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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~黒瀬麻子編~
19/200

メイルたんは発狂している

 芽衣が体育館を出て行ったあと、すっかり特訓のやる気をなくしたわたしは、モアにぎゃーぎゃー言われながらも家に帰ることにした。

 ひとりでトレーニングに勤しむなんてできるわけがない。

 またモアの魔法で足止めされてしまうかもと思ったが、リアルにわたしの体力は尽き果てていたので、モアも諦めて今日の特訓は終わったのであった。


「ぼくがいないときも体力づくりを忘れないように! 家でもできる特訓メニュー、これを毎日こなせば麻子も強い魔法少女になれるぽん!」


 とか言いながら帰り際にメモを渡されたが……わたしは受験生だと言っているだろう。

 わたしは帰り道の途中で買ったメロンパンとコーラの入ったコンビニ袋を机に放り出さすと、ベッドに寝転んだ。

 つ、疲れた……

 魔法の特訓だと言うのに、こんなに体力を使わされるとは。全く勘弁してほしい。

 今日も結局、わたしが魔法を使うことは一度もなかった。

 芽衣はあんなに魔法少女っぽい特訓をしているというのに……魔法少女として戦う気がないことは事実だが、魔法というものを使ってみたいのもまた事実である。

 わたしも魔法を使ったら、芽衣が巻き起こす風のような超常現象が見れるのだろうか。

 しばらくベッドの上でごろごろと転がりながら考えていたが、闇の魔法というものがどんなものなのか思いつかず、段々と考えることもバカらしくなってしまった。


「……はあ。なにやってんだわたし」


 わたしは癒しを求めて、ベッドから落ちないように手を伸ばし床に落ちているタブレットを拾い上げた。

 今日はメイルたんの配信がないことはわかっているが、過去のアーカイブでも見て癒されよう。

 そう思ってメイルたんのチャンネルを開いたのだが。


「……あれ?」


 メイルたんが、配信をしていた。

 おかしいな。今日は父親とクリスマスパーティをするって言ってたのに。

 疑問に思いながら配信を開くと、そこにはいつもどおりゲーム配信をしているメイルたんがいた。

 『クリスマスなんて関係ねえ! ぼっちだらけの大乱闘』という残念すぎる題名で、視聴者参加型の乱闘ゲームをしている。


『はい雑魚! 勝てる勝てる勝てるのです! あ、待って待って掴むなああああなんでなんでなんでおかしいよおおおおおおお』


 ボコられて発狂しているメイルたん。

 かわいい声で暴言を吐きながら、バンバンと机を叩く音が響いている。


『は? シンプルに下手? うるせえええええ黙れええええええええ』


 今度はコメントとバトルし始めた。

 うーん、通常モードのメイルたんはリアルで会ったときの芽衣と重なる部分があったのだけれど、発狂モードのメイルたんは……あのおとなしい芽衣が、こんな風に感情を爆発させる姿が想像できない。

 なんとかして、目の前でリアルに発狂している芽衣を拝みたいものである。

 ……じゃなくて。


「……なんで配信してるんだろ。芽衣のお父さん、急用でも入っちゃったのかな?」


 そのときのわたしは、少し疑問に思う程度で、特に何も思わなかった。

 わたしはいつのまにか、いつもと同じようにメイルたんの配信を楽しんでいたのであった。

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