我 異世界に行く
「ようこそ勇者の皆様」
若い30代くらいの男性が俺たちの前にいた。
気づけば俺たち5人はどこかの王宮の中にいた。また俺たちの下にはさっき教室で現れた魔法陣が出ている。
「どこなんだ!ここは」
白滝が焦りながら大声で言った。
「落ち着け。これはもしかしたら新手の誘拐か拉致かもしれん、気をつけろ」
さすがクールメガネ潮田君!お堅い頭をお持ちで。
どう考えてもこれは異世界転生だろ!いやー俺の願いがついに叶ったのかな〜
そして、そろそろこの王様が世界がピンチとか言う出すんだよな〜
「皆様を連れてきたのは他でもない。私たちの世界を救って欲しいからです」
はいヘルプいただきましたー。
「え、何!どういうこと!?」
「世界がピンチだから俺たちの手を借りたい。そう言ってるらしいぞ?」
話の流れが分かってない神崎に対して白滝が即対応した。
「はい。その通りです。今、この世界は危険な状態です。魔王は前回の勇者達が倒してくれたのですが、実は魔王が死ぬと他の魔物や魔族の力が今までと比べ物にならないくらい上がる仕組みになっていたのです。そいつらに勇者達は皆殺しにされてしまいました。なので今はレベル1のスライムすらも一般冒険者10人は必要という状態です」
おいスライム一匹に冒険者10人ってマジか!
いやーそれは勇者呼びたくなるわ〜
「で僕たちは何をすればいい?」
潮田が冷静に王様に聞いた
「はい。皆様方にはここで訓練をしてもらいこの世界を救ってもらいます」
「正確に言うと、魔王の心臓を破壊していただきます」
王様がそう言った直後、白滝が尋ねた
「魔王の心臓?」
「はい。実は魔王の心臓は別の場所に保管されていて、魔王が倒されると魔族や魔物をパワーアップさせる魔法アイテムとなる仕組みになっているのです」
「それを私達に壊せって言ってるの?」
羽咲がちょっと怯えた様子で言った。
「もちろん心臓は相当強い魔族によって守られています、容易ではないでしょう」
「やってもらえるでしょうか」
その後皆が沈黙になった。当然だ。スライムですら冒険者10人だ。魔族の強さは想像もできない強さに決まっている。
「みんな!やろう!」
白滝が突然言い出した。
「この世界の人が困っている。たぶんこの問題を解決できるのは俺たちだけだと思う! あと俺たち5人が選ばれたのは偶然じゃないと思ってる。俺たちならできる!」
白滝の言葉はこの場の空気を変えた。こいつにはそのぐらいの力がある。さすが主人公属性、面倒くさがりの俺とは大違いだ。
「え〜でも相手超強いんでしょ?私達で勝てるの?」
羽咲が不安そうに答える。たしかにそれは全員が悩む問題だ。
「大丈夫だ!言ってただろ!俺達は勇者だって!きっと魔族とやり合えるような力が備わっているはずだ!
王様そうだろ?」
「はい。勇者様方は普通の人よりも魔力も筋力も普通の人よりはるかに高いです。魔族とやり合える可能性は訓練次第ですが十分あるでしょう」
「あと魔王の心臓の欠片を持ってくることが出来ればその魔力で元の世界に戻ることもできるかもしれません」
その言葉を聞いて全員の雰囲気が変わった。
「皆様。厳しい訓練になりますよ」
王様の言った言葉など聞かずに皆やる気と活気が溢れている。
「よし!皆!やってやろうぜ!そして元の世界にみんなで戻ろう!」
「「「「おー!」」」
さあ俺の異世界生活が今始まった。
見てろお前ら!俺がいつもの俺じゃないところを見せてやろう。
魔法、剣術、体術、全てでお前らを出し抜いてやる!
この世界を救うのはお前らじゃない。
この俺だ。