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壊れかけの断章

新しい明日へ

作者: 石見の人

柔らかな風が吹く丘の上

見守るように

包み込むように

丘の上に佇み続けた大きな大きな樹


春風に葉を揺らし

夏の日差しに木漏れ日を落とし

秋の気配に葉の色を変え

冬の訪れに雪化粧を纏う


柔らかな風が吹く丘の上

ずっと聞こえていた葉ずれの音も

丘の上の日向を切り取った優しい木陰も

空の青に映えた鮮やかな黄色い葉も

寒風に耐える力強い姿も

今はもう無く

丘の上には広がる空があるばかり


春風は遮られることなく吹き抜け

夏の日差しは余すことなく丘の上に降り注ぐ

秋の気配は空の高さに

冬の静寂は白く白く丘を覆う


高い高い空の下

丘の上に寝転びながら見上げる空と

葉ずれのように聞こえてくる怨嗟の声

遠目には影のようにも見える、地面に広がる血溜まり

日溜まりに和らぐ寒気の中、肌の色はきっと生気を薄れさせている

もうすぐ瞳の光も失うのだろう


今はただ穏やかな気分

凪いだ心と目の前に広がる青


やっとあの忌々しい樹を切り倒せることが出来た

誰が、いつからか、なんて分からない

だけど気づかないほどに少しずつ

まるで恩恵を与えるように蚕食していく様は

気づいてしまえば無視できなかった

長い長い年月をかけ

やっとここまでたどり着いた


皆は私を憎むのだろう

それでいい

強い感情は、明日へと生きる力になる

樹の恩恵は失われるけど

もう気づかないうちに蝕まれることもなくなるのだから

私はここで終わるけど

皆なら、きっと明日を越えていけるから

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