墓守 13
「今の…夢?」
目を覚ました時、妖精は慌てて辺りを見回した。
光に包まれ、そこでヒースと出会った。
思いがけず、初めての笑顔を見たと思ったら、弾かれるようにして廃村に戻って来た。と
ボコ
不意に陥没した地面の一部が盛り上がった。
「な、なに?」
構えるフィーラ。
カルはまだ目を覚まさない。
ぼこぼこ
手が、出てきた。
それから、腕、肩。
次に出てきた顔は
「ヒース!?」
「おや、妖精さん。
まだ夢のつづきなんですかね?」
はい出てきたヒースは体についた土を払う。
「お久しぶり、でいいんですかね?」
「ばっかじゃないの!?」
そんなに時間は経ってないと怒れば
「すみません」
ヒースは素直に謝った。
それから、地面をじっと見る。
「全部、無くなってしまいました。
私の生きる意味。
誇り。
なのに、生き残ってしまいました」
「だめなの?」
「そう言われたのも、初めてです。
普通は、慰めるんじゃないですか?」
「わがまま言わないで」
ヒースはふうっと、息を吐く。
「これから、どうしましょうか」
「行く当てないの?」
「残念ながら。
なので、一緒に行ってもいいですか?」
「へ?なんで?」
「ダメですか?」
「…女神の、ため?」
それなら断ろうと妖精は思った。
「いいえ、あなたが、私の未練みたいだからです」
「へ?」
「伝え方を変えましょうか」
ヒースはふわっと笑った。
「あなたが、好きみたいです」
「はい?」
「私、土からはい出た死体ですので」
「はいいいい!?」




