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フィーラ  作者: タピオカ
18/60

廃村に潜る者 4

「ねえ、本当に行くつもりなの?」

思い立ったが吉日とばかりに、半日かけてたどりついた廃村の前。

フィーラはものすごく乗り気じゃない顔をしている。

「考え直しましょうよ。

 せめて、探検は明日とかさあ」

辺りは日が沈みかけ、話している間にもどんどん暗さが増してきている。

「大丈夫だって。

 オレ、意外と夜目きくし。

 それとも、もしかして怖いの?」

「そ、そんなことは…」

言いつつ、目の前の景色に妖精は顔をひきつらせた。

廃村というだけあって、まるで幽霊でも出そうなくらいの雰囲気。

普段なら哀愁と温かみを感じさせるオレンジ色の夕日が、やけに不気味に見える。

傾いた木製の廃屋から長く濃く伸びる黒い影。

目に見えないところから、何かが覗いているのでは、などという妄想が勝手に彼女の頭に湧き上がる。

(うう…ゲームだったらとくにホラーステージは苦手じゃないのに)

画面の向こうで見る物と、実際にこうして体験するものとでは、随分と差がある。

(不気味なBGMとか流れてきそう…ていうか、流れた方がまだマシかも)

聞こえるのは、乾いた風の音と、自分達の息使いだけ。

まとわりつくような静けさが、恐怖の想像を掻き立てる。

「やっぱり、明るくなってから出直しましょうよ。

 こういう所ってなんか出そうだし」

「なにかって?」

「その…お化け…とか…」

ごにょごにょと彼女が言えば

「お化け?あははは!

 大丈夫だってば」

カルはあっさりと笑い飛ばしてみせた。

「そんなのいないってば」

「で、でも、ここって変なウワサいっぱいあるじゃない!!」

彼女の言う通り、町の住人に聞いてみたところこの廃村にはいくつか噂があった。

それも、あまり楽しくないものばかり。


一言で言うなら、「呪われた廃村」



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