墓守 8
一方その頃
「ぐす…そろそろ、戻らないと」
カルは気持ちを吐き出し、少し落ち着きを取り始めていた。
「やっと…少し落ち着いたかな」
この数日で色々なことがあった。
めまぐるしく変わっていく状況。
消えてしまった仲間。
見つけた希望。
けれどそれはあまりにも頼りない。
しかしそれを責めることはできない。
「よかった…フィーラを傷つけることがなくて」
本当は、自分だって泣き叫びたいことはあった。
いくら口では平気と言っても、少しづつ心が軋んで行くのが分かっていた。
それを悟られたくなかった。
「本当につらいのは、フィーラの方だもんね」
自分だって背負いきれないと思う使命を、自覚なしに背負わされた小さな女の子のことを思う。
無理をさせたいわけじゃない。
かといって、自分が肩代わりなんてできない。
それならせめて
「…せめて、嫌いにならないでほしいなあ」
笑っていよう。
傍にいよう。
「オレ、頑張るよ」
目の前の土山に話かける。
妖精の流儀とは違うから、仲間に声が届いているとは思えない。
ただ、届いてほしいとは思っている。
「だから、見守っててね」
再びあふれてきそうな涙を乱暴に服の袖で拭い去る。
そして立ち上がって大きく伸びをした。
その時だった
「ねえ、悲しいの?」
聞き覚えのある声がした。
振り返ると
「悲しいんだね」
子どもがいた。
「え、君って…」
夕方に出会ったその子に驚いて目を丸くしたのもつかの間。
「終わらせて、あげるね」
目の前が真っ白になって、意識が途切れた。
「終わったら、悲しいことは、なんにもないんだよ」




