ドジっ子ちゃん 3
ドジっ子
「じゃあ読むね!
『あるところに、ジョセフ、ヨシュア、テンバ―の三人の小人がいました。三人は毎日平和に暮らしていました。今日の朝ごはんはハチミツをたっぷり塗ったパンでした。みんなで笑いながら食べました。朝食を食べると、ジョセフとヨシュアは木を伐りに、テンバ-は釣りに出かけます。夕方にはみんな帰って来て晩御飯を食べます。今日は大漁だ。とテンバーは言いました。次の日も同じように朝食を食べて、今度は3人で釣りに行きました。でも誰も魚を釣れなくて落ち込んで家に帰りました。そのまた次の日は』」
主人公
「ちょっと待って」
ドジっ子
「どうしたの?」
主人公
「その日常パートはいつまで続くんだ?」
ドジっ子
「一年だよ?」
主人公
「長すぎぃ!」
ドジっ子
「ちゃんと二時間以内に収まるようにするよ!」
主人公
「いやそれは苦行すぎる!」
ドジっ子
「ちゃんと面白そうなイベントも起こるよ!」
主人公
「どんな?」
ドジっ子
「37日目にヨシュアが髪を切るんだよ!」
主人公
「ささやかだなー」
ドジっ子
「じゃあ切腹したことにするよ」
主人公
「メトロノームかお前は!」
ドジっ子
「うーん。じゃあどうしたらいいと思う?」
主人公
「そうだなあ。キャラクターがもう少し個性的な方がいいかな」
ドジっ子
「他には?」
主人公
「あとは、テンポのいい展開とか、しゃれたセリフ回しとか、物語の途中に大どんでん返しを入れるとか」
ドジっ子
「なるほど! じゃあ書き直してくるね!」
主人公
「あっ、ちょっと」
ドジっ子
「書き直してきたよ!」
主人公
「お前は精神と時のはざまの住人なのか」
ドジっ子
「『あるところにオットー、マット、ウッドの三人の小人が住んでいました』」
主人公
「名前を変えたのか」
ドジっ子
「『オットーは首をよく落とすおっちょこちょいでした』」
主人公
「いやそれはおっちょこちょいのレベルを超えてる、っていうかそいつ人間じゃないだろ!」
ドジっ子
「『マットはよく足が取れるおっちょこちょいでした』」
主人公
「バッタか!」
ドジっ子
「『そしていつも斧を研ぎながら舌なめずりをしているのがウッドです』」
主人公
「仲間の首はねてるのコイツだろ!!」
ドジっ子
「『ある日、三人は些細な事でケンカをしました』」
主人公
「流血騒ぎになりそうだな」
ドジっ子
「『よくも俺のスマホを踏んづけやがったな! とオットーは言いました』」
主人公
「あれ、現代の話なの?」
ドジっ子
「『それはスマホじゃなくてテニスラケットだから問題ないもん! とマットが言い返しました』」
主人公
「なんで間違えたんだよ」
ドジっ子
「『そして斧を研ぎながら舌なめずりをしているウッド』」
主人公
「ウッドぶれないな」
ドジっ子
「『とうとう殴り合いのケンカが起こります』」
ドジっ子
「『あたりに飛び散る首に足』」
主人公
「グロいな!」
ドジっ子
「『そしてはみ出すチンチン』」
主人公
「待てどういう状況なんだ!」
ドジっ子
「『テンポよく散らかるチンポ』」
主人公
「どんな挙動なんだよ! 無理矢理ねじ込んだ感すげえな!」
ドジっ子
「『そして斧を研ぎながら舌なめずりをするウッド』」
主人公
「こいつ本当ブレねえな!」
ドジっ子
「翌朝、マットがオットーの子を身ごもっている事が分かりました」
主人公
「あれ!? キャラクター全員男じゃなかったの?」
ドジっ子
「男だよ?」
主人公
「余計にどういう事だよ!」
つづく