表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~樋本華蓮編~
94/201

VS京香

「その口……閉じた方が良さそうね」


 バン、と乾いた音が響き渡った。

 同時に煙がたなびき、京香の顔が見えなくなる。

 瑠奈を一発で倒した、炎の弾丸。

 至近距離な分、さっきよりも威力は高い。

 ……しかし。


「……無駄だって」


 少しずつ晴れていく煙の中で、京香は呆れたように言った。


「ぐっ……反射鏡……!」


 わたしの指から放たれた炎の弾丸は、京香の身には届いていなかった。

 速すぎてはっきりとは見えなかったが、何が起きたのかは明白である。

 京香の鏡魔法に、反射されたのだ。

 炎の弾丸が貫いたのは、京香ではなくわたし自身。

 自分が撃った弾丸は、確かに自分が纏っている炎に呑み込まれて消えた。


「お前の魔法なら……ウチは簡単に反射できる。華蓮が『(エース)』なら、ウチはそれに勝てる『2』って感じ。おとなしくそこで見守ってなよ、妹の活躍をさ」

「ふざけるのも……いい加減にしなさいよ!」

「……あのねぇ、ウチだってイラついているんだけど」


 声を荒げるわたしに対して、京香はギロリと睨んで言った。


「あの魔王……光の魔法少女をぶつけたのに、ウチの鏡を割りに歯向かってくるなんて。おかげでふたりとも鏡の世界に追いやるしかなかった」


 頬の切り傷を撫でながら、京香は恨めしそうに言った。


「それじゃ、その傷は……やっぱり芽衣の風魔法で……!?」


 頬に切り傷をつけられた、京香の不機嫌そうな顔を思い出す。


「そっか……おかしいと思ったのよね。せっかく分断したのに、芽衣と華奏まで鏡の世界に来たのはそういう理由……ふん、あんたじゃ力不足だったってことね」

「……は? お前になら負けないから問題ないんだけど」


 京香の声が低くなった。

 お互いの感情が高ぶり、空気が張り詰めているのが肌でわかる。

 どうしようかと迷っていると、京香の方が口を開いた。


「それに……解せないこともある。華蓮……お前たち、随分早く駆けつけてきたわよね。どうやってここを嗅ぎ付けたわけ?」

「!」


 そうか……京香は、知らないんだ。

 アストラルホールから発信されたと思われる、文字化けしたコメント……ここで出会った、フードを被った魔法少女……それらの情報があったから、わたしたちはここに辿り着くことができた。

 そうじゃなかったら、今頃華奏を探して元の世界を彷徨っていたかもしれない。

 こんなに早くミラージュを追い詰めることができたのは、運よく噛み合ったからだ。


「へえ……あんたにとって、こんなにわたしたちが早く来たのは計算外だったってことね……!」

「……お前になら負けないから問題ないって言ったでしょ。もうちょっと時間があれば、あの妹も完全に木偶の坊にできたって話よ」

「なっ!」

「ったく……るなちじゃ時間稼ぎもできやしない。ほんと……弱いんだから」

「……!」


 瑠奈がわたしの前に立ちはだかった理由が、今はっきりとわかった。

 京香の指示でそうしていた……それはわかっていたが、明確な理由があったのだ。

 京香が、華奏を完璧にコントロールして操れるようになるまで……時間稼ぎがしたかったのだ。

 と、いうことは。

 きっとまだ、京香は華奏を完璧に操ることはできていない。

 だから、華奏の力を完全に引き出すことはできていないんだ。

 もし、わたしたちがここに来るのが遅れていたら。

 そう考えると、ゾッとする。

 紅京香――こいつは、瑠奈やほかの魔法少女とは比べ物にならない。

 華奏を道具にして、芽衣を討伐しようとしている張本人。

 わたしにとって、絶対に倒さなければならない『敵』だ。


「だったら……!」


 両手を拡げて、魔力を溜める。

 京香の鏡魔法では、わたしを操ることはできていない。

 京香の魔力だって、無限ではないのだ。

 だとすれば、反射魔法だって無敵のはずがない。

 そこに、きっと突破口はある。


「京香ぁ……これでも……返せるかしら!?」


 巨大な炎の球体が、真っ赤に燃え上がる。

 わたしの炎魔法では、最強級の火力だ。


「火祭りシリーズ……其の肆(クライマックス)!」


 両手を京香に向け、叫んだ。


「『キャンプ……ファイヤー!』」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 流石に炎弾が弾かれるのは想像しやすいですが、魔力切れ狙えるほど差があるのか。熱も操れるのならいくらでも出来そうなのですけども・・。 [気になる点] いまだにモアと麻子が出てこないのは・・ま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ