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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~おわりの魔法少女編~
200/201

源芽衣は揺るがない

「……久しぶりぽんね、華蓮」

「……!! モ、モア……!?」


 ふわりとヴィラの頭に着地した、白くて丸い小さな姿。

 見間違えるはずもない。

 わたしたちが探していた、あのモアだ。

 ……なるほどね。そういうことなら合点がいく。

 モアは、ずっとヴィラと行動を共にしていたんだ。

 だから、わたしたちとの接触を避けていた。

 けれど、モアは……わたしが麻子の部屋に忍び込んで、夢の世界に潜り込むところを見た。

 きっと、ヴィラに言われたのだろう。

 麻子が怪しいと。

 そしてそこで、確信した。

 麻子が、夢属性の魔法少女だということを。


「そういうこと……モア、あんたでも邪魔するなら容赦しないわよ」


 ピストル型に構えた人差し指の先に、炎を灯す。


「ま、待つぽん華蓮。ぼくは何も、敵になったわけじゃないんだぽん」

「敵の味方は敵……って言うわよね?」

「……それを言うなら、敵の敵は味方じゃないかぽん?」

「つまり、そういうことでしょ」


 指先の炎が、大きくなる。

 しかし、次の瞬間。

 その指先に、冷水が浴びせられた。


「!? なっ……」

「樋本華蓮。わたしはあなたと戦争しに来たわけではありません……交渉をしに来たのです」

「い、今の……ヴィラ? ……水魔法……?」


 ヴィラから放たれた水が、わたしの炎魔法をかき消した。

 まるで、生きているかのように飛んできた流水。

 ……水? 水って……

 麻子と一緒に、脱出ゲームに行った日のことを思い出す。


「あ、あのときの水……! あんたの仕業だったのね!?」

「はい?」

「前にわたしに浴びせたでしょう!? あんたのせいで、酷い風邪ひいたんだから……!」

「ああ……あのときのことですか。それは失礼。あなたがひどい形相で追いかけて来たものですから……つい」

「つい、じゃないわよ……! この……!」


「ストップです!」


 芽衣が大声を上げた。

 思わず、わたしの手も止まる。


「時間が惜しいんですよ、今は。端的にお願いします」


 見るからに不機嫌そうな芽衣が、わたしとヴィラの間に割って入った。

 こうなると、わたしでも芽衣を止められない。


「そこのケモ耳女」

「け、ケモ耳女!?」

「あなたは華蓮さんに夢の世界に連れて行ってもらって、女神を連れ戻そうとしている……それでいいんですよね?」

「……は、話が早いですね。ええ。それさえ果たすことができれば、あなたたちに危害を加えたりはしません」

「はあ……それは困りましたね」

「は……? 困る? 何がです?」

「華蓮さん曰く、夢の世界に行くには麻子さんと添い寝しなくちゃいけないんですよ」

「……それが何か?」

「わたし、あなたが麻子さんと添い寝するだなんて……絶対に嫌なんですよね」


 そう芽衣が言った瞬間。

 ヴィラとモアを取り囲むように、禍々しい闇が拡がった。


(!? 何これ!?)


 わたしに向けられたものでもないのに、思わずのけ反ってしまう。

 真っ先に思い浮かんだのは、麻子の闇魔法。

 いやでも、そんなはずはない。

 芽衣は今や、魔力を失った一般人。

 もう、芽衣にそんな力は無い。

 だったらこれは……


「みいいいい!」


 そう叫びながら闇の中から現れたのは、芽衣が従わせている魔獣――ゴンザレス二世だった。


「っ……!? 力が……っ」

「め、芽衣!? 一体何をしたんだぽん……!」


 あっという間にヴィラとモアを闇で覆ったゴンザレス二世。

 ぼぼん、とヴィラとモアに体当たりをかましたゴンザレス二世は、そのまま芽衣の肩に降り立った。


「魔獣は人を無気力状態にする……あれ? 忘れちゃいました?」

「あなた……魔力を失ったくせに……こんな……!」

「失ったからこそ、ですよ。わたし、風使いから魔獣使いにシフトしたんです」


 ま、魔獣使いって……初めて聞いたけど。

 ゴンザレス二世を従えて仁王立ちする芽衣は、久しぶりに魔王の風格だった。


(お、恐ろしい子……ほんと、敵に回したらダメなタイプだわ……)


 立てなくなったヴィラとモアを見下ろす芽衣を見て、味方で良かったと心底思う。

 でも、それと同時にひとつ懸念が生まれた。

 ……わたしも麻子と一緒に添い寝したんだけど。

 それは、いいのよね?

久しぶりの更新となってしまい申し訳ありません!

読んでくださった方、ありがとうございます。

華蓮の戦いはもう少し続きます。これからも、よろしくお願いします。

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