながら開いていく――
使者:「遺跡は開かれた。長老たちは弟子たちを中に入れてよいぞ。」
三息も経たぬうちに、修仙者たちは一斉に遺跡の中へと突入していった。
長老や使者はその場に留まり、何やら談笑し始め……
さらには、仙術で遺跡の入口を封鎖してしまった!!!
え、私たちは!?
あの修仙者、本当に来ないの!?監視されてるせい? うそでしょ!?
この貴重な青春が、そんなむなしい形で終わるなんてやだーーー
雪鱗:「長老たちとあの強者が遠くへ行ったわ。今ならこっそり中に入って、その修仙者と合流できる。」
「でも雪鱗、あの遺跡、封印されてるよ?」
雪鱗:「大丈夫。」
彼女は立ち上がり、遺跡の前へと歩いていった。
その構えと、太刀を握る手を見た瞬間、私はもう予感してしまった。
「おちついて!ほんとに冷静になって!!!」
雪鱗:『逝者は灰となり、生者は俗界に入り、世は常なり、鬼さえも泣く……与哇の破壊もまた然り……斬り尽くし…あるいは絶えよ!』
そう言い終わるや否や、彼女の体から強烈で眩しい血の光が放たれた!
次の瞬間、太刀を鞘から引き抜き――
そして一気に、重く鋭く、振り下ろした!
血のような斬撃が、一直線に遺跡の入口へ突き刺さる!!!
周囲の木々までもが、白黒に変わっていく……
「なんだよこれ…この威力、ヤバすぎ……」
『ズシャアーーーーッ』
『ドガァァァァァァァン!!!!!!!!』
本当に遺跡の封印、ぶっ壊されちゃったよ……
私はあまりのことに唖然とした。
でも、その衝撃から立ち直る間もなく、雪鱗が私の手を掴み、強引に遺跡の中へと走り出した!
そして、その瞬間――
使者と長老たちが、空間を裂いて入口の前に現れた!!
長老:「結界が……破られた!」
使者は地面に残された血の気配を拾い上げ、静かに観察しながら言った。
使者:「“世恐仙明”の神言を使ったか……侵入者は並みの存在ではない。決して侮ってはならん……」
長老:「どうしましょう!?今すぐ遺跡に入り、弟子たちを襲わせぬように……」
使者:「お前たち、弟子全員に監視術を施してあるのだろう?今すぐ確認してみろ。侵入者の顔を見つけるのだ……老夫の予感では、相手はかなりの手練……」
それを聞いた長老たちは冷や汗をダラダラ流しながら顔を見合わせた。
使者:「お前たち、弟子全員に監視を付けたのではなかったのかッ!!!」
怒声とともに、圧倒的な威圧感が一気に爆発し、長老たちは呼吸さえ困難に!
長老たち:「申訳ありません、使者様……弟子たちが遺跡に入ったその瞬間から、彼らの行動が一切感知できなくなったのです……」
使者:「あり得ん……あそこに遮断結界などあったはずが……」
使者:「……違う、あの結界は……誰かが仕込んだ……」
長老たち:「まさか、あの侵入者の仕業……!?」
『!!!!』
使者は怒りに満ちて地を踏みしめた!
使者:「全員、ただちに遺跡内に突入し、弟子たちの安全を確保せよ!!」
長老たち:「我々が……ですか……?」
使者:「老夫が自ら行かねばならぬとでも言うのか?」
長老たち:「はっ!ただちに参ります!!」