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幼馴染ちゃん 2

唐突に「自分は死んでいる」と言い出した幼馴染。主人公はどうするのか?





主人公

「嘘、だろ?」




幼馴染

「何? その今知りましたみたいなリアクション。もう3か月も前のことじゃない」




――立ち止まった主人公と対照的に、幼馴染の春香は道路を進んでいく。その時気付いた。夕日を浴びる彼女の身体が透けていることに。



主人公

「(幽霊とこんな明瞭に話ができるなんて、にわかには信じがたい。だがここはゲームの中。何が起こってもおかしくないんだろう)」




幼馴染

「うら、うらめしっ……」




主人公

「ん?」




幼馴染

「うらーっ!」




主人公

「ソ連兵か」




幼馴染

「何そのツッコミ! 何そのリアクション! その様子だと私の死因とか忘れちゃってる感じ?」




主人公

「あ、ああ。すまない、その若さで、なんで死んだんだ?」




幼馴染

「カフェイン中毒だよ」




主人公

「えっ! 普通にコーヒー飲み過ぎたくらいじゃ死なんぞ。どんだけ一気にがぶ飲みしたんだよ」




幼馴染

「ううん、牛乳を飲み過ぎたの」




主人公

「牛乳にカフェイン入ってねえよ!」




幼馴染

「死ぬときはそんなもんだよ」




主人公

「そんなもんであってたまるか!」




幼馴染

「でも私のお父さんも生え際が後退し過ぎて死んだよ?」




主人公

「ハゲは死の病なのか!?」




幼馴染

「ユウト、本当に大丈夫? 本当に何か変だよ?」




主人公

「いや何か変なのはお前の方だよ!」




幼馴染

「その様子だと葬式のことも忘れてるみたいね」




主人公

「い、いや、別に忘れてるわけじゃ……」




幼馴染

「雪村さんが来てくれたのは驚いたよ。普段は殺し屋みたいな目で私のこと睨んでたのに」




主人公

「(雪村っていうのは、あのヤンデレの名前だな)まあ普段は険悪でも、いざ死んでみると悲しいんじゃないか?」




幼馴染

「彼女の持ってきた香典の中には血のべったりついた札束が入ってたみたいだけどね」




主人公

「最低過ぎる! あいつ最低だな!」




幼馴染

「でさ、お葬式ってだいたいお坊さんのお経の独唱から始まるじゃん」




主人公

「独唱て。森山〇太朗か」




幼馴染

「その後葬式の主役、私からの挨拶」




主人公

「主役ってお前死んでるんだろ!?」




幼馴染

「挨拶っていうのは、私の気持ちの話ね」




主人公

「本当か……?」




幼馴染

「と、ここで音響さんが穏やかなBGMを流し始める」




主人公

「誰が音響さんだ、葬儀屋だろ」




幼馴染

「いよいよ私のメインステージ! いざ出棺!!!」




主人公

「出撃みたいに言うんじゃねえ!」




幼馴染

「で焼かれた時は焼き芋になった気分だったよ」




主人公

「軽っ!! お前なんでそんなに明るいんだよ!」




幼馴染

「だってユウトが私を見つけてくれたから」




主人公

「……え?」




幼馴染

「私誰にも気づいてもらえなくて、一人ぼっちで泣いてたんだ。怖くて、怖くて、だけどどうすることも出来なかったときに、ユウトが私を見つけてくれた。傍に居てくれた」




主人公

「(なんだ、急に雰囲気が変わったぞ)」




幼馴染

「だから私は何があってもユウトの傍にいるよ。そして絶対にユウトを守るんだ。こうして毎日少しでもユウトが喋ってくれるなら、もう何もいらない」




どう返答しますか? ▼


→わかった。俺も傍にいるよ。

嘘をつくな

 



主人公

「(この返答は、確実に物語のターニングポイントになりそうだな。無難に上の選択肢でも良さそうだが……、そうか、俺は春香の様子にずっと引っかかっていたのか)」




主人公

「嘘をつくな」




幼馴染

「えっ?」




主人公

「俺には分かる。お前は無理して明るく振舞ってるだけだ。」




幼馴染

「そ、そんなこと……」




主人公

「じゃあ、どうしてお前は今、泣いてるんだ」




――幼馴染の目尻からは夕日を反射して、キラキラと涙が流れていた。




幼馴染

「……」




主人公

「もし俺に何かできることがあるんなら遠慮なく言えよ。俺もお前の力になりたい」




幼馴染

「べ、別にして欲しい事なんて……」




主人公

「(ここは押し通す!)何でも言えよ! 今さら躊躇ってんじゃねえ! お前の願いは、もう俺しか叶えてやれないんだから!」




――幼馴染は、大粒の涙を流し始めた。




主人公

「(どうだ……?)」




幼馴染

「はあ、ユウトには敵わないや。全部お見通しなんだもん」




主人公

「やっぱり、何か俺にして欲しいことがあるんだな?」




幼馴染

「本当に、何でも言う事聞いてくれるの?」




主人公

「もちろんだ! 何でも言ってくれ!」




幼馴染

「私、ユウトが剣道してる姿に憧れたのがきっかけで剣道を始めたんだ。アンタは私より先に辞めちゃったけどね」




主人公

「へえ、そうなんだ」




幼馴染

「なにそれ」




主人公

「あっ、うん! そうだったな!」




幼馴染

「だからもう一度だけ、もう一度だけユウトが剣道してる姿が見たいの」




主人公

「そんなのお安い御用だろ(やったことないけど)」




幼馴染

「小さい頃通ってた道場に剣崎師範が居たでしょ? あのめちゃくちゃ厳しかった人」




主人公

「うんうん、居た居た! めちゃくちゃ厳しかった人!」




幼馴染

「あの人に勝つ姿を、私に見せて欲しいの」




主人公

「……(いや無理だろ。俺剣道やったこと無いんだぞ)」




幼馴染

「やっぱり、無理かぁ……」




主人公

「(マズイ! ここで退いたら確実に好感度が急落する!)ふっ、そんなのお安い御用だろ。俺に任せとけって」




幼馴染

「本当!? やった! 楽しみにしてるね!」




幼馴染の評価が30上がった! ▼




主人公

「(言っちまった。やべえよやべえよ)」




――その時、テキストボックスに赤字で次のような文字が浮かんできた。




【ミッション】

剣崎師範を倒せ。難易度60




つづく


お読みいただきありがとうございました!

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