廃村に潜る者 1
「問題だなあ」
「問題ねえ」
カルとフィーラが出会って3日後。
2人は森を抜けて、小さな町までたどり着いていた。
白いレンガに赤茶の屋根でできた小さな家。
町の中心には木製の風車小屋があり、周囲には畑が広がっている。
まるで絵本か外国に田舎町に出てきそうな雰囲気のある場所。
住んでいる人の着ているものも染め物を利用した刺しゅう入りの可愛らしいものが多い。
フィーラが人間の時に着ているワンピースとよく似ている。
女神が気を利かせてくれているのかもしれない。
おとぎ話の世界にきたようだとはしゃいでいたは最初の1日だけ。
「どうしようかなあ」
「どうしようかしらねえ」
今では、町の一角に設置されたベンチに座って、2人してため息をついていた。
ベンチの背もたれにぐだりともたれかかり、カルは本日何度目かになるため息をついた。
「これ、早めになんとかしないとだよねえ」
ぽんぽん、と自分の肩をたたく。と
「あ、またとれた」
ぼとりと、カルの右手が落ちた。
「もー、もろすぎるよ、これ」
もはや慣れた手つきでくっつける彼を見て、隣にすわるフィーラもため息をついた。
「日に日に取れやすくなってない?それ」
「フィーラもそう思う?」
「思う」
2人は顔を見合せ
「「はあああ…」」
そろってため息をついた。
彼らの頭を悩ませているのは、カルの腕。
もっと正確に言うならば、体のもろさだ。




