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魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~樋本華蓮編~
106/201

黒瀬麻子VS紅京香

「そう……だったんだ。モア、あんた裏切ったわけじゃなかったのね」


 業火を打ち消す麻子の姿を目で追いながら、わたしは小さく呟いた。


「だって、約束してたぽん?」

「約束?」

「芽衣のことを守れって。麻子に言われたぽん」

「……あ」


 そういえば。

 姿を消した芽衣が戻ってきたあの春の日……麻子が、モアにそんなことを言っていたっけ。

 あのとき冗談交じりに言っていたことを、モアは覚えていたんだ。


「そっか……うん、そうよね!」

「でも、想定外のことが多すぎて……華蓮には悪いことしたぽん。おまけにぼくたちの方が助けられる始末で……おかげで助かったぽん」


 モアにそう言われて、思わず目が潤んだ。

 わたしは激情に駆られて、京香の魔法を見誤った。

 でも、大技を使ったおかげで京香の魔力を削ぐことができたようだ。

 反射魔法に力を注がせたお陰で、麻子たちを閉じ込めていた空間が揺らめいたんだ。

 そう思うと、救われた気がした。


「……こうしちゃいられない!」


 わたしは泣きそうになる目を擦ると、叫んだ。


「麻子! わたしはどうすればいい!?」


 まだ、この場が解決したわけではない。

 京香はピンピンしているし、華奏と芽衣は戦っている。

 麻子との再会を喜ぶのは、この場を乗り切ってからだ。


「華蓮! あいつの後ろに見える大きな鏡……あれは鏡の世界と繋がっている! あそこから、芽衣ちゃんのところに行って!」

「えっ!?」

「こいつは……鏡の魔法少女の相手はわたしがする! だから行って!」

「で、でも……」

「早く! 妹ちゃんを止められるのは……華蓮だけだから」

「……!」


 今のわたしでは、おそらく京香には勝てない。

 あの鏡魔法を突破できない以上、麻子の足手まといになるだけだろう。

 だったら今、わたしがすべきことは……


「行かせるか……! 鏡が守るだけだと思うなよ!?」


 京香がわたしの行く手を遮ろうとするのが見えたが、麻子の方が一枚上手だった。


「無駄ね」


 麻子がぐるんと右手を振り回すと、黒い闇に覆われた一本道が出来た。

 部屋に充満する業火から守られた、魔法が効かない安全な通り道である。


「華蓮。ここからは時間との勝負よ。わたしがあの鏡女を抑え込むまで……華蓮がふたりを守ってあげて」

「……! わかった!」

「ま、待ちなさい!」


 京香の制止する声が聞こえてきたが、わたしは目の前に作られた暗い闇の中を縫うように、我武者羅に走った。

 そして、何かにぶつかったと思ったと同時に……また、あの浮遊感に襲われた。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「黒瀬麻子……! よくもやってくれたわね!?」


 睨みつける京香とは対照的に、麻子は冷静に息を吐いた。


「えーっと……初めまして、よね? 見たところ、同年代ってところかな」

「ああ? それがなに……?」

「いやあ、わたしが最高齢の魔法少女だって聞いてたからさ。やっぱそうだよね。魔法少女も増えて、皆がみんな中高生ってわけじゃないよね」

「……何が言いたいの?」

「ちょっと前のわたしだったら、同年代の魔法少女って歓迎していたと思うんだけど……あのふたりと一緒にいたせいかな、今はもうそんな気分じゃないのよ」


 禍々しい黒い闇が、ゆっくり麻子の身体から拡がっていく。


「可愛い子どもってさ……守ってやりたくなるのよね」

「はっ……あんまりウチのこと舐めないでよ。格上相手の戦い方ぐらい……弁えているつもりだから!」


 京香はそう言うと、自分自身を無数の鏡で囲った。


「『万華鏡』……合わせ鏡」


 京香がそう言った瞬間、周りを囲っていた鏡が次々と割れた。

 そして、キラキラと光る破片の中から現れたのは……京香の、無数の分身だった。


「これを全員……相手にできるものならしてみなさい」

「へー……鏡の魔法って、そんなこともできるんだ。ま……『ジョーカー』相手に通用するかどうか、試してみる?」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 麻子と敵対したときの絶望感はとても良いですね() 麻子に勝てる未来が見えないのもまたラスボスらしい・・。 [気になる点] そう言えば芽衣視点は予定ありますか?前も聞いたか不安ですが(汗) …
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