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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~樋本華蓮編~
82/201

謎の魔法少女①

「う~~……! また来ちゃったわね、こっちの世界に」


 大きく背伸びをして、辺りを見渡す。

 気持ちのいい空気と、穏やかな気候。

 洋風な街並みに、不思議な種別の生き物。

 相変わらず、ファンタジー感満載の世界だ。

 RPGの世界に飛び込んできたような感覚である。


「久しぶりに来たけど……ここは変わっていないみたいで安心したわ」


 魔王の件があるからもしやと思ったが、どうやら要らぬ心配だったようだ。

 街並みは平和そのもの。

 わたしたちを見て、襲ってくるような者もいない。

 モアが言ってたように、一般的には魔王の脅威はなくなったと知られているのだろう。

 ……そういえば、モアは今どこにいるのだろう?

 モストは、モアが芽衣を駆除すべき存在と判断したと言っていた。

 その言葉を信じるなら、モアもミラージュ側ということになる。

 しかし、今ではその言葉が真実かどうかも疑わしい。

 肝心のモアが、いなくなってから一度もわたしたちの前に姿を見せていないのだ。

 モアもここにいるとしたら、直接話して真意を確かめたいが……今は、華奏と麻子を探すのが優先である。


「そうですね……華蓮さんに燃やされかけたのを思い出します」

「どういう記憶よ!? むしろわたしのほうが……って、今はそんな昔話してる場合じゃないわ。どっちに行けばいいのかしら」

「うーん……せめて、麻子さんの魔力を感じ取れるといいのですが」

「こっちの世界のことはよく知らないもんね……とにかく、歩き回りながら魔力を感じる方角を探って……」


 そう言いながら、歩く方向を変えたときだった。


「わ!」


 全く意識していないところに軽い衝撃を受けて、思わず悲鳴が漏れる。

 しかし、なんてことはない。

 誰かにぶつかっただけだった。

 これは、急に方向転換したわたしが悪い。

 右斜め前に視線を落とすと、そこには小柄な人間が尻もちをついていた。

 ……いや、人間と言っていいのだろうか。

 ここはアストラルホール。

 わたしたちと同じような外見をしていても、同じ人間とは限らない。

 おまけにフードを深くかぶっていて、顔は全く見えない。

 だけど、この子……なんだか違和感が……


「いてて……」

「あっ……ご、ごめんね。大丈夫?」


 お尻を擦っているその子を起き上がらせようと、手を伸ばしたときだった。


「いやいや、こちらこそすまんかった。(うぬ)こそ、怪我はないか?」

「……へ?」


 見た目に反した口調に呆気にとられ、思わず返事に詰まる。

 うぬ、って言ったこの子?

 そんな呼ばれ方をされたのは初めてだ。

 高くて可愛らしい声をしているのに、まるで仙人のような話し方である。


「……む? どうかしたか?」

「あ、いや……だ、大丈夫、です」


 思わず丁寧語になってしまう。


「それならよかった……むむ?」

「え……なにか?」

「汝……この世界の者ではないな?」

「!」


 びくっとする。

 やっぱり、わたしたちは目をつけられていた?

 モアが、アストラルホールの住民は人間世界のこともよくわかっていると言ってたけど……モストの例がある。

 モストはわたしたちのことを完全に敵視している。

 もしかしたら、この子もわたしたちの敵かもしれない。


「えっと、わたしたちは、その……」


 正直に答えてよいものかわからずあたふたしていると、先にフードの子が口を開いた。


「最近は多いのう。この前も、大量の魔法少女がこちらに来たところじゃし……汝らも、同じなのじゃろう?」

「え!?」


 魔法少女というワードに、思わず過剰に反応してしまう。

 大量の魔法少女って……それはもう、ひとつしか考えられない。


「華蓮さん、それって……」


 後ろで隠れるように様子を窺っていた芽衣も口を開く。


「ええ……そういうことみたいね。やっぱりここにあるんだわ。ミラージュの本拠地が」


 ミラージュには、Bランクの魔法少女が三十人ほどいると言っていた。

 その魔法少女がこちらの世界で集結しているとすれば、話は早い。

 ミラージュを、まとめて潰すことができる。


「……なんじゃ? 汝らは、あやつらとは違うのか?」

「あ、いや違うと言うか……あなたは、一体……?」

「警戒することはないぞ。わしも汝らと同じ、魔法少女じゃからな」

「……!?」

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