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フィーラ  作者: タピオカ
1/60

2次元は見てるだけでいいです

 卑怯です。

 卑怯者です。

 私は、きっと、誰よりも狭くて醜い心を持っています。


 どんな時でも自分が一番大事で、きっと何かあれば友達でも簡単に裏切ってしまうでしょう。


 例え、人を轢いてしまったとしても、逃げるかもしれません。


 それなのに、普段は当たり前の顔ができるのです。

 その辺にいる一般人の顔ができるのです。


 そのことが心底嫌でした。


 何よりも、誰よりも、自分が一番嫌いです。

 だから、ここじゃない世界の話が好きでした。


 ファンタジー。

 転生物。

 勇者。

 伝説。

 恋愛。

 友情。

 努力が報われる世界。


 ここではありえない心躍る物語。


 始めて読んだ時から、大好きでした。


 どんなことが起こったとしても、これがあれば生きていける。


 だから現実の自分はどれだけ醜くていい。


 ここだけは、穢れのない手の届かない存在でいて。


 そう、願っていたのに。



「あなたに世界を導く手伝いをしてほしいのです」

 どうしてこうなった。



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