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廃村に潜る者 9
墓場とは、死者が住まう場所。
この世界では土葬が基本。
深く地をほり、黒く塗られた棺桶に息を止めた死人を優しく横たえる。
盛られた土は、誰にも暴かれてはいけない。
生者は触れてはいけない地下の世界。
そこで
―ザク―
1人の男が刃を振るっていた。
その手に握られていたのは、一本の斧。
使い古されているが丁寧にとがれ、手入れをされたそれを男はもう一度振りかぶる。
と
「きゃああああああああ!!!!」
悲鳴が響き渡り、男は手を止めた。
「カル!見て!やっぱりやばい奴よ!?
逃げないと!」
「えー?でもなに切ってるか分かんないよ?」
「こんなところで斧を振り回してる奴なんて危ない奴意外に誰がいるのよ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ声に気を取られていた男はハッとして、下をみた。
「…いない」
掠れた声でつぶやき、周囲を見渡す。
そして
「いた」
斧を降ろし、ゆっくりとそちらに近づいた。




