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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~女神編~
139/201

冬の始まり

 季節は冬。

 この時期になると雪が降り積もるのはいつものことだが、今年は例年よりもずっと積雪量が多い冬となった。

 なんでも、過去に例がないほどの強烈な寒波が日本を覆っているとかなんとか……

 そのせいで、普段じゃ雪が降らないような地域でも雪が積もっているらしい。

 地球温暖化とは一体なんだったのか。

 むしろ地球寒冷化。

 暑がりの羽衣姉にとっては良いかもしれないが、わたしにとっては嫌な季節だ。

 こんな天気じゃ、全く外出する気にならない。

 実際、ここ数日は最低限の外出以外、ずっとベッドと炬燵を往復して暮らしていた。

 こうも寒いと朝起きることすら難しいし、家から出るなんてまっぴらごめんである。

 学校に通う子どもたち……会社に出向く社会人の皆さん……お疲れ様です!

 わたしはもう、ここから出られそうにありません!

 そんなことを考えながら、パジャマ姿のまま更に深く炬燵に潜り込んだ。


(ふぁあ……ねむ……)


 大きな欠伸をしてから、特に理由もなくスマホをスワイプする。

 結局――あれから、何も起こらなかった。

 一応、わたしと芽衣と華蓮と羽衣姉……四人の魔法少女でグループを作り、チャットでやり取りはしていた。

 しかしそれも一か月ぐらいの話で、これといって進展も無く、徐々に会話も無くなっていった。

 というかこのチャットグループ、わたし以外の誰も自分から発言しようとしない。

 まあ、なんとなくこうなる予感はしていたけれど。

 今のわたしじゃ人のこと言えないが、このグループ、社交性皆無の集まりである。

 チャットの最後のトーク履歴は、もう一か月以上も前。

 そこからは雑談すら始まることもなく、すっかり使われなくなっていた。


(とはいえ……それも当たり前っちゃ当たり前か)


 スマホをベッドに放り投げ、炬燵に積んでいた過去問集を開く。

 何を隠そう、四人中三人は受験生。

 もう、間近に受験を控えている時期なのである。

 普通に考えて、この時期に呑気にチャットでお喋りしている場合ではない。

 今頃、華蓮と芽衣は必死に勉強している頃だろう。

 かくいうわたしも、去年に比べると真面目に勉強している方である。

 受験さえできれば合格できる……という思いに変わりは無いが、万が一のことがあると華蓮にどんな顔をされるかわからない。

 さすがに三浪して、華蓮に抜かれるようなことがあっては立ち直れない。

 一旦女神のことは忘れて、勉強に本腰を入れないと。


「あーあ。早くわたしも上京したいなあ。そうすれば、芽衣ちゃんにもいつでも会いに行けるのに……」


 解き飽きた過去問をこなしながら、くるくるとペン回し。

 集中すべきなのだが、どうにも眠気がとれない。

 これだけ外が寒い中、部屋を暖めてココアを飲んでいると、睡魔も容赦なく襲ってくる。

 眠い目を擦りながらなんとか耐えていたが、回しているシャーペンを何度も落とすようになっていた。


(ん~~~……ちょっと寝ようかな……)


 ぐーっと大きく背伸びをして、ベッドで横になろうとしたときだった。


 ピロン♪


 久々に聞くスマホの通知音。

 静まり返った部屋の中に響いた音に驚いて、一瞬身体が固まった。


(……誰?)


 ベッドにダイブして、スマホのロックを解除する。

 魔法少女グループのチャットに、通知マーク。

 わたし以外の人からの連絡なんて、珍しい。

 ……何の話だろう。

 少し緊張しながら、スマホをタップした。


「……え?」


 表示された内容を見て、眠気が吹き飛んだ。

 その通知の発信者は、白雪羽衣。


『見つけたよ、鏡の魔法少女』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 華蓮の夢で見た季節になってしまったのですか・・ にしても冬に事件が起きたらまた浪人するんじゃないですかね(震え それと遂に羽衣姉の経験が生きる時が!? [気になる点] まさか華蓮が鏡に対し…
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