我 スライムと戦う
「モンスター居ねーな〜」
真夜中だからだろうか、スライム一匹すら見つからない始末だ。
かれこれ2時間ぐらいモンスター探しをしていた。
その時、前方に丸い形をした何かが居た。そう、それはスライムだった。
でも、そのスライムは俺が今まで見たスライムとは全く違ったものだった。
「何、これ、ヤバすぎだろ・・」
それは緑色にどす黒い黒を混ぜたような色をしていて目の色はまるでトマトのように赤く、そしてまん丸な形をしていて正直バイ●ハザードとかに出てきても何の違和感もないくらい不気味なものだった。
え、何、俺こんな奴と戦うの?いや〜これは確かに10人は必要だわ〜。
なんか牙とか生えてるし、これスライムちゃうやろ。
『ギャャャャャオオオオオオオ!!!』スライムが大声で吠えた。
これスライムの声じゃないだろ・・・・
まあでも、逃げながら魔法で攻撃すれば、 いける! ・・・・多分
俺は一度スライムと距離をとった。
「リーフ!」地面から出た草がスライムを拘束した。
これは俺の得意な自然魔法だ。特に植物が得意だ。
ほら、最近異世界で農業スキルで無双みたいな話あるじゃん?それで植物は少しだけ頑張れた。うん。少しだけ。しかも勇者だから威力もそれなりだ。そして!
「ファイヤー!」 炎がスライムの周りを囲った。
そして、スライムを拘束している草が燃え、スライムは火だるま状態になった。
ちなみにこれは俺の一番得意なコンボだ。よく主人公が植物に炎使って相手倒して 狙いどうりだ! みたいなのあるじゃん? あれやってみたかったんだよね〜
「よし!いける!」草が燃え尽きて火が消えた。だがスライムにダメージは入っていなかった。
「え!何で!?」
もう一度今度はファイヤーだけで攻撃したが、スライムに炎が当たった瞬間、炎が消えた。どうやら火が効かない体をしているらしい。
「くそっ!だったら!」
俺は持っていた剣を抜き、スライムを上から一刀両断しようと思いっきり振り切った。
だが、スライムは俺の太刀筋を完璧に読み、それを避けそして俺の腹に向かって思いっきりタックルした。
「ぐはっ!」
やべ、死んだ。人生で感じた痛みの中で一番痛い。ガドのビンタなんて比べものにならない。
俺の体はピクリとも動かない。かろうじて意識はあるが正直死にそうだ。
スライムはそんな俺に興味が無くなったのか去っていった。当たり前だ、相手は一切ダメージを受けてない。たぶん敵にすら見られてなかっただろう。ただの障害物だ。
ちゃんと炎以外の魔法を使えてれば、剣術をもっとちゃんとやってれば、こんなことにはならなかったかもしれない。正直先生の言ってた事が正しかったと今になって分かった。 遅いな。
だが、たぶん俺はたとえ今から城に戻れたとしてもそのまま寝て、そして回復したら今までと同じ生活を繰り返すだろう。武器や装備が悪かったなどと言い訳をして、 それでもう二度とモンスターと戦いたく無くなるだろう。
そしてもっと堕落するんだ。 あ〜ほんと嫌になる。
もう生きてるのが嫌になる、もういっそこのまま死んだ方が良いんじゃないか、いや、でも白滝や他のみんなにバカにされたまま死ぬのはムカつくな〜
じゃあ努力しろって? いや、たぶんやらないと思う。
ハハハッ
「くそがっ!!!」
俺はありったけの声で叫んだ。
「なぜだ! なぜ努力しなきゃ強くなれない! 俺は努力ができないんだ! 寝るのを! 食べるのを! 遊ぶのを優先しちゃうんだ! なんで俺をこんな人間にした!なんでこんな人生で生きていけないような性格にした! こんな性格じゃ、たとえ異世界に行ったとしても使いものにならねーよ! 努力しようと思っても体が!脳が! それを拒絶するんだ! おい!こんな人間にしたんだったら、俺に力をよこせよ! 寝てても! 食べてても! 遊んでても! 強くなれるようにしろよ! ヘラヘラ笑いながら楽しく、苦しくもなく、すべてを手に入れられる力をくれよ! 俺はサボりたい! 怠けたい! でも! 強くなりたい! そういう力を俺によこせよ!」
ハハッ
何言ってだか。
ピコンッ
【大罪シリーズ《怠惰》の解放条件を達成しました】
【解放しますか?Y/N】




