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幼馴染ちゃん 4

春香

「ふふっ。全然大したことないわね。あなたの手紙を例えるならベーコン付き目玉焼きから卵を抜いたようなもの」




主人公

「ただのベーコンじゃねえか」




マリア

「そこまで言うのなら貴女の手紙を早く見せなさい」




――春香のラブレター




『梅野君、私たちが出会ったのは、お母さんのおなかの中だったね』




主人公

「えっ、俺たち双子だったの!?」




『というのは半分冗談で』




主人公

「もう半分は?」




『私は初めて見た時から梅野君に「く」の字でした』




主人公

「それを言うなら『ほ』の字だろ。何だ『く』の字って剃刀カーブか」




『というのは半分冗談で』




主人公

「この流れやめろ」




『好きになってからはずっと梅野君のことを見ていました。梅野君の身体測定のデータも持っているし、学食で何を買ったかは一年分記憶しているし、梅野君の家族関係もお父さんの勤務先もお母さんの出生も全部知っています』




主人公

「こ、怖ぇ……」




『だけど、あの日梅野君は他の女から告白されたよね』




主人公

「トラックにひかれた日にマリアに告白された時のことか……」




『私、ショックだったよ』




主人公

「そうか……でも返事はまだしてないぞ」




『ショック過ぎてオイルショックだったよ』




主人公

「ネタもセンスも70年代か」




『どうせ私のモノにならないのなら、他の女に取られるくらいなら』




『あなたを殺して私も死ぬ』




主人公

「ひっ」




***




春香

「私のラブレターを読んだ感想はどうだった?」




主人公

「いやこれラブレターじゃなくて脅迫文書だろ」




マリア

「では判定していただきましょう。どっちのラブレターの方が良かったですか」




主人公

「う、うぅん両方甲乙つけがたいくらい酷かったけど、危険性が無いだけマリアの方が良いかなぁ」




マリア

「いぇーい」




――その瞬間、春香が足元からどんどん消え始めた。




主人公

「お、おい春香!?」




春香

「くっ、まだよ! 次はオットセイの鳴きまね対決で勝負よ!」




主人公

「生死の境でどうしてそれを選んだ!!!」




マリア

「往生際の悪い女ですね。いいでしょう」




春香

「おうっ! おうっ!」




マリア

「ぶぉおお! ぶぉおおおおお!」




春香

「おぅっ! おほおう!」




マリア

「ぶううううううううううおおお!」




春香

「おうっ! おうっ! うぉおおおうっ!」




マリア

「ブォオオオオオオ」




春香

「私の……負けよ……!」




主人公

「基準は!?」




――春香の身体に続き、主人公とマリアの身体も消え始めた。




主人公

「身体が消えてる! どういうことだ?」




マリア

「私が消えているのは、もうユウトを守る必要がなくなったから。そしてあなたが消えているのは、もう全員分の願いをかなえ終わったから。良かったですね。これで現実世界に帰れますよ」




主人公

「でも春香は俺を殺すという目標を達成していないんじゃ……」




春香

「私は貴方たちと違って重体だったの」




主人公

「どういう、ことだ?」




マリア

「その女はユウトを抱えて車道に飛び出しましたが、貴方を庇うように全身でトラックの衝撃を受けたのです。心のどこかにユウトを死なせたくないという思いが働いたのでしょう」



主人公

「それじゃあ……」




春香

「ふふっ。どっちみち時間切れってこと。じゃあね、梅野君。少しの間だったけどこの世界で君と触れ合えて、楽しかったよ……」




主人公

「諦めるな!」




春香

「梅野……君……?」




主人公

「例えお前が俺を殺すつもりだったとしても、俺はお前に死んでほしくない。お前の願いが本当に俺を殺すことなら、ここで死んだら駄目だ! もう一度生き返って俺を殺しに来い! 約束しろ!」




春香

「……ふ、ふふっ。ありがとう、梅野君。優しいね……好きになってよかった」




――そして春香の身体は完全に消え去った。




主人公

「……」




マリア

「はあ、貴方はとんだお人好しですね。あんな言い方をしたら、生き返った時にまた殺しにくるかもしれませんよ」




主人公

「大丈夫さ。生き返ったらもっとうまく逃げ回るよ」




――二人の身体ももうほとんど消えている。




主人公

「これで、この世界ともお別れか。早く生き返りたいと思ってたけど、もう二度と戻れないかと思うと少し寂しいな」




マリア

「そうですね」




主人公

「ところでマリア、お前どうして俺の事故現場のことを知ってたんだ? 学校で告白された後、俺たちは別々に帰ったはずだけど」




マリア

「だって私も、貴方のストーカーだったから」




主人公

「…………ゑ?」




――主人公の意識は暗転する。




つづく


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