第二章13:呪印術
男:「貴様ァ!人を殺しておいて、まだ口答えする気か!俺がその出来損ないの親の代わりに教えてやる!」
少女:「……ふん。私の父母を侮辱した罪、重いよ?」
男の怒りに対し、少女はゆっくりと刀を抜いた。「……勿体ないね。こんなにも生きる価値があったのに。」
男はその言葉を無視し、両手で印を結び、遠隔から少女の首元に呪印を刻みつけた!
*藤家少主の父は呪術師だった!*
たった二呼吸も経たないうちに、蛇のような黒い呪印が首元から少女の全身へと広がっていった!
男:「ははははっ!この呪印にかかれば、もう自力で動くことはできねえ!そして十呼吸以内に『毒蛇』が脳を食い破って、お前は死ぬ!」
少女:「十呼吸以内……か。」
男:「ははははっ!人殺しのクズは、苦しみの中で死ぬがいい!うちの藤兒と一緒に地獄に落ちろ!」
少女:「他に手は?」
男:「へっ、負け惜しみを言うな!そんなもん突破できる奴なんざ――」
……
少女は大きく息を吸い、いきなり――ぶふっ、と強く息を吐いた!
その瞬間、体に刻まれた呪印が息とともに排出され、霧散した!
男:「なっ……!?」
少女:「ごめんね、十呼吸もかからなかったみたい。」
男:「このっ……今のはただの基礎呪法だ!本当の地獄ってもんを見せてやるよ!」
男はさらに速い速度で印を結び始める。その背後には、巨大な「死門」が現れた!
男:「死門――魂を喰らえ!」
言葉と同時に、死門から黒い巨大な爪が飛び出し、少女に襲いかかる!
少女は身軽に跳んで避けようとした――
だが、足元が「十手の泥沼」のような黒泥に捕まれていた!足が動かせない!避けられない!
それでも、少女はその状況を前にしても、まったく動じない表情を見せた。
静かに刀の柄を握りしめる。
少女:「残念だったね。手を封じなかったのが……命取りだよ。」
少女の小さなため息とともに――
天地を揺るがすほどの斬撃が、彼女から放たれた!!
殺気を纏った刃気が、まっすぐに男を襲う!
男:「な、なにィィィィィィィィッ――――」
『ゴオオオオオォォォォォン!!!!』
まるで核爆発のごとく、男とその周囲の建物すらも粉々に断ち割った!!!
……すべてが静寂に包まれた。男の姿は跡形もなく、建物も廃墟と化していた。
そして、私の心には――大きな「?」が浮かんでいた。
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「え?」
嘘でしょ……こんなに大きくて、こんなに繁栄してる黎城で……
法律も、取締りも、何もないの???
*残る可能性は一つだけ。黎城の法律すら、彼女を恐れている……?*
思考を深める間もなく、彼女――少女が再び私の前に歩み寄ってきた。
少女:「これで片付いたわね。じゃあ、話しましょうか?」
「……な、なにを話すの?」
『ハハハハハハハハハハ!』
突然、嘲笑う声が響いた!
見ると、なんと藤孟の父が灰塵の中から再び姿を現していた!
その全身には、呪印が張り巡らされている。まるで経脈のように密集し、複雑で細長い。
そして呪印が、まばゆい火光を放ち始めた!
男:「ハハハハ!仙明よ、我を助けたまえ、我を選びたまえ!」
「な、なんでまた復活してるの!?」
少女:「呪印師が第一階を極めると、こういった特殊能力を持つことがあるのよ。」
男:「黙れェェェ!てめえら、藤兒のために死ねェェェ!」
少女がこちらを向いた。「気にしないで、続きを話しましょう?」
「いやいやいや、今あの人、必殺技準備中だよ!?」
言い終える前に、男はすでに宙に浮かんでいた!
両手には、燃え盛る火炎!
両掌を合わせると、その火炎はますます肥大化し――
少女はまったく気にせず、「あっ、ごめん……自己紹介を忘れてたわ。」
「今はやめようよ――」
少女:「私は雪鱗。ただの流浪修士よ。」
男の火球が完成し、私たちに向けて放たれそうになる!
「雪鱗さん、マジで死ぬってば――」
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!』
火球が迫る音が大きくなる!熱が襲いかかる!
雪鱗:「あなた、名前は?」
「ひいいぃぃ助けて助けてえええ!」
『ブシブシィィィィィィィィィ――』
雪鱗:「名前は?」
「うわああああ!詩欽です!詩欽って言います!!」
『ブシブシィィィィィィィィィィ――――』
雪鱗:「一つ、任務を共にしてくれない?」
『ブシブシィィィィィィィィィィィィ!!!!!!』
「もうなんでもいい!なんでも付き合いますぅぅぅ(;∀;)」
……
その一言を聞いて、雪鱗は微笑んだ。
彼女の周囲に光粒のような霊子が舞い、彼女自身が盾へと変化し、炎の直撃を防いだ!
『ドオオオオオオオォォォン!!!!』
火球が炸裂!!だが、霊子の盾のおかげで私たちは無傷だった!
「雪鱗さん、あなた……修仙者なの!?」
雪鱗:「そうよ。」
男:「そんな馬鹿な!どうしてお前が生きているッ!」
彼の声を無視して、雪鱗は太刀に霊気を注ぎ込む――
そして、容赦なく振り下ろした!
その刃気は男を貫通し――
なんと空の雲さえも断ち割った!
……
……
雪鱗:「――終わったわ。」
「……」
なんか慣れてきたなぁ、この人の桁外れの火力と、もしかして全部通常攻撃な感じ……
雪鱗は口元を手で隠して驚いた。「うぅ、ちょっとやりすぎたかも……!」
「今更ッ!?!?」
雪鱗:「すぐに冒険者か修士たちが来て捕まりそうだから……逃げながら話さない?」
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そうして、私たちは逃げながら話を続けた――
「その、任務って何?」
雪鱗:「一人の護衛をしてほしいの。あなたにもできると思う。」
「あなた、あんなに強いのに護衛なんて?」
雪鱗:「一時的な護衛よ。目的は遺跡の調査。そして報酬も用意してある。」
「遺跡?」
雪鱗:「そう。そこは各宗門の凝気期の弟子たちが修練と宝物を奪い合う場所。年に一度しか開かれない。」
「……あなたの修為は?」
雪鱗:「秘密よ。」
「ふーん。でも凝気期相手にあなたが護衛なんて……必要?」
雪鱗:「実はそこに、“本来あってはならない超巨大な機縁”が出たって情報が入ったの。」
「機縁って何?」
雪鱗:「私もまだわからない。でも明後日、集合して向かう予定。」
……ちょっと待って!
「私ってそんなに強そうに見える!? まさか身代わりにする気じゃ!?」
雪鱗:「ただの凝気期の遺跡よ、そこまではしないわ。あなたの役割は……明後日話すね。」