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ハーレムライフ

目を覚ますと、そこには白い天井があるらしかった。横に置いてある点滴台から何本かの管が自分に向かって伸びている。どうやら病室の一室にいるらしい。




???

「ああ、やっとお目覚めになったのですね」




ユウト

「誰……?(喋るのが久しぶりすぎるせいか、うまく喋れない)」




???

「私です。マリアです」




その名前に反射的に横を向いたユウトの身体を激痛が覆う。




ユウト

「いってぇ……」




マリア

「ユウト! 無茶しちゃだめですよ。今まで二か月近くも眠っていて、やっと目を覚ましたところなんですから」




ユウト

「……お前、リアだな。石山リア」




マリア

「おや、私の現実世界での名前を思い出してくださったのですね。でもせっかくですから、これからもマリアとお呼びください」




主人公

「お前、俺が目覚めるまでずっとここに居てくれたのか?」




マリア

「もちろんです。日中はずっとユウトの顔を見て過ごし、夜になったらベッドにもぐりこんで寝ていました」




主人公

「おい」




そこでユウトはマリアが仮想世界の去り際に放った言葉を思い出した。




『だって私も、貴方のストーカーだったから』




ユウト

「……!」




マリア

「おや、どうしたんですか、そのストーカーに追い詰められたような表情は」




主人公

「今まさにその状況だよ!」




マリア

「確かに私はユウトのストーカーでした。でも流石に意識の戻らないユウトに対してやましいことは何もしていませんよ」




主人公

「さっきベッドに潜り込んでるって言ってただろうが」




マリア

「しいて言えば64GBのスマホの容量がいっぱいになるまでユウトの写真を撮り続けたことですかね」




ユウト

「ガッツリやってんじゃねえか!」




マリア

「画像は全てクラウドに分散保存しておりますのでご安心を」




ユウト

「それお前側のリスクヘッジじゃねえか!」




ユウト

「……そうだ、マリア、お前……春香……現実の名前で『双葉ルカ』がどうなったか知っているか?」




するとマリアはすくっと立ち上がり、脇に置いてあった車いすを持ってきた。




マリア

「顔を見に行きましょう」




マリアがユウトを連れて行ったのはICUの一室だった。




春香

「梅野……君、きて、くれたんだ……」




ユウト

「春香……! お前、生き返れたんだな! よかった!」




春香

「うん、これも、梅野君と黒潮のおかげだよ……」




ユウト

「えっ、なにそれ海の幸の話?」




マリア

「春香さん……こちらの名前でルカさんの意識が戻ったのはつい二日前です。ちなみに目覚めて一番最初に喋った言葉は『ごはんつぶ』だったそうで」




ユウト

「なんでだよ」




春香

「梅野、君……ありが、とう……」




ユウト

「いいんだよ。俺も、お前とまた会えて嬉しいよ」




春香

「逃がさない……」




ユウト

「ははっ! この人死にかけなのにめっちゃ怖い!」




春香

「ごはんつぶ……」




ユウト

「だからごはんつぶって何なんだよ!」




マリア

「ユウト、そろそろですよ」




ユウト

「そろそろって?」




マリア

「彼女たちがユウトに会いに来る予定なのです」




???

「おー! いたいた!」




廊下に出たとたん元気のいい女の声がした。びっくりして廊下の先を見ると、二人の少女が歩いてきている。




???

「ユウト、久しぶり。貴方ならきっと意識が戻ると分かっていたわ」




ユウト

「(この黒髪ロングの美少女は誰だ……? 俺にこんな知り合いはいないはずだが)」




???

「もしかして私が誰か分からない? しょうがないわね。じゃあ、あの時のキャラをやってあげるわ。ふぅ……。

ねえユウト! 今日は背が1㎝伸びる代わりに頭からキノコが生える薬を開発したの! 実験台になってよ!」




ユウト

「リカなのか!? あの変態ヤンデレ科学者の!?」




リカ

「失礼ね。貴方のためにわざわざゲームのキャラになりきってあげたんだから感謝しなさい」




ユウト

「……(なんかゲームの中とえらいキャラが違うような……)」




リカ

「ということで早速クスリ飲んで」




ユウト

「あるの!?」




???

「おうおう、私のことはちゃんと覚えてるよな?」




ユウト

「(ヤンキーっぽくて気の強そうな人だな)えっと、すいません。どこかで会ったことありましたっけ?」




???

「はぁー、忘れてんのかよ。じゃあ私も……

もう! 忘れるなんて酷いよ、お兄ちゃん!」




ユウト

「まゆ!?」




まゆ

「おっ、年上の女を呼び捨てとはいい度胸じゃねえか」




ユウト

「い、いや、あまりに驚いちゃって……!」




まゆ

「ったく、口の利き方に気を付けろ」




リカ

「なんかイキってますけど、その人初めてお見舞いに来た時、『早く目を覚ましてよお兄ちゃん!』とか言ってドバドバ泣いてたんですよ」




まゆ

「ば、ばか! 余計なこと言うんじゃねえ!」




ユウト

「(荒々しさも、優しい心を持っているのもゲームの中から変わってないんだな)」




???

「あ、あの……」




ユウトが振り向くと、眼鏡をかけた見知らぬ少女が立っていた。しかしユウトはその少女が誰なのか、直感的に分かった気がした。




ユウト

「弘子」




少女はパッと明るい顔に変わる。




弘子

「ユウト君、目が覚めたんだね! 本当に良かった……」




まゆ

「遅ぇぞ弘子! 約束の1時間遅れじゃねえか!」




弘子

「ご、ごめんなさい。私、病室を間違っちゃったみたいで」




ユウト

「はっはっは。相変わらず弘子はおっちょこちょいだな」




弘子

「それでてっきり、そこにいたおじいちゃんがユウト君だと思ってずっと話してたの」




ユウト

「お前現実世界でもぶっ飛んでんな」




弘子

「それで1時間くらい話して気づいたの。おかしい! これはユウト君じゃないって!」




ユウト

「いやもっと早く気づけよ!」




弘子はそのままこちらに歩み寄り、ユウトの目の前でしゃがみこんで手を握った。




弘子

「意識が戻って本当に良かったよ……。ねえ、ユウト君。退院したら、また漫才やろうね。約束だよ」




主人公

「ああ」




リカ

「抜け駆けは良くないわよ弘子さん! ねえユウト。せっかく生き返ったんだから、もう一回実験台になってくれないかしら!」




ユウト

「俺をもう一回殺す気か」




リカ

「もしなってくれたら、今度こそ何でも言う事を聞いてあげるわ!」




まゆ

「おうおう、お前の可愛い妹のまゆさんが来てやったんだぜ? もちろん退院したら一番最初に私とデートしてくれるよな?」




ユウト

「(圧力強ぇ……)」




するとマリアが耳元でささやく。




マリア

「他の女のことなんて、どうでもいいじゃないですか。そんな事よりこれからも私はユウトの家に住み着きますので、仲良く一緒に暮らしましょうね。ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」




ユウト

「怖い。ただただ怖い」




ユウト

「(どうやら俺の平穏な日々は、当分戻りそうにないようだ)」




おわり


最後までお読みいただき、ありがとうございました! 皆様のおかげで完結させることが出来ました。

この物語はここで完結ですが、キャラクターなどの設定情報やあとがきを後々投稿する予定です。


設定等で気になることがあれば教えてください。

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