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秘密をあばけ  作者: omi
行く先は神に任せた編
12/46

SSー8-2.


「飲むペース早いけど大丈夫? ほらコレ食べなよ。美味しいよ」

「もぐ……あ、これタレと合いますね。ごくん」

「ん。ほら、コレもどうぞ」


ぱくぱく、もぐもぐ。ごくごく。

美味しい……めちゃくちゃ進む。食べながら、飲みながら、律さんは最近見たテレビの話をしてる。へぇ、律さんでもテレビ見るんだ。しかもバラエティ。意外。あ、私もそれ見たなこの間。クリスマス特集してた。そっか、クリスマスも近いんだ。クリスマスは一緒にいられるかな。


「クリスマス? あぁ、仕事だけど」

「む」

「でも、仕事終わりなら会えるかな」

「ほんとですか!」

「ん。次の日はお休み取れる?」

「次の日? 二十六日ですか?」

「あぁ……うん、そう」

「えーと、あ、はい。取ろうと思えば」

「そう。じゃあ遅くなっても大丈夫かな」

「どういう……?」

「時間の話。それはそうと。大分顔が赤い。もう止めときなさい」

「やっ……ダメです。だってまだ」

「まだ、なに?」

「律さん……飲んでる」

「そりゃご飯が美味しいからね。飲むよ」

「なら私も」

「ダメ」


律さんに透明な液体が入ったガラスコップを渡される。


「加減を知らずに飲むのは頂けない」

「う……」

「ほら。ここ、ノンアルコールカクテルあるから。これも美味しそうじゃない?」

「っ、ダメ」


思わず、大きな声が出た。


「だって、まだ勝負がついてないっ」

「勝負……? あぁ」

「律さんに勝って、律さんに聞きたいこと、沢山あるんだから……!」


私がそう言うと、向こう側からため息が聞こえた。自分の肩がびくりと動く。

呆れ、させた?

こんな無茶な飲み方して、たくさん食べて、呆れさせた?

思わず、唇を噛む。気を抜くと目の前がゆらゆらと滲んでゆく。どうしよう……。


「まったく。一人で突っ走らない」

「ーーうぅ」

「考えてる事ダダ漏れだからね。呆れてないし、むしろそこまで突っ走らせた俺も悪いし」

「ーーっ」

「あーもう。ほら」


律さんは潤んだ目にハンカチを押し当ててくれる。ますます止まらない。


「泣き上戸なのかな、藤花ちゃんは」

「そ、そんな事は」

「……これは他所で酒なんか飲ませられないな」


いつのまにか隣に来ていた律さんに優しく涙を拭われる。


「律、さん」

「なーに?」

「律さんの事、もっと知りたいです」

「……」

「歳も、住んでる所も、なにかんがえてるのかも。しりたくて、無茶して、ごめんなさい」

「ん」

「律さん。ごはん、美味しいです」

「うん」

「お酒も美味しいです」

「ん」

「この間のテレビ、わたしも見ました」

「そう」

「もっと律さんとはなしたいです」

「そうだね」

「律さんが、好き」


途端に唇を塞がれる。何故。

ぴたりと重なって、こすり合わせるように少し離れてはくっつく。律さんが飲んでいたお酒の味がして、舌が、暖かくて、口を開いてしまう。


「んんぅ、ふ」


暖かいこの腕も、唇も、今は全部私のものだ。


「……はっ」

「律さん……暖かいの、もっと」

「ほんっと、酔っ払いって手に負えないね。いいよ、俺の負けで。飲み比べの報酬あげる」


ぼそりと呟かれたその答えに、私は目を見開く。


「律さん……若く見えるって言われません?」

「誰が若作りだって? 余計なお世話。昔から童顔なの」

「ふふ。でも、年上ってなんだかドキドキします」

「またそういう事を言う。ほら、水飲んで。あぁそれから」


耳元で囁く。


「次こんな事になったらタダじゃおかないからね」


物騒な事を言われながら、私は夢の中へと誘われていった。


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