墓守 1
「はじめまして。
私はここの墓守です。
ヒースという名ですが、お好きにお呼びください」
丁寧にお辞儀をされた2人。
しかし、手にはびくびくと動くゾンビ。
「ど、どうも…」
フィーラはぎこちなく返す。反対に
「すっげえ!ゾンビ退治!?
かっこいいね!お兄さん!」
カルは目を輝かせてヒースとの距離を詰めた。
「は、はあ」
面食らったように墓守は少し目を丸くしたが、すぐに顔をそらす
「…すみません。
私はこれを寝かせてくるので、少しお待ちください。
その後で、ご案内いたしますので」
逃げるようにしてゾンビをひきずり、墓の奥に消えていった。が
「追いかけようか」
大人しく待っているわけもなく、カルは言うが早いか後を追いだした。
「ちょ、ちょっと!知らない人について行っちゃだめなのよ!」
服を引っ張り止めようとするが、妖精の力で止められるはずもなく
「大丈夫!ちょっとだけだから!」
やいやい言いながら、2人はヒースの後を追った。
追いついた先で見たものは
―ザッザッ…―
一心不乱で墓穴に土をかぶせる墓守の姿だった。
「ねえ、あれなにしてるのかしら?」
「お墓を埋めてるんだよ」
「それは見ればわかるわよ」
近くの十字架の影にかくれて、ひそひそと会話する。
「あれって、ゾンビを埋めてるのかしら?」
「そうじゃない?」
「退治したんだから燃やしたりするもんだと思ってたわ」
「なにそれ、怖い。
元は人なんだからかわいそうだよ?」
「あたしの世界じゃ人は死んだら燃やされるのよ!」
「変な世界だね」
「こっちのセリフよ!」
普通は死んだ人間は動かないのだと妖精が騒いでいると
「あの…お墓では静かにお願いします」
にゅっと十字架のむこうからヒースが顔を出した。




