華蓮の夢
世界が凍っている。
海も山も、建物も。
何もかもが凍り付いて、世界は終焉を迎えていた。
……ん? あれ?
なんだろう。
デジャブを感じる。
こんなこと、前にも言っていたような……
『あ、ああ……やっぱりだめだった』
……え?
誰?
どこからか、誰かの声がする。
『最悪のバッドエンドじゃん! やっぱり予知夢どおりになっちゃったかあ……』
予知夢……?
何? 何の話?
『やるしかないよね……『夢魔法』でこの結果を……『夢落ち』に……!』
夢魔法?
夢落ち?
一体なにを……
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「……華蓮。この戦い、どうなると思うぽん?」
「…………」
「……華蓮?」
「……………………」
「華蓮!!」
「……えっ? あれ?」
重たい瞼をゆっくりと持ち上げて、目を覚ます。
「おいおい、どうしたんだぽん? 左腕、そんなに痛むぽんか?」
「……モア。今わたし、寝てた?」
「はあ? 何を言っているんだぽん? たった今、麻子たちを見送ったところだろうぽん」
「……たった今……?」
言いようのない違和感に襲われて、寒気がする。
たった今?
いやいや、そんなはずない。
女神のところへ向かった麻子たちを見送ってから、一時間は経っていたはずだ。
それなのに、気が付いたら不思議な光景を見ていたような。
あれは、そう……
確か前にも……
「おーい! 聞いているのかぽん!?」
「あ、うん。麻子たちの戦いがどうなるのかって話でしょ。そりゃ、麻子が女神のこと畳んじゃうと……思う……けど……」
「……けど?」
「あ、いや……」
……やっぱりおかしい。
この会話、覚えがある。
気のせいなんかじゃない。
確かあのとき、わたしははじまりの魔法少女のことが書いてある本を読み始めて……
それから……
「……ねえモア。ここに書いてある、魔王は人の心の闇につけ込むって……どういう意味だと思う?」
「……急にどうしたんだぽん? さっきから、華蓮おかしいぽんよ?」
「……いや……これって、思ったよりやばいのかも」
「は、はあ?」
モアは困惑しているようだったが、わたしは確信していた。
「行かなくちゃ。モア、わたしたちも行くわよ」
「行くって……女神様のところに? いや、でも華蓮はここに残れって麻子が……」
「ううん、だめ。行かないと、取り返しのつかないことになりそうな気がする」
「ど、どういうことだぽん?」
「わからない。けど……」
「わたしが見た夢……どうも、ただの夢じゃないみたい」




