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秘密をあばけ  作者: omi
未知との邂逅編
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SSー3.プリムラは全てを知った上で傍観してる


厳しい寒さが続いていたけれど、私はせっせとあのコンビニに通っていた。ゆきさんは仕事の帰りに寄るかもと言っていた。だから、あの日会った時間にあのコンビニに行くようにしていたのだ。我ながらまるでストーカーのようだと思ったけど、まだ嫌がらせの域には達していない筈なので良しとする。


しかし、最近のコンビニはお惣菜も売っていてまるでスーパーのようだ。毎日ではないけれど、頻繁に通っているため、なんだかコンビニのお得意様になった気分。コンビニのバイトくんにも顔を覚えられている始末だ。


あれから一月半。いまだに、ゆきさんとの再会は為されていない。この一月半、私は彼の名前を考えた。おそらく、こうだろうという名前までは辿り着いたのだがそれが正解かは分からない。だって、ゆきさんに会えないから。本当にまたこのコンビニに来てくれるのだろうか。仕事帰りって言ってたけど家が近い? 仕事場が近い? あ、ヤバイ。これじゃ本格的ストーカーになってしまう。落ち着け、私。


とにかく、また会えたら、いや会える。会えた時に連絡先を聞こう。こんなもどかしくなるくらいだったら、聞いておけば良かった。

今日も今日とてコンビニに通う。今日はチーズたっぷりピザまんを買おう。おかげ様で、コンビニおすすめ商品を紹介出来るくらいになりましたよ、ええ。だから、早く。また会いたい。


そして、その日は唐突に訪れた。


いつも通りコンビニに行くと、コンビニの前で缶コーヒーを飲む一人の男性がいた。

今日はマフラーを巻いていて、コートの前のボタンを留めていた。

相変わらず圧倒的な存在感を放ちながら、そこに立っていたのだ。


『やあ。久しぶり。元気?』


まるで、昨日の夕飯なんだった? ぐらいの軽さだった。


『ゆき、さん』

『澤白さん鼻真っ赤。マスクした方がいいんじゃない?』

『ゆきさん』

『今日もおでん買いに来たの? あ、新しい具材入荷してたね。それ狙い?』

『会いたかった』


私がそう言うと、きょとんとした顔して少し困ったような顔をして。


『そんな顔して、そんな事言っちゃダメでしょ』


そんな事を言った。


『だって、ゆきさんずっといないし』

『うん』

『連絡先なんて知らないから、会う約束も出来ないし』

『うん』

『でも、会いたくて。名前もちゃんと考えたんだよって言いたくて』

『そうなんだ』

『なのに、正解かもわからなくて。でも聞いて欲しくて』

『うん』

『ゆきさん』

『なに?』

『変な事ばっかり言ってごめんなさい。でも会えて嬉しいです』


ゆきさんはにっこり笑って。


『俺も』


それから、ご飯食べた? と聞かれてまだですと答えるとそれじゃ行こうかと言われた。へ? と私が聞き返したら、お腹空いてない? と言われていや、空いてます。ならいいね、って。なにか良いんだろう。

あれよあれよと駅前のパスタ屋に連行されたのであった。


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