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幻実

現実に打ち砕かれる理想。



『誰か』から言わしてもらえば、行き過ぎた妄想の果ての結果だ。



現実を見て、理想との差に絶望を味わう。



理想は自分本位な思考に過ぎない。



ここに居る彼も。



現実と理想とを混同させた一人だ。



(憧れていた職場・・・。これが・・・?本当に俺が思い描いていた仕事だったか?)



二十八の歳にやっとの思いで就いた仕事。



全人類の生活を担うエネルギーを護る。



それは、人々の安寧を維持する仕事。



エネルギー施設を護る為、体を張って外敵を排除する事を望んでいた。



しかし、それは理想だ。



エネルギーを稼働させる施設の巡回警備。



物は言いよう。



外で立っているだけだ。



これが現実。



それが駄目な仕事という訳では無い。



初勤務。



つまりまだ、本社での口答指示、説明を受けた段階の話。



現実を一歩歩いただけだ。




この世界は平和そのものだ。



全人類が言うだろう。



無限のエネルギーに有り余る資源。犯罪件数極僅か。



彼らにとって、不安要素のない事を平和と呼ぶのならこの世界は平和なのだろう。



真っ白で汚れの無いビル群。交通の利便性から何もかもがハイテクな世の中。



抑圧される事が無ければ、ストレスを抱える事は無い。



それも一つの平和で良いのだろう。



しかし、それを全世界と呼ぶにはあまりに世間が小さすぎる。



彼は知っているのだ。



『この世界』以外で生きているから。



人に尋ねたことがある。



どこに全世界のエネルギーを担う施設があるのか、と。



答えられた人間はゼロだった。



どちらでも良い事なんだろう。



自分達が平和であれば、その他の事象なんてものは。



どこかの森を抜け、どこかの山の麓にトンネルが一つある。



そのトンネルを車で走らせて数分。



出口の先に村がある。



そう、それが『この世界』の外側だ。



電車はもちろん、ビルも無い。



あるのは大きな畑と、川、そして木造の古民家。



自然豊かな古き良き風情のある場所。



言い方を変えればちょうド田舎になる。



ただそんな田舎には似つかわしくない近未来的な真っ白い施設がある。



エネルギー施設。



そして、謎の球体型タンク。



誰も知らないそんな場所。



住んでいる村民は知っている。



彼もその一人。



ここに居る唯一の子供。



と言ってももう成人の歳だが。



このタンクがここにあるのは、爆発や暴走と言った万が一に備えてのリスク管理。



つまり、外側で生きる村民は生きようが死のうがどうでも良いのだ。



自然界で生息する動物と同じなのだ。



そう言った意味で、彼にとってこの施設はとても身近で、重要な存在だ。



彼の知識は、『この世界』と『外側』を行き来した故の産物だ。



田舎には小学校も中学校も高校も無い。



『この世界』での当たり前や知識を『この世界』で学んだ。



まあ、そんな知識。



外側に帰ってきた彼にとって、何の意味も持ちはしないが。






「あの?」



「なんだ新川(あらかわ)



「どこに向かっているんですか?」



軽自動車の助手席に座って三十分。



宛先も知らず、先程先輩となった人物と二人きり。こんな気まずい状況の中だったから、彼はそう切り出

した。



「指示あったろ。エネルギー施設だ」



「・・・でもこの先って、山、ですよね」



新川は知らない。



トンネルの先に人が住む土地がある事を。



「そうだな」



「・・・」



車に乗る前、先輩は新川と挨拶し、堂道(どうどう)と名乗った。



堂道先輩はこの部署の最年長者で、リーダーらしい。


ガタいがラグビー選手のようで、筋肉隆々。厳つい顔に反論出来る後輩は少ない。



盾でも突こうものなら、新川のひょろひょろの身体は、片手で軽く握り潰されることだろう。



堂道先輩が迷い無く走るその道は、車をガタガタと左右上下に揺らす。



初めての経験と衝撃でストレスだった。



ストレスの無い平坦な舗装されたアスファルトが当たり前な『この世界』との差。



新川は不安を感じていた。



道中、道路から立ち入り禁止の看板が増えていた。



昔から「入るな!」と耳が痛くなるまで警告されていたその場所に難なく入る堂道先輩。



辺境の土地で体に何か施されてしまうのでは無いかと。



それこそ人体実験、拷問の様な。



堂道さんの体躯と顔も相まって尚動悸がする。



彼はちらっと堂道先輩を一瞥した後ーー



(吐きそう)



と、手で口を押さえるのだった。



ただ、車は進む。



初めての感覚や経験。



体調不良を訴え様としたが、森の中。



まだ車の中の方がマシだ。



それにーーー。



「最初は良くあることだ」



堂道先輩も体験したという過去に、自分は『変じゃないんだ』と安心し、深呼吸で心を整える。



「もうすぐ着くぞ」



車を走らせて小一時間。



堂道先輩がそう言った先に、トンネルがあった。



新川は眉間に皺を寄せ、それを確認。



堂道さんは車のスピードを緩め、ゆっくり走る。



トンネルの入り口から出口までは一キロ程。



ゆっくりのスピードでも出口に着くのは一瞬だった。



彼の心境状況によるモノだ。



「よし。着いたぞ」



トンネルを抜けて直ぐの所にしか駐車場は無い。



なぜならここは、人の出入りが限りなくゼロに近く、車を所有する人間の居ない、辺境の超ド田舎だから

だ。



「ここから施設までは五分の歩きだ。着いてきてくれ」



「は、はい」



新川はキョロキョロと、堂道先輩はいつも歩いている道を歩くだけ。






川の水が畑を豊かにする。



彼は畑を管理し、汗をかく。



高校を出て、いの一番に実感したのは、自給自足の素晴らしさだった。



高校へ通っていた頃、生きている理由を探る人が多数いた。



『何故』彼らは生きる理由を追い求めていたのか。答えは簡単だった。



『生きる』に必要な『当たり前』を意識していないからだった。



生きるとは、食べる事、寝る事、もっと大々的に言えば、健康を保つ事だ。



それらを当然と意識せず、身体に起こるエラーを人は病気と名付け、回復は医者丸投げで、表面的な安心を得た。



つまり『この世界』の人間は、自分の過ちを軽視し、問題視しない。



根本的な解決も出来ず、のうのうと老いの日々を重ねていくだけ。



日常に感謝をしない。



生きること自体が大変だと、奇跡的なシステムだとは誰も気づけない。



それでは、生きる意味を探す事は難しいだろう。



灯台もと暗し、とでも言うべきか。



彼は自分で全てをこなす。



家族は消えた。地震の影響で家は崩壊寸前。畑作業には腰が折れる。



それでも生きている。否、生かされている。



我々が自然を利用、コントロールするなど笑止。



そうではない。



自然が我々の存在を許容してくれている。



でなければ、我々は自然に叩きのめされている。



自然に自然への感謝が止まらなかった。



彼は、生きる理由を知っている。



どれ程の苦悩なのか、誰のおかげなのかを知っている。



『当たり前』で無く、『自然』のおかげと知ったからこそ、当然の様に自給自足を行い、そこに感謝するのだ。





施設に到着し、新たに仲間になる方達と挨拶を終えた。



そしてまた新川と堂道さんは歩いていた。



今回歩く目的としては、村民への挨拶回りだ。



「挨拶が返ってこなくてもこっちはしっかりお辞儀をして挨拶をするんだぞ」



「挨拶が返ってこない?僕たちは嫌われてたりするんですか?」



「当然だ。我々の一方的な方針で施設を置かせて頂いているんだからな」



「一方的?では、彼らはここにエネルギー施設を置くことに反対していたと言うことですか?」



「そうだ」



「全人類を支える施設ですよね?光栄では無いんですか?」



「彼らは自給自足の生活を好み、それ以上は求めていない。エネルギーはもちろん、お金さえ貰っていない、というか必要が無い。彼らからしたら邪魔以上の何物でも無い施設なんだよ」



「自分勝手ですね」



「ん?いやいや。自分勝手なのは俺たちの方だよ」



「どういうことですか?」



「何故このような僻地にエネルギーを作ったと思う?」



「それは・・・、今主要都市には置く場所が無いから?」



「地下で進める計画もあったんだ。其処は重要じゃ無い」



「・・・分かりません」



「リスク管理だよ」



「リスク管理?」



「そうだ。強大なエネルギー。万が一爆発でもしたらどうなると思う?」



「都市が吹っ飛ぶ?」



「そうだ。だからここの辺境の地に置いてある。常に人の目が届く場所で、人間が整備された土地」



「つまり、ここに居る彼らが犠牲になってもどうも思わない、と?」



「そうだ」



「でも・・・少数より、大多数を守る方が当然重要ですよね?」



「どうだろうな。彼らはエネルギーなんて使用しなくても幸せそうだ。俺は、エネルギー自体無いことが全人類の幸せだと思うよ。まあ、今更な話だ。俺もエネルギーに肖っている分、な。だから、最低限、断りを入れてから、だ。そして、最大限エネルギーの暴走が無い様、俺たちは仕事を務めなければならない」



「そう、ですか」


・・・どちらにも都合はある。ただ都合を押し通した方が責任を追う義務があるんだよ。まあ、ただ一人、例外は居るけどな」



「例外?」

「そう。ここの村民で唯一の若者だ」






堂道さんの言う通り、この村を周り十四件。



挨拶を新川に返したものは居なかった。



それを人は無視という。



「次で最後だ」



新川は憔悴している。



辺境の地という未知の不安、村民から直球の嫌悪と憎悪を向けられると言うダブルパンチ。



初めて人に対してストレスを感じた。



今にも辞めたい気分だった。



しかしそんな気持ちを踏み留めたのは、最後に挨拶回りをしたオンボロの一軒家に一人暮らしをするまだ二十歳の彼だった。



「よ、久しぶりだな。羊助(ようすけ)



堂道さんが初めて気さくに手を上げ、挨拶をした。それだけで分かる彼との距離感。



新川はそれを見て少し落ち着いた。



「堂道さん。半年ぶりくらいですね?重役になってフットワークが重くなったんですか?」



「忙しいんだよ、色々と」



「それで、こちらの方は?」



羊助は新川の目を見た。



「今日入った新人。新川君だ。挨拶回りに来たんだ」



「ああ、そうですか。お勤めご苦労様です」



「あ、よろしくお願致します。新川 (まこと)です」



地川 羊助(ちかわ ようすけ)です。よろしくお願いします」



真新しいというか、珍しいものを見るような目。羊助には何度も覚えのある光景だった。



そして、その何人もの顔を見なくなっていった。



「珍しいですか?」



「え?あ、はい。今まで挨拶を返してくれた人は居なかったので」



「まあ、そうですよね。ただ理由も分かってやってください」



「そう、ですね。でもじゃあ何故あなたは・・・」



「別に貴方本人に恨みは無いですし。いや、別段エネルギー施設に恨みも無いですけど。・・・ここに仕事をしに来た、だけ、でしょう?自分はあれがあったとて生活に支障は無いですし、好きにやっていただけたらと思います。あなた方の『命が大事』と言う理由も分かりますから」



「羊助・・・君の意見としてはどうなんでしょうか?」



「どちらの意見も理解出来る。それが自分の意見ですよ。人それぞれ事情があるのでしょうから。まあ、言い方を変えれば其処に関心が無いとも捉えられるでしょうね。爆発したらそんときはそん時。自然はいつだって不規則ですから、それには逆らえない。いつも私は生かされてるだけなんですよ」



「ま、こういう変な奴だが、いい奴だ。よろしくやってくれ」



「俺、変なこと言ってます???」



「お前はいつも変なことしか言っていない」



「あれぇ?}



日常で人と話す機会の少なさが彼の世界観を強めてしまった様だ。



一人という時間を過ごす価値観は、感情を思考で整理し、自らを客観視、考え詰めた結果を持つ。



良く言えば、自分の意思を持つ者。



悪く言えば、自分の世界に閉じ籠もる者。



誰にも理解はされない。



それも分かっているから、別段押しうる事も無い。



自分の意見は強く、自分の正義ではあるが、皆にとって正しい事では無いと思考を致したから。



「それで、ストレスとかは感じないんですか?」



「なんでです?」



「いや、見知らぬ人と、勝手な施設があって」



「さっき言ったような意見が全てですけど。理由を変えるなら、ストレス感じてて良いことありますか?俺、嫌なんですよね。自分がイライラしたり怒ったりして回りも同じ雰囲気にさせるの。別段外傷はないけれど、確実に心に傷は負うし、また誰かイライラして自分に当たられても困るし。相手も自分も傷ついて、誰も得しませんし。誰かに当たったら誰かがまた誰かに当たって、堂々巡り、デフレスパイラルじゃないですか。それで人が死ぬこともあるみたいですし。平和とか言いつつ、それって全人類殺人鬼の地獄の世の中になってオワコンですよ」



「じゃあ吸機に頼るって感じですか?」



「吸機?・・・それは初めて聞いた名前ですけど。僕は元々、ストレスを感じる事はほぼほぼ無いなぁ・・・。自分の思い通りにならないことなんて当たり前ですし、ルールに縛られてそれを正義にしていたらそりゃあ、ルールから逸脱した人間に腹も立ちますよね。俺には自分ルールも、誰かへの要望も、期待も、価値も見出してないですから。それよりも、だったら自分がどうするべきかを先に考えたいですね。相手は変えられなくとも自分は柔軟に対応できるんだから」



「おい、羊助。また始まってんぞ」



「あ!すみません!ちょっと自分の意見を語ろうとするとどうも言葉が増えてしまって、分かりづらいですよね。とりあえず、自分はストレスとか、苛立ちとかは感じません」



「そう、なんですね」



新川はその熱量というか、彼の持っている意思の強さに憧れのあの人の姿を思い出す。



いつの間にか、放心状態だった。



ストレスも忘れ、ただ淡々と彼の話を聞いている。



新川が彼の意思と自分の意思をを比べた時、村民の事と言い、仕事へのメンタルと言い、いや、今も、自分の思慮の浅さ、情けなさが自分を蝕んだ。






「どうだ?面白い奴だっただろ?」



二人で施設に戻っている道中、堂道先輩は楽しそうにそう聞いた。



「え、あ、はい。・・・大人より、大人っぽかったと言うか。しっかり、してますね。自分を持っているのもそうですし」



彼にとって羊助の影響は大きかった。



考え方においても、生き方においても。



だからそんな時、ふと疑問に思う。



(俺って何のために生きてるんだ?)



ただそんな自分を現実に返すのは、金銭的理由と、現実的労働だ。



否、そんなものは、疑問も精神的な問題も直視しない様にするための方便か。






自然の言動は予測不能。けれど、誘因は人にあると、羊助は考える。助

「あ・・・地震だ」



家に一人。畳で寝転がっていると、結構揺れる。最近、頻発する地震。



自然は思考する機会を多く与えてくれる。



大きな地震に付随して、山が崩れて、土砂が流れればこの生活は不可能だ。



いつも通りの日常。それはやはり自然が味方していてこその日常。



当たり前の上には、自然が成り立っている。



いつ崩壊するかも分からないけれど、地震が起きて、それでもなお、いつも通りに過ごさせて頂ける土地には本当に頭が上がらない。



「ありがとうございます」



口からポロッと不意に出た呟きだった。



「自然ってのは人間を深く考慮した、大きく寛大な意思みたいだな・・・」



地震が収まった後、彼は畳を撫で、足を見てから立ち上がった。



「?」



不意に耳元を何かが遮った。



いや、耳というには、音が無い。



聞くというか、感覚というか。



そもそも幻聴の可能性だってある。



しかし、心には残っている。


苦しい・・・助けて・・・)



か細い声が。



いや、だとしてどうすればいいのだか。



周囲に人っ子一人居ない。居るはずが無い。僻地中の僻地だ、ここは。



羊助は土間から外へ出て、頼りのない声を探す。気づけば空は夕焼け色に染まっている。



そんな空を見上げて数秒。



また、声の在処を探し出す。



(助けて・・・)



「聞こえる・・・」



耳を澄ますが、耳からは聞こえないのだ。



「あら?住民さん、こんにちは」



ただ別の声は耳に届く。



見覚えの無い二人組だった。



随分と汚れた格好で、森から現れた。



何故誰も居ないはずの山から人間が出てくるのか、疑問はあるが、それよりも今は声の主が重要だ。



誰かが苦しんでいる。助けを呼ぶだけで、自分が行動する理由は十二分にある。



「こんにちは。ごめんなさい、俺、急いでるので」



「あら、引き留めてごめんなさい。どこかいくのかしら?」



羊介より少し年齢の高そうな男性と女性の二人組。男の人は愛想良く笑顔を見せるが目が笑っていない。



目を合わせられない。



もう一人の女性の方は、綺麗な桜色の長髪を耳に賭け、ピンで留めている。一端冷たそうな表情も、厳しそうなつり上がった瞳も、本性を隠している男よりもずっといい。



いや、発する言葉遣いもその声色も雰囲気も、彼にとっては優しさに見受けられた。



だから、足を止めて少し話したそうにする女性の方を向く。



「声が聞こえたので、外に出たんです」



「へぇ?なんて声?」



「苦しそうで、救いを求めるか細い声でした」



「どこから聞こえたの?」



「分からないんです。耳ではなく心の方に直接届いたような」



「ははは。ただの幻聴じゃないのかい?」



男は人の真剣を小馬鹿にしたように笑う。



思った通り、上っ面から漏れ出る本性は良いモノでは無い。



別段それがどうと言うことは無いが。



その男がそう生きたいだけ、生きているだけ、存在しているだけだ。誰にどう思われようと、彼がそうしたいのならそれを尊重するのが、当然の摂理だ。



「今日が初めて?」



「はい」



彼女は質問を続ける。



それは何か知っているかの様に、しかし悟られない様、緩まる表情を押さえながら。



「何か、知っているんですか?」



だから彼は真剣な眼差しでそう聞き返した。



「分からないわ。ただ、貴方の行動が気になっただけよ。私と同様、貴方が誰かを救いたい様な表情をしていたから」



「君のは妄想。僕達は現実だけどね」



「・・・そうね。本当に救いたい気持ちがあるのであれば、一週間後に施設で職場見学を行うから、来ると良いわ」



「ああ、良い。そして現実と妄想の区別をつけると尚良い。君が大人になる時間だ」



「いえ、必ず来て」



「分かりました。必ず」



羊助は彼女の目を見て決意した。


一週間後。



求める価値をまた一つ手に入れる為に。





声が収まったのは、彼女と別れた後だった。



一度冷静になって家に帰って来た。



声の主に彼女。



全てがなんだったのか。



一つ分かっているのは彼女があの施設と関係のある人だと言うことだ。



そし『救う』事に関係があると言うこと。



男は『人を』と言っていたが、彼女は何とは言わなかった。



それが、声の主を救うと言う事と関係があるのか。



考えてしまう。



今考えたとて何の解決もしない。



心に蟠りが残ってしまった。



どうにもすっきりしない。



けれど、どうにもこうにも、一週間後、と言う訳だ。



また明日、自分は自分の生きる為の仕事をしなければならない。



だから今日はもう眠りに着こう。

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