狩り 3
(なんていうか、これじゃだめよ)
いくら異世界転生に乗り気が無いからと言って、仲間が不潔なのは困る。
フィーラはカッと目を開いた。
「そうだ、服装を考えましょう」
(考えてみれば、ゲームのアタッチメントやダウンロードコンテンツは見逃さなかった。
着せ替えができるならガンガンやったし、アクセサリーもつけた。
現実ではおしゃれのおの字も分からず、ついていけなかったけどここはファンタジーの世界。
つまり、あたしの感性がまだ通用する可能性がある!?)
幸い、今まで見てきた人たちの服装はこれこそファンタジーというような外国風で、けれど非現実的なものばかり。
(おしゃれかまでは分からないけど、スキルとかが上がりそうな装備は分かる気がする)
もしかすると、培ってきたくだらない、かつ中途半端なスキルが生かせるかもしれない。
「あ、あの、フィーラ?」
いきなり険しい顔で固まった妖精に、カルは恐る恐る話しかける。とたんに
「そうよ!気分を上げようと思うなら、まず見た目からよ!」
服を買うと宣言した女子に
「オレ、臭いかな?」
「さあ…どうなんでしょう」
男子2人は温度差を感じていた。
「とにかく、今の服が破れたりしたら、不便でしょう。
次の町で一度装備とか色々そろえましょうよ」
「よく分かんないけど、分かった」
とりあえず機嫌が良くなった妖精に、カルは反対しない。
ところが
「すみません。
問題があります」
ヒースはペタンコの布袋を取り出した。
「なによ」
「お金がありません」
彼は布袋を振ってみせた。
それは、とても頼りない音を立てていた。




