アンドロイドちゃん 4
――マリアの回想が続いていた。
アンドロイド
「私は火星でご主人様に潮干狩られて以降」
主人公
「潮干狩られたって、お前貝だったのかよ!」
アンドロイド
「従順なメイドとしてご主人様にお仕えしてきました」
主人公
「従順……?」
アンドロイド
「朝起きたら歯を磨き」
主人公
「アンドロイドなのに……?」
アンドロイド
「ご主人様が作ってくれた朝ごはんを食べ」
主人公
「俺が作るのかよ」
アンドロイド
「昼はテレビを見ながらお昼寝して」
主人公
「ニートか」
アンドロイド
「夜はご主人様のお布団にご飯粒を塗り込んでいます」
主人公
「妖怪か! っていうか一日通してメイドらしいこと何もしてないじゃねえか!」
アンドロイド
「ちゃんとお風呂掃除はしていますよ」
主人公
「本当かよ」
アンドロイド
「ご主人様の歯ブラシで」
主人公
「何してくれてんだテメエ!」
アンドロイド
「ではここで話を戻しましょう」
主人公
「もう元々何の話だったのか忘れたよ!」
アンドロイド
「どら焼きにバターを塗るのは邪道かどうか」
主人公
「そんな話してない!」
アンドロイド
「まあ要するに、ご主人様は私とここではないどこかで会ったことがある、と言いたいのですね?」
主人公
「……!」
――その時、再び主人公にフラッシュバックが起こった。あの日の放課後、学校で親しい女の子と込み入った話をしていたこと。それが終わった後ゲームを買い行ったこと。その帰り道に誰か……今顔は思い出せないが、知り合いに話しかけられたこと。そして口論になって……。
アンドロイド
「どうされたんですか、ご主人様。」
主人公
「ありがとう、マリア。俺はこれから行かなきゃいけないところがあるから先に帰っておいてくれ」
アンドロイド
「出来ません」
主人公
「マリア?」
アンドロイド
「ご主人様が危険な場所へ行ってしまわれそうな気がしてなりません。私も付いていきます」
主人公
「帰ったら棚の一番上にあるポテチ食べていいよ」
アンドロイド
「帰ります」
主人公
「決断早っ!」
―― 一人になった主人公は、空に向かって叫んだ。
主人公
「おーい! ゲームマスター!! どうせそこで見てるんだろ! 話したいことがあるんだ!!」
――その瞬間画面が切り替わり、もはや見慣れたと言っていい漆黒の闇の中に主人公は立っていた。
ゲームマスター
「やあやあ、ユウト君。僕を呼んでくれるなんて嬉しいな。どうかしたのかい?」
主人公
「あいつらは……ゲームのプログラムなんかじゃない」
ゲームマスター
「ん? 急に何を言い出すのかと思えば、あいつらって誰のことだい?」
主人公
「5人の女の子たちのことだ」
ゲームマスター
「あっはっは。急に何を言い出すと思えば」
主人公
「俺は真面目な話をしているんだ」
ゲームマスター
「それで、その真面目なユウト君は、彼女たちがプログラム以外の何だと思ってるんだい?」
主人公
「あいつらは5人とも、俺と同じ生身の人間だ」
ゲームマスター
「……へえ」
つづく




