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東京PMC’s  作者: 青空鰹
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紫音と依頼主の護衛

護衛依頼当日になった紫音達。果たして彼らは無事に依頼を終わらせる事が出来るのであろうか?

天野さん達と綿密な計画をしてから数日経ち、護衛日当日になった。護衛対象の社長がいる自宅までやって来た僕達は天野さんだけが自宅に上がり、外へと出ていた僕達は玄関の前で周囲を警戒をしている。


「こちらです」


「うむ、ご苦労様」


天野さんが社長思わしき老人と中年の運転手と共に出て来たので、付き添うようにしてトヨタのクラウンにへと近づく。因みにこのクラウンに爆弾が仕掛けられていないかチェック済みである。


「紫音、リトア」


乗れという合図が出たので、社長が乗っている後部席に乗り込む。


「私はもう1人の仲間と共に車で追うので、安心して下さい」


「うむ、頼りにしておるぞ」


お爺さんはそう言うとリトアさんを見つめる。その視線に気付いたリトアさんはサッと顔を背けた。


「出発の合図は私がするので、それまで待機していて下さい」


「わかりました」


少し待った後に車のエンジン音と共に無線機で準備が出来たと連絡が来た。


「出して下さい」


「はい」


こうして会社に向けて車を発進させたのであった。天野さん達はクラウンの後ろを追うようにして走行している。


「しかし、土曜の休日なのに会社に出勤するのですね」


「今日は重要な会議があるから、会社に向かうんじゃよ」


「へぇ〜、そうなんですか」


そんな会話をしている中でも窓の外を警戒し続ける。


「ところで若いお前さんもPMCなのかのぉ?」


「ええ、PMCですよ」


「そうかぁ・・・・・・こんな子供がのぉ〜」


お爺さんは可哀想な顔を紫音に向けるのだが、紫音は周囲の警戒しているので気が付いてない。


「そういえば、警察予備校に通っている高校生が銃を使っておったのぉ〜」


「ああ〜、ニュースの事ですか?」


「そうじゃ。孫がおるワシとしては子供に武器を持たせるのは、どうかと思うんじゃ」


「私も同じ事を思いましたよ」


「失礼ですが、私も思いました」


リトアさんだけじゃなく運転手さんまで、やっぱり大人として思うところがあるんだなぁ〜。


「そうじゃろうなぁ〜」


「一応言っておきますが、紫音くんは彼らと同じと思ったら間違いですよ」


「しおんくん? もしかして、ワシの隣にいる子かのぉ?」


「ええ、彼も同い年なのですが、彼らよりも早く実戦に赴いていますし、何よりも覚悟が出来ています」


僕の事を認めてくれているリトアだからこそ話せる言葉である。


「覚悟、じゃと? どんな覚悟なんじゃ?」


「銃を持って戦う覚悟ができているんです」


「・・・・・・そうかぁ〜。紫音くん」


「あ、はい!」


な、何だろう? お爺さんが真剣な顔付きをしている。


「お主はこのままでええのか?」


「今の僕にはこれでしかお金を稼ぐ方法がないんで、今のままでいいと考えています」


「・・・・・・そうかぁ」


お爺さんはそう言うと、何も言わず正面を向いたのだった。


「そろそろ会社に着きますよ」


「わかりました。天野、そろそろ会社に着くそうよ」


『こっちの方はカーナビで把握しているから安心しろ』


あ、カーナビで把握していたんですね。


「わかった。このまま警戒を続けるわ」


「ああ、そうしてくれ」


こうして岡喜株式会社の前までやって来て社長と共に車を降りた瞬間、紫音の顔が驚いた表情に変わった。


「こ、ここが岡喜株式会社なのですかぁ!?」


「そうじゃ、ここがワシの会社じゃよ」


誰が見ても大企業である事が一眼で理解出来るような高層ビルが、紫音の目の前に立っていた。


「紫音、お前は岡喜株式会社が大企業だったのを知らなかったのか?」


「知りませんでした。フギッ!?」


そう言ったら天野さんからゲンコツを喰らった。


「護衛対象がどんな人物なのか、事前に調べるのも仕事の内だ」


「知ってて黙っている天野さんも酷いと思いますよ」


殴られた頭をさすりながら天野さんにそう反論したら、鋭い瞳に変わった。


「お前も言うようになったなぁ?」


「ヒィッ!?」


「アマノくん、社長を待たせてはいけないよ」


「おっとそうだった。行きましょうか岡喜社長」


「うむ、そうじゃのう」


社長と共に会社の中へ入って行くと、エレベーターに乗り最上階のやって来た。その後に会議室の中へ入ろうとしたところで、天野さんが静止させる。


「この先に危険がないか、先に入って確認して来ます」


「会社の中じゃから、そんなに警戒せんでもええじゃろう?」


「いいえ、こういった大きな会社は不特定多数の人間が出入りするから安全とは言えませんよ。例えばアルバイトの清掃員に扮して爆弾を仕掛けるとか、あるいは・・・・・・電気工事士に成りすましの可能も有り得ます」


「なるほどのぉ〜。ここはそういった事に関して素人であるワシではなく、プロに任せた方がええじゃろうなぁ」


「ご理解して頂けて何よりです。リューク、部屋を調べるぞ」


「了解。僕達が入っていいよって言うまで入らないようにね」


「あ、はい!」


「わかったわ」


天野さんは注意深く会議室へと入って行った。その間僕とリトアさんはお爺さんの側で、警戒をしつつ話をする。


「やっぱり、清掃員とかに紛れて爆弾を仕掛けるのってあるんですかね?」


「海外じゃよくある事らしいわよ。特に紛争地帯になると車に大量の爆弾を積んで突っ込むとかもね」


「うわぁ、恐い話ですね」


「そう聞くと、如何に日本が安全な国なのか理解出来るのぉ〜」


ホント、こんな風に銃を持っていますけど、僕もそう思いますよ。


「紫音くん、これだけは言えるわ。危険区域で建物に突入する時はこれぐらい注意してね」


「え? 何でですか?」


「危険区域にある建物をアジトに使っている人達は、トラップを仕掛けている可能性があるのよ。シオンくんがちょっと前に経験したトラップよりも、わかりずらいトラップが多いわ」


ちょっと前って、ドアを開いたらショットガンに撃たれそうになった事だよね。


「ショットガンのトラップだけじゃなく、センサーで感知する爆弾もあるから気を付けないといけないわよ」


「センサー式の爆弾って実在していたんですね」


「ええ、実在しているわ。だけどちょっとしたゴミに反応してしまう可能性があるから、実際に使う人がいないらしいけど」


「あ、そうなんですか」


ちょっとしたゴミで爆発する心配があるのなら、誰も使いはしないだろうね。


そんな事を思っていたら、会議室内の確認をしていたリュークさんがヒョッコリと顔を出したのであった。


「確認出来たから入っても大丈夫だよ」


「岡喜社長、入っても大丈夫みたいですよ」


「それじゃあ、入るとするかのう」


岡喜社長と共にブラインドを締め切った会議室へ入ると、部屋の中にあったノートパソコンを取り出してパソコンを立ち上げた。


「あ、あれ? 岡喜社長、この場で社員と会議をするのではなかったのではなかったんですか?」


「ん? おお〜! 今日はのぉ。海外で働いておる社員と会議をするから、ここに来たんじゃよ」


「ご自宅でもよろしかったのでは?」


「う〜む、同じパソコンでも会社の物を使った方が、情報漏洩の心配がないからのぉ〜。だからここまで来たのじゃよ」


「ああ〜なるほど! 自宅で使うパソコンよりも、セキュリティー管理とウイルス対策しっかりしている会社のパソコンを使った方が確かに安心出来ますね」


「まぁ、ワシ自身の甘さで流出してしまった情報はあるがのぉ〜」


お爺さんのせいで流出してしまった情報? そんな事を思いながら首を傾げていると、リトアさんが僕の耳元で説明をしてくれた。


ふむふむ・・・・・・えっ!? 僕が助けた冨上さんが勤めていた会社がここ?


「それは本当の話ですか?」


「え、ああ〜・・・・・・そのぉ〜、ですね」


「多分断片的にか見ていなかったから、そういった事を読み飛ばしていたんだろうコイツは。

それに前の事なんて繊細に覚えているヤツはいねぇよ」


「アンタがズボラなだけでしょう!」


「酒をガバガバ飲んでいるお前にだけは言われたくないんだが」


ちょっと喧嘩気味の天野さん達に対してオロオロする紫音と、また始めたと呆れるリュークさん。


「そろそろ会議を始めるから、静かにして貰えんかのぉ?」


「「あっ!? すみません!」」


「どうぞ、会議を始めて下さい」


岡喜社長はリュークさんの言葉を聞くと、チャットでの会議を始めるのであった。

こうして無事に会社まで迎う事が出来た紫音達だが、帰りも無事に帰る事が出来るのだろうか?

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