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vs剣崎師範 2

前回までのあらすじ

レオタード姿のおっさんと勝負することになった。

前回までのあらすじ

レオタード姿のおっさんと勝負することになった。





主人公

「くっ! すごい威圧感だ!」




春香

「気を付けて、ユウト! あの人本当にスネ毛が濃いいから」




主人公

「それ何のための情報なの? 師範はスネ毛真拳の使い手なの?」




剣崎師範

「エエエエエエエエイ!」




――主人公は剣崎師範の踏み込みを捉えることも出来なかった。気が付けば、頭に凄まじい衝撃を感じていた。




主人公

「っ!!!」




剣崎師範

「キエエエエエエエエエエエエエ!」




――尚も追撃してくる剣崎師範。主人公は下がりながら攻撃をしのぐのがやっとだ。




主人公

「くそっ、なんで追撃してくるんだよ! 剣道って有効打が入ったら、一旦試合が止まるんじゃなかったか!」




――その時主人公は気付いた。先ほど自分の頭上に表示されていた黄色い棒が、赤い帯を引きながらどんどん減少していっている。




主人公

「(もしかしてあの棒は格闘ゲームとかでよくある『体力ゲージ』じゃないか……? そうか! この試合は剣道じゃなくて体力ゲージを削り切ったら勝ちの格闘ゲーム方式なのか!)」




――そもそもここはゲームの中であり、一切の常識は通用しないのだと主人公は思い直した。それならば、それを利用するしかない、とも。

――その時、剣崎師範の猛攻を受けきれず、主人公は竹刀を弾き飛ばされてしまった。




主人公

「こうなったら、イチかバチかアレを試すかねえ!」




――主人公はその場にしゃがみ込んだ!




主人公

「どうだ……?」




剣崎師範

「キエエエエエエエエエエエエエ!」




主人公

「……」




剣崎師範

「アアアアアアアイ!」




主人公

「ちんちん」




剣崎師範

「イエエエエエエエエエイ!!」




主人公

「やっぱりそうだ! 剣崎師範は叫んでるだけで足元に攻撃してこない!」




――主人公は気付いた。剣崎師範はゲーム内のキャラクター、いわゆるNPCという存在であり、決められた動きしか出来ないように作られているのだ。そのため先ほど主人公の返答に『いい試合にしよう』としか答えなかったり、面、胴、小手のある上半身しか攻撃してこないのだ。




主人公

「あとは、下から攻撃してちまちまゲージを削り切ったら俺の勝ちだ!」




――主人公は匍匐前進をして剣崎師範の前まで進んだ。目の前にはスネ毛が生い茂っていて、見上げるとレオタード姿のちょうど股間あたりが見えた。主人公はとても嫌な気持ちになった。

――先ほど竹刀を弾き飛ばされて素手の主人公は、試しに剣崎師範のすねを殴ってみた。




主人公

「えいっ」




剣崎師範

「キエエエエエエエエエエエエエ!」




――しかし剣崎師範は野鳥のような声を上げるだけで、ゲージは全く減らない。何度か殴ってみたが結果は同じだった。




主人公

「やっぱり、面、胴、小手のどこかに当てなきゃダメージは入らないのか……。にしてもスネ毛が鬱陶しい」




主人公

「抜いたろ」




――主人公は無意識のうちに剣崎師範のスネ毛を引っこ抜いていた。それはおそらく昨日聞いたリカの歌のせいだった。




主人公

「(ん? ああっ! 師範のゲージが減ってる!)」




――体力ゲージの方を見るとわずかではあるが、スネの毛を抜かれた瞬間剣崎師範のゲージが減少し始めた。




主人公

「まさかスネ毛に当たり判定があったなんて……。これは抜くしかねえ」




主人公

「おりゃっ」




剣崎師範

「キエエエエエエエエエエエエエ!」




――この時、主人公の脳内にはある曲が流れていた。昨日リカが歌っていた、忌まわしきあの歌である。




『お前のスネ毛をむっしるぞー』




剣崎師範

\キエエエエエエエエエエエエエ!/




『一本一本むっしるぞー』




剣崎師範

\エエエエエエエエイ!/




――主人公がちょうど122本目のスネ毛を抜いたころ、剣崎師範の体力ゲージがちょうど空になっていた。




剣崎師範

「ぐあっ……」




主人公

「勝った……のか……?」




剣崎師範

「くっ、私の負けだ……」




主人公

「(本当にこれでいいのか)」




剣崎師範

「お前、強くなったな……」




主人公

「俺スネ毛むしってただけだぞ」




――爽やかな笑顔を浮かべながら、剣崎師範は去っていった。




春香

「すごいよユウト! あの剣崎師範に勝つなんて!」




主人公

「えっ、ああ(俺スネ毛むしってただけだぞ)」




春香

「すごくかっこよかったよ!」




主人公

「正気か?」




春香

「ユウトのこと、好きになっちゃいそう」




主人公

「本当に大丈夫か?」




――ふと気づくと、春香の身体が透け始めた。




春香

「ユウト、私の願いを聞いてくれて本当にありがとう」




主人公

「な、なんだよその言い方。まるでこれから成仏するみたいじゃないか(俺スネ毛むしってただけだぞ)」




春香

「うん。そのつもりは無かったんだけどね。もう、満足しちゃったみたい」




主人公

「スネアレで!?」




――春香の身体はどんどん透明になっていく。




春香

「今までありがとう、ユウト。でもこれでお別れじゃないよ。これからもずっとずっと一緒だからね」




――その言葉を最後に、春香の姿は見えなくなった。




主人公

「春香ぁあああああああああああ!(いいのか俺スネ毛むしってただけだぞおおおおおおお?!)」




――主人公の叫びも虚しく、画面には赤い文字が表示され始めた。




ミッション:剣崎師範を倒せをクリアしました。▼


春香の好感度が20上がった。▼




つづく


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