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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~女神編~
134/201

樋本華蓮は気に入らない

「はあ? 何よそれ。気に入らないわね」


 わたしの話を聞いた華蓮は、フライドポテトを齧りながら毒づいた。

 羽衣姉との再会を果たしてから、数日後。

 わたしと華蓮は、すっかりお馴染みになった喫茶店に来ていた。

 雷の魔法少女から聞いた話に、氷の魔法少女の話……それから女神の話。

 華蓮に話しておきたい内容は盛りだくさんだ。

 そんなときは、この喫茶店に集まるのが恒例となっている。

 相変わらず客が少なくほぼ貸し切り状態だが、鼻をかすめるコーヒーの香りと静かなジャズBGMが心地良い。

 食事も美味しいし、なんでこの店こんなに客が少ないんだろうと思う。

 立地が悪すぎるせいだろうか?

 奥まったところにあるせいで、普通じゃ気が付かないもんなあ……


「気に入らないって……何が?」

「決まってるでしょ。女神のことよ」


 ストローを咥えてジンジャーエールを飲んだ華蓮は、ジト目でわたしを見つめてきた。


「そんなことを麻子に頼むのもそうだし、そんな話をカーテン越しにするのもそうだし。それに何より」


 頬杖をついたまま、吐き捨てるように言った。


「Sランクだけ呼んで、わたしをシカトしているのが気に入らない」

「ああ、ハブられたみたいで寂しかったってことね。よしよし」

「違うわよ! わたしだけ格下みたいに見られているのが気に入らないってこと!」

「それはまあ……華蓮だけランク違うし」

「は? 燃やすわよ?」

「冗談。冗談だって。でも、華蓮が聞いてもどうしようもない話だったしなあ」

「ふん。だったら尚更でしょ」

「え?」

「だって、それなら麻子だけ呼べばよかったって話じゃん。闇の魔法少女以外が聞いても、どうしようもない話なんだから。それなのに、女神はSランクの魔法少女三人を呼んだ。それってどうして?」

「……あ」

「百歩譲って芽衣はわかるわよ。あの子は闇魔法使えるし、ミラージュの件にも関わってるし。でも、氷の魔法少女を呼ぶ必要はないでしょ」

「…………」


 確かに、華蓮の言うとおりだ。

 不死の呪いを闇の魔法少女に相談したいのなら、芽衣や羽衣姉を呼ぶ必要は無い。

 それに女神は最初、モストによる騒動を謝罪していた。

 その話をするのなら、むしろ当事者である樋本姉妹を呼んで然るべきだろう。

 羽衣姉は、ミラージュの事件も、不死の呪いも……そのどちらにも関係ない。

 モアは、女神がSランクの魔法少女を呼んでいるって言ってたけど……実際には、羽衣姉はいないも同然だった。

 女神はどうして、わざわざ三人を呼んだんだろう。


「わたしはその女神とやら、気になるけどね。言っておくけど、悪い意味で、よ」

「うーん……」


 華蓮は、こういうところ鋭い。

 魔力を感じ取る力にも長けているし、敏感なのだろう。

 そんな華蓮に言われてしまうと、わたしもまた気になりだしてしまう。


「なんにせよ、気を許さないことね。魔法少女絡みで、もう散々痛い目見てるんだから」

「……はーい。華蓮は警戒心強いなあ。ま、そこがいいところなんだけど」

「何よ。含みがあるような言い方して」

「違う違う。華蓮ももうちょっと素直だったら、妹にしてあげるのに」

「キモい。ノーセンキューよ」


 べ、と舌を出してジンジャーエールを飲み始める華蓮。

 うーん、このクソガキ。

 東京で一緒に泊まったときは、服を掴んできたりして可愛げがあったんだけどなあ……


「……んで? 今日はこのあとどうするの? 帰る?」

「え? ちょっと待ってよ、まだ話終わってないんだけど」

「は? 今終わったじゃない」

「違う違う! もっと大事な話があるの!」

「えー……まだあるの? 何なのよ?」

「言っておくけど……覚悟して聞いた方が良いわよ。こっちの方が一大事なんだから」

「……何」


 華蓮の顔に緊張が走る。

 ストローを持つ手に力が入っているのがわかる。

 わたしは大きく深呼吸すると、意を決して言った。


「芽衣ちゃんが……! 羽衣姉に()られそうなの!」

「はあ?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久々の華蓮ですが、絶好調なツンツン具合で何より( 麻子が怪しんで華蓮が断言したりと、勘が冴えわたっておりますね・・それと芽衣はどう思ったのか。 [気になる点] ミラージュ残党のその後と、京…
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