かあさんは月、流れ星チルドレン
おほし様とおほし様がけっこんし、
子どもをさずかりました。
小さな小さな小さな子どもです。
子どもはいろんなことがきになります。
『かあさん、あの赤いほしはなあに?』
『あれは、太陽よ。太陽さんは、暖かくしてくれるけど、近づいてしまうと燃えちゃうから近づいてはダメよ。』
『かあさん、あのくろいのは?』
『あれは、ブラックホールよ。ブラックホールさんは、吸い込まれたらたいへん。もう、ブラックホールさんのお腹の中でしかいきていけないの。』
『えー、ママとお別れはいやだよー。えーん、えーん。』
子どもたちはいろいろなことが気になります。
ある日、おほしのかあさんは、お医者さんにいきます。青いお顔のおほしのお医者さんです。
おほしのかあさんはそこでかなしいじじつをしりました。
『あなたのお子さんはもう大きくなりません。いずれは、ブラックホールに飲み込まれるかもしれません。太陽に巻き込まれるかもしれません。』
おほしのかあさんはワンワン泣きました。
子どもは大きくならず、いつか離れ離れになってしまう。
『どうにかならないのでしょうか、せんせい。』
『お子さんが後はどう生きたいかです。』
『ああ、かわいそうなぼうや。いっそ、一緒にブラックホールに飲み込まれたい。いっそ、太陽に焼き付くされたいわ。』
おほしは水分がカラカラになるまで泣きました。
泣きすぎて真っ白になりました。
『離れ離れにはなりますが、一つだけ生き残る可能性があります。』
『それはなんでしょう。』
生きてしあわせになってくれさえすればいいとおもいました。
元気ならまたいつか会えるはずだから。
『私のほしでは、飛び込んできたら、流れ星と言って光りながら落ちていくおほしの子どもがたくさんいます。また、私のほしでは流れ星に願うとその願いが叶うと言われています。』
『つまり、地球先生の中に入り流れ星になる、という事ですか。』
『はい。稀に流れ星として入ってきて運良く地表に落ちることがあります。隕石と呼ばれています。』
『そうするとどうなりますか?』
『お子さんくらいの大きさなら流れ星で消えちゃう事はないでしょう。』
『わかりました。よろしくお願いします。』
子どもが流れ星になる日。
『ママ、僕を産んでくれてありがとう。地球さんのところに行くよ。ママ、ずっとずっと大好きだよ。』
白くなったおほしかあさんは子どもを抱きしめます。
『ああぼうや。ぼうや、たっしゃでね。ずっとずっとあいしてるわ。』
『さあ行きましょう。』
地球先生に向かう子ども。
『ぼうや!』
おほしかあさんはエンエンと声をあげて泣きます。涙はもう出ません。
『ママ、ママ泣かないで。ずっとずっと見守っていてね。』
子どもはゆうかんでした。
地球に飛び込みました。
キラリと光る流れ星になって。
そうしておほしかあさんはずっとずっと地球の方を見守ることにしました。
太陽に照らされて、おほしかあさんは地球の暗い夜を照らし続けながらずっとずっとぼうやを見守っていました。