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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~女神編~
146/201

はじまりの魔法少女とは……?

「……そうぽんか。女神様が……」


 わたしから事の顛末を聞いたモアはただ一言、そうこぼしただけだった。

 女神のことを悪者のように言うわたしに、もっと反論してくるかと思ったのだが。

 難しい顔をしつつも、モアはわたしの話に口出ししてこなかった。


「何も……言わないんだ?」

「麻子の話が作り話じゃないってことぐらいわかるぽん。それに……思い当たることもある」

「思い当たること?」

「さっき、ぼくの方も厄介なことになってるって言ったぽんよね。実は麻子と別れてから、ぼくは女神様に会えていないんだぽん」

「え? 話をしてみるって言ってたのに……」

「そのつもりだったけどぽん。会うどころかぼくには今、禁足令が出ている。まるでお尋ね者扱いだぽん」

「ど、どういうこと……? 何やらかしたわけ?」

「こっちが聞きたいぽん! でも、今の話で大体の想像はつく。麻子や芽衣と仲良くしているぼくは、女神様にとって障害なんだろうぽん」

「……仲良くしてたっけ?」

「そこは疑問に思うところじゃないだろうぽん!」


 ぼんぼんぼんと頭の上で跳ねるモア。

 なんだかこの感覚ですら、懐かしく感じてしまう。


「それにしても、ぼくが女神様から離れている間に……女神様、そんなに思いつめていたぽんか……?」

「猫被ってたってことじゃないの……てか、モアは知らなかったの? 女神が他人の魔力を奪える、はじまりの魔法少女だってこと」

「……いや、そこは疑問に思うところだぽん。そんな魔法のことは知らなかったし、女神様がはじまりの魔法少女だなんて話はおかしな話だぽん」

「え? どういうこと?」

「はじまりの魔法少女は、アストラルホールで伝説として語り継がれている存在。かつて魔王を封印した、光の魔法少女のことなんだぽん」

「光の……え?」

「一年ほど前、『神樹』で話したことを覚えているぽん? あそこに魔王を封印した光の魔法少女こそが、はじまりの魔法少女なんだぽん」

「光の魔法少女が……? いや、でも……」


 全く想定外の話に、言葉が詰まる。

 ……どういうこと?

 わたしは、女神イコールはじまりの魔法少女だと思っていた。

 女神は百年以上生きているということだから、昔の魔法少女だとしても矛盾はない。

 しかし、光属性とはどういうことだろう?

 いくらなんでも、光の魔法少女だとしたら、わたしや華蓮がその魔力に気付きそうなものである。

 かつては光属性だった魔法少女が、今はその魔力を失っている?

 それとも、何もかもがデタラメで、間違っている?

 だとしたら、それこそはじまりの魔法少女って何……?

 かえって話がわからなくなってしまい、頭が混乱する。


「その……はじまりの魔法少女は、今どこに?」

「いやいや、もう百年以上も前の話だぽんよ? とっくの昔に亡くなっている。この世には、もういないんだぽん」

「そう……だよね」


 はじまりの魔法少女……魔王を封印した、光の魔法少女はもういない。

 当たり前の話だ。

 魔法少女は、普通の寿命の人間なのだから。

 それこそ、不死の呪いにでもかかっていない限り、生きているはずがない。

 でも、モストは確かに言っていた。

 はじまりの魔法少女が、世界を壊してしまう……と。


「……あーもう! 一体何なの!? モア、はじまりの魔法少女の写真とかないわけ?」

「写真? 写真は無いぽんが……当時の話を綴った書物の中に、はじまりの魔法少女の姿が描かれていたはずだぽん」


 そう言うと、モアは空間を歪ませ、古びた書物を取り出した。


「見せて!」

「ちょ、ちょっと待つぽん。えーっと……あ、あったあった。ほら、ここだぽん」



『――かくして、光の力を手にした少女は見事な連携を見せ、『闇の魔王』を封印することに成功した。人の心の『闇』につけ込む邪悪な魔王を絶命させるには至らなかったものの、その功績により、少女は願いを叶える権利を得た。魔法少女の活躍により、アストラルホールに訪れた平和……この平和が、永久に続くことを祈る』



 そう書かれたページには、こちらを見て笑顔で手を振る可愛らしい少女が描かれていた。

 この人が、はじまりの魔法少女――魔王を封印した、光の魔法少女。

 でも、この絵――違う。

 女神の顔とは明らかに違う。

 ここに描かれているはじまりの魔法少女は、どう見ても女神とは別人だ。

 絵とはいえ、これを女神と見るのは無理がある。


「いやでも、これって……」


 どことなく……

 あのメイド……

 ヴィラに似ているような……?

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― 新着の感想 ―
[良い点] あれそっち・・?と言うような方向に・・全然先が読めない・・ [一言] 良い意味でも想像を裏切られて私の頭の整理が付きませんが今後どのようになるのか・・ 私はこのようなコメントを残すことしか…
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