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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~樋本華蓮編~
88/200

二階の攻防②

(もうちょっと……!)


 青白い光を炎で追いかけながら、徐々に瑠奈を追い詰めていく。

 瑠奈だって、いつまでもあの速度で躱し続けることはできないはず。

 雷の魔力を使っているからこそのあのスピード。

 いつかは燃料切れになるはずだ。

 しかし時間が惜しい。

 そう思い、必死に瑠奈が纏う青白い閃光を追い続けた。

 そのことに必死になっていたからだろう。

 上空に注意が向かなかった。


(……暗い?)


 元々薄暗い部屋だったが、さっきよりも暗くなっている。

 瑠奈の姿も見えにくい。


(……まさか)


 バッと上を見上げる。


(な、なにあれ……雨雲?)


 ここは室内だ。

 それなのに、高い天井にもくもくと黒い雲が拡がっている。 


(いや、あれは……!)


 天井を覆っていた雷雲が、カッと光を放った。


「『雷・霆・万・鈞』!」

「んな……!」


 落雷――

 激しい轟音と共に、雷が落ちてきた。


(何よこれ……十分災害級だっつーの!)


 室内なのに雷が落ちるって……どういう魔法よ!

 これでBランク!?

 よくもSランクを災害(わるもの)呼ばわりできるものだ。

 瑠奈の雷魔法も大概である。


「『どんど焼き』ぃ!」


 炎の壁を、真上に展開する。

 地響きを立てながら魔法がぶつかり合う衝撃に、思わず目を瞑りそうになる。

 さっきまでの電撃よりも、遥かに強い。

 こっちも手加減できない。

 炎の壁で上空から降り注ぐ雷を防ぐが、腕が痺れる。


(ぐ……できるだけ魔力は温存したいのに……!)


 数十秒に渡って、次々と雷が落ち続ける。

 それでも、わたしの炎の壁を雷が突き抜けることは無かった。


「これでもダメ……ですか」


 遠くで、瑠奈が息を荒くしているのが見えた。


「今のが、わたしの最大魔法だったんですけどね」


 肩で息をしている瑠奈が、疲弊しているのは明らかだった。

 魔法を使うには体力を要する。

 あれだけの魔法だ、当然瑠奈の身体には相当の負荷がかかっているはず。

 しかし、瑠奈の目は死んでいない。

 まだまだ時間稼ぎするつもりらしい。


「はぁ、はぁ……十分でしょ。雷鳴轟かせて、この世の終わりみたいな光景作ってたわよあんた」

「でも、あなたは倒せなかった」

「……そうね。なら、負けを認めてわたしをここから出してくれる?」

「まさか……そんなこと……」


 ――ズ ン


「!!??」

「上……!?」


 わたしも瑠奈も、一瞬上を向いた。

 間違いない。

 今の地響きは、上から聞こえた。

 つまり、三階で何かが起きたのだ。


(上の階でも戦いが……? まさか、芽衣も鏡の世界に呑み込まれたってこと!?)


 嫌な予感がする。

 芽衣の相手ができるとしたら……今、上にいるのは……京香?


「ちょっ……何よ、今の音は!」


 問い詰めるが、瑠奈の表情も驚いているように見えた。


(……!? 今の音は、瑠奈にとっても予想外ってこと……?)


「……っ、どけぇ!」


 わたしは、炎を纏いながら階段に向かって走り始めた。


「……! 『電光石化』!」


 青白い閃光が走る。


「また消えたっ……だったら、無視して先に進むまでよ!」

「『電光雷轟』!」

「うぅ!?」


 バチンと衝撃が走り、身体が麻痺して硬直する。


「い、行かせません……あなたは……!」

「瑠奈ぁ……!」


(だめだ、無視できる相手じゃない! 何か方法は……!)


 雷の魔法少女。

 最速の魔法少女。

 最初にホテルで出会ったときは、こんなに厄介な相手とは思わなかったのに……!


「……あっ」


 最初に出会ったとき……あのとき、わたしは……


(そうだ……これなら!)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔力感知能力に優れている華蓮が気づけないほどに圧されるとは思っていませんでしたが、さて何を閃いたのか・・。 [気になる点] 疲労困憊な状態でボス戦どうするんでしょうか(震え) [一言] 久…
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