表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女は闇が深い  作者: アリス
魔法少女は闇が深い ~樋本華蓮編~
103/201

モストの目論見②

 麻子が女神城の独房で目を覚ましてから、数十分後。

 モアが言っていたとおり、モストがふたりのもとに姿を現した。


「これはこれは……あなたが闇の魔法少女、黒瀬麻子殿ですね。お初にお目にかかり、光栄です」

「……随分丁寧なご挨拶ね。そんな感じなら、早くここから出してほしいんだけど」

「それはできません。あなたはわたくしたちにとって、危険すぎる存在ですから」

「危険……ね」


(こいつがモスト……本当にモアとよく似たやつがいるのね。髭と声のせいで、雰囲気は全然違うけど……嫌なやつだってことは、よくわかるわ)


 モストは麻子とモアの顔を見比べると、満足そうに言った。


「モア殿……まさか本当に闇の魔法少女を捕らえてくるとは。感心しましたよ」

「ふん、本当にそう思っているんだか……とにかく、これで約束は果たしたぽん。モストの方こそ、光の魔法少女とはどうなっているんだぽん?」

「既に調べはついていますよ。やはり、わたくしの考えは間違っていなかった」

「! ……だったら、ぼくをその子のところへ連れて行くぽん」

「ええ。確かに、そういう話でしたね」


 モストはふわりとモアと麻子から離れると、言った。


「モア殿には感謝しています。あなたのおかげで、魔王討伐のハードルは大きく下がった。そして同時に、わたくしの目的をも果たすことができる」

「……はあ? 何を言っているんだぽん」

「いえいえ、何でもありません。それでは、早速行くとしましょうか」

「煮え切らない態度ぽんね……光の魔法少女には、もう話を通しているのかぽん?」

「いえ、それがまだなのですよ。でも大丈夫です。あれなら十分、操れる」

「なんだ、まだ……ん? モスト、今お前何て言ったぽん?」

「あの光の魔法少女なら、十分操ることができると言ったのですよ」

「操る? お前、何を……」


 モアが言葉を言い終わるとほぼ同時に、モストは言った。


「モア殿。あなたは……もう用済みなのです」


 モストがパチンと指を鳴らした、その瞬間。

 ぐにゃりと、空間が歪んだ。

 次の瞬間。

 モアと麻子は、歪んだ空間に呑み込まれた。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「……ホントによかったの~? あのモアって子も一緒に呑み込んじゃったけど」


 気だるそうな声を出しながら、モストの元に現れた少女。

 ミラージュの盟主……鏡の魔法少女、紅京香である。


「ええ、もちろんです。闇の魔法少女には、監視が必要ですからね」


 モストは、不敵に笑った。


「ふーん。でも、あの独房の鏡の世界を作ったから……監視なんか無くっても、あそこからは一生出れないと思うけど?」

「念には念を、ですよ。京香殿も、見張りがいた方が安心できるでしょう?」

「……ま、いっか。ウチもさすがに、鏡の洋館作りながら監視なんてできないし。んじゃ、モアには悪いけど頑張ってもらおっか~」

「ええ、問題ありません。彼は、働き者ですからね」


 モストはそう言うと、誰もいなくなった独房を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ