TOKYOビッグフェス!①
八月二十五日。
東京。
最高気温は三十度を優に超えており、一歩外に出るだけで顔が熱くなるほどである。
それでも多くの人が出歩いているところを見ると、東京の活気はこの暑さでも関係ないようだ。
事実、今わたしの目の前では、たくさんの人が賑わっている。
大勢の人の話し声。
アップテンポなミュージック。
場を盛り上げる電子音。
たくさんの音が楽しげに響くこの場所で、わたしは椅子に座り、可愛いアニメキャラがプリントされたボトルでスポーツドリンクを飲んでいた。
「ふーっ……疲れたあ」
ここは、東京にあるビッグドーム。
今日ここでは、『TOKYOビッグフェス』という大規模なイベントが行われていた。
アニメやゲーム、漫画だけではなく、最近流行りのエンタメが一堂に会するビッグイベント。
芽衣の要望に沿い、わたしたちは四人でこのイベントに訪れていたのであった。
(こういうイベント、初めて来たけど……ほんと、凄い人ね。まあ、確かに楽しいけれど……この人混みは何とかならないのかしら。人多すぎでしょ)
「はあ……この人混みは何とかならないのかしら。今この人混みを全部燃やし尽くしたら、どうなるのかなあ……」
「……今の、わたしの気持ちを代弁したつもり? 麻子」
いつの間にか隣に座っていた麻子を横目で見る。
「そうだけど?」
「そうだけど? じゃ、ないわよ。んなこと思ってないっての」
「冗談冗談。もう足は大丈夫?」
「ん。座ってたらだいぶ楽になった」
「んじゃ行こ? もうすぐステージ始まるっぽい。そろそろ合流しないと」
「わかってる。ちょっと待って」
わたしはもう一度スポーツドリングを喉に流し込むと、ボトルをカバンに押し込んで立ち上がった。
読んでくださってありがとうございます。
少しの間、第二部から第三部へと続く繋ぎの話、東京旅行編を更新していきます!
シリアス皆無のため、ゆるゆると読んでいただければと思います。




