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東京PMC’s  作者: 青空鰹
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焼肉を楽しむ紫音

〜〜〜 前回のあらすじ 〜〜〜

浮かれすぎて人とぶつかりそうなるが、やっと焼肉屋へ向かう事になった紫音。

はたして楽しみながら食べれるのか?

魔鉱石が採れる場所の多くは、マナと呼ばれている自然界から生み出される魔力がある場所に多い。

そのマナは基本的に大気中を漂っているが木にぶつかる事が多いが時々地面に落ちるときもある。落ちた場所を中心としてマナが浸透していく。浸透した個所から木や土や水に変化をもたらすらしい。


「そうやって出来ては落ちてと繰り返して行くと、水は魔力水、木は霊木、土は綺土(きど)に変化するのよ。

その中でも土に埋まっていた石が、マナを吸収して魔力を帯び出したのが魔鉱石って言われているわ」


「おいおい、その言い方だと仮説っぽいじゃないか」


「そうよ、仮説よ。さっき言ってた水、木、土は確認と証明は済んでるんだけれども、魔鉱石については証明が出来てないから、有力視されているのを話したのよ。

あ、それ貰うね」


「あ、それ俺のカルビ」


「受講料として、これはいただきまぁ〜す!」


そう言うと奪ったカルビを口に運ぶ。


「んん〜〜〜っ!! ここのお店は美味しいわぁ〜!!」


そしてそのままビールをゴクゴクと音を立てながら飲む。


「そうだね」


「ッ!? ちょっとリューク! それ私が焼いてるタンよっ!!」


「ボクも補足してあげたんだから、貰う権利があるよね」


パクリと食べるリュークさんを見たリトアさんは、 ギョエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!? と絶望溢れる声で叫んでいた。


「わ、私の育てたタンがぁ・・・・・・取られたぁ」


「そんなに落ち込まないで下さいよ、リトアさん。タンならまだありますから」


「シオンくん、アナタはあの2人と違って優しいわね」


酔いが回っているせいなのか、痛いぐらいに強く抱きしめてくる。


「先に人の焼いた肉を奪っておいて、言う事じゃないだろ」


「全く、同感だよ」


「あの、お二人が摘んでいるのは、僕が焼いたロースなんですけどぉ・・・・・・」


「まだあるんだから、そう言わなくてもいいだろう?」


その言葉、僕が言った言葉ですよ。


「ん?」


天野さんはポケットからスマホを取りだすと、誰かから電話が来たのか耳に当てる。


「もしもし? ああ、工藤さんか」


どうやら電話を掛けて来た相手は、工藤さんだったみたい。


「ええ、焼き肉楽しんでますよ・・・・・・ええ・・・・・・え、紫音にお願いしたい依頼? 俺やリュークじゃなく」


僕個人にお願いしたい依頼? PMCになって1日しか経ってないのに。


「・・・・・・ああ、そうですか。なるほど・・・・・・わかりました、その依頼を受けます・・・・・・ええ、紫音にそう伝えておきます・・・・・・・・・・・・ええ、それでは」


「ちょっ!? アマノくん! いくらなんでも、1人で仕事を!」


天野さんが電話を終えるのと同時に、リュークさんがスゴイ剣幕で詰め寄った。


「待て待て待て! 俺が受けた依頼は、危険がないから安心しろ!」


「え、危険がない?」


「そうだ。第一に危険な依頼を紫音させようとしていたら、アイツにはまだ早い。って言って断ってるって」


「それもそうだね」


そう言って天野さんに近づけていた顔をスッと下げた。


「因みにどんな仕事を請け負ったのかな?」


「あ、ああ。ウチの近くにある白凪(しろなぎ)孤児院に行って、手伝うだけの仕事だ」


PMCの僕が孤児院の仕事ぉ? んん〜?


首を傾げている僕を余所に、リュークさんと天野さんはそのまま話を続ける。


「白凪孤児院って、何かあったのかい?」


「ああ、雇っている従業員の内、3人が風邪を引いてしまったらしいんだ」


風邪を引いたって、ツラそう。


「風邪を子供達に移す訳にもいかないから、治るまで自宅待機を言い渡して短期のバイトを募集したんだが、どうも芳しくないらしいんだ」


「それでお金さえ出せば、何でも仕事を受けてくれるPMC協会にお願いしたのね」


「そうだが、いくらPMC協会でも、何でも請け負ってくれる訳じゃないぞ?」


「でも、犯罪以外なら何でも請け負ってたじゃない。この間、クエストボードを見てみたら、犬の散歩が載ってたわ」


クエストボード?


「その分、お金がいいだろう?」


「一回3万円って、お小遣いじゃないの。あ、でも6回行けばサラリーマンの月収ぐらいなるわね」


「あの、リトアさん」


「その、クエストボードって・・・・・・何ですか?」


「あ、シオンくん知らないのね。PMCアプリを開いてみて」


言われた通り、ポケットからスマホ取り出してPMCアプリ開くと、リトアさんが画面を覗いて来た。


「メニューの中にある、クエストボードってあるでしょ?」


「はい」


「ここを押すと、PMCにどんな依頼をあるのか見れるのよ」


「わぁ〜、ホントだ」


スマホの画面いっぱいに、ズラーッと依頼が並んでいるのをスクロールして確認していく。


「あ、犬の散歩がある。えっ!? 一回2万円って」


「私が見たものと違うヤツね」


「それに、飲食店の従業員に道路工事。えっ!? 留守番まであるの! しかも、4歳の子供の面倒も見なきゃダメなのはちょっと厳しいかな?」


よくよく見てみると、おかしな依頼も出てくる・・・・・・あ、指定した場所へのゴミ捨て。って、危ない仕事じゃないよね?


「これを見てわかる通り、色々と依頼が舞い込んでくるのよ。でもここにあるのは本部からの依頼と違って、受けても受けなくてもいい任意の依頼だから、仕事がなくて暇と感じた時に見てみるぐらいで大丈夫よ」


「そうだ」


「って、さっきから何勝手に焼いて食べてるのよ!」


「お前らの話が長いのが悪い」


そう言ってカルビを口に運んでいく天野さん。カルビがどれぐらい残っているのか皿を確認して見るが、たった1枚しかなかった。


「うわぁ〜・・・・・・ほとんど食べちゃったんですか?」


「コイツがな」


隣にいるリュークさんに親指をさした。


「ちょっ、ボクのせいにしないでよ、アマノくん!」


「でも実際に焼いてバクバク食ってただろ、お前」


「あ、いや、そのぉ〜・・・・・・」


罰が悪いのかリュークさんの目が泳いでいる。


「最近ダイエットを考えていたんじゃないの?」


「そ、それはまた今度って事で」


「「「「フゥ〜〜〜ン」」」」


「す、すみませぇ〜ん!」


店員さんに向かって手を上げながら声を掛ける姿を、この場にいる全員が白い目で見つめる。


「はぐらかしたわね」


「そうですね」


僕とリトアさんがそう言っているのを尻目に、リュークさんは注文をする。


「タン塩2人前とホルモン1人前、それとコーラ1つ。あ、みんな何か頼みたいのある?」


「私、レモンカシス」


「俺は生ビール一つ」


「僕、カルピスソーダ」


「かしこまりました。タン塩2人前、ホルモン1人前、それにコーラ、レモンカシス、生ビール、カルピスソーダがそれぞれ一つづつでよろしいでしょうか?」


「はい、構いません」


「ご注文承りました。少々お待ち下さい」


去って行く店員さんを目で追うが、僕達は変わらずリュークさんを白い目で見つめていた。


「そっ、そうだ! ボ、ボクが焼いてあげるから、ドンドン食べちゃってよ!」


その後、リュークさんは体重を意識しているのか、焼いたお肉に余り手を出さなかった。


「ありがとうございました!」


「おい、4人で7万って、割り勘しずらいなぁ」


天野さんはお店を出てすぐに、レシート見つめてそう言いだす。


「1人、17500円だよ」


「それで俺は、紫音の分を踏まえて35000円か」


リュークから手渡されるお金を受け取り、自身の財布へと入れる。


「500円ちょうだい」


「ほらよ」


リトアさんから18000円を受け取り、500円を渡した。


「さてと、帰って寝る準備でもするか。紫音、明日の予定はちゃんと把握しているよな?」


「はい! ちゃんとメモを・・・・・・ん?」


何だろうこの臭いは?


スンスンと鼻を動かしていると、天野さんが肩に手を置いてくる。


「おい、紫音どうした?」


「車から、変な臭いが漂って来ます」


「変な臭い?」


「はい」


そう言ってピックアップトラックに近づき、時計回りで確認していく。


「スンスン・・・・・・ここの下からします」


ピックアップトラックのフロント側から、車体の下をスマホのライトで照らしながら覗き込む。


「あっ!」


車のフレームに何か筒のような物がガムテープで貼り付けられていた。


「天野さん、あれが臭いの原因っぽいです」


「あれ? おいあれって!?」


僕と一緒に覗き込んでいた天野さんは、驚いた顔をしながらリュークさん達に顔を向ける。


「リューク来てくれ!」


「どうしたんだい、アマノくん」


「車の下に貼り付けられている。とにかく見てくれ」


「貼り付けられてる? シオンくん、ちょっとどいて貰ってもいい?」


「あ、はい」


僕はその場所をどいて、リュークさんにスマホを渡す。


「どれどれ? ってこれは!?」


「どうだ?」


先ほどとは違い、真剣な顔つきで天野さんを見つめる。


「ちょっと待って、これは・・・・・・何とか出来そうだよ」


「そうか、さっそくやってくれ」


「わかったよ。アマノくんはリトアくんと一緒に周囲を警戒して」


「わかった」


そう言うと天野さんは、脇に刺していた HK45T(45ACP弾使用)を抜き、構える。その様子を見ていたリトアさんも、GLOCK19(9mmパラベラム使用) を構える。


「シオンくん」


「は、はい!」


「キミは、これと同じ物がないか車をもう一回よく探してみて、もし見つけたら触らずに教えて」


「あ、はい」


物々しい雰囲気の中、僕はリュークさんに言われた通りに、もう一度変な物がないか入念に確認をする。


「スンスン・・・・・・スンスン・・・・・・あれ?」


ボンネットの左側面で立ち止まり、ニオイが付いている場所に顔を近づけてる。


「シオンくん、何か見つけたのかい?」


「あの、ここに僕達以外の人が触っています」


「え、触っている?」


リュークさんが何かを持ちながらこっちに近づいて来て、指をさしている場所をよく見る。


「おいリューク、お前」


「ああ、もう作業は終わったから大丈夫だよ」


そう言って、近づいてくる天野さんに持っている物を見せる。


「そうか、それじゃあさっさと行くか」


「そうだね。リトアくん、帰るからこっち来て!」


「わかったわ。シオンくんも乗って」


「あ、はい」


全員ピックアップトラックに乗り事務所へ向けて帰るのだけれども、何故か天野さん、リュークさん、リトアさんの3人はピリピリした雰囲気で外を見ていた。

焼肉を楽しんだ紫音だったのだが、天野達の雰囲気が怪しい。一体どうしたのだろうか?

次回をお楽しみに!

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