2次元は見てるだけでいいです 2
「お願いします。
世界の危機なのです」
知らないよ、そんなこと。
なんであたしなのよ。
「申し遅れました。
わたくしは、あなたが生きる世界とは別の場所を統治している神。
アイリスといいます」
本当にどうしてこうなった。
なんでどっかの転生物にありそうな白い空間で超絶美しい女神さまに迫られてんのよ。
「よければ、あなたの名前を教えていただけませんか?」
腰まである、波打つ太陽色の髪。
優し気だけど儚げな色を宿している空色の瞳。
陶器のような白い肌。
「あの、どうしてそんなに固まっているのですか?」
胸とかそれ天然かよ。
完璧に負けだわ。
というか、元の世界でもここまでの大きさそういないわよ。
「あの、もしかしてまだ目が覚めていないのでしょうか?」
後光まぶしいし。
目がつぶれそうだわ。
「もし?聞こえていますか?」
困ったような顔で迫って来ないでください。
私はまだ高2の冴えない女子です。
「あのう…」
「か」
ようやく声が出た。
こんなところに来る理由も思いつきません。
夢なら覚めてください。
現実でも適任がいます。
だから
「か、勘弁してください」
顔面蒼白で首をぶんぶん振るあたしは、相手にしたらとてつもなく貧相に見えていただろう。
とてもじゃないけど、世界がうんたらかんたらみたいな話に巻き込める人間ではない。
「まさか、昨日やりこんでたRPGのせい?
それとも、はまってる小説?
だからこんな夢を?」
頭を抱えてわめいていると
「突然のことで混乱するお気持ちはよく分かります」
女神アイリスは申し訳なさそうに手を伸ばし
「けれど、落ち着いて聞いていただきたいのです」
抱きしめられた。
「ああああああああ!!!!」
やわらかくて気持ちいい感触。
正気が保てません。
かんべんしてください。