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東京PMC’s  作者: 青空鰹
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紫音と幼馴染みの家

舞のさようならと言う言葉を信じられなかった紫音。彼は舞の家までやって来るのだが……

「ブゥ〜ン! ブゥ〜〜〜ンッ! ボクのNISUMO早い! マスタングなんて目じゃないぜぇ〜!」


見崎はNISUMOがあった車庫に、同じ車のミニカーを走らせていた。


「社長・・・・・・現実を見て下さいよぉ。車はもう・・・・・・」


「ブウウウウウウウウウウウウンッ!?」


見崎は田嶋の言葉をかき消す様に、エンジン音を立てる。そう、見崎のGT-Rは“PMC”に壊されてしまった為、やむ無く廃車になってしまったのであった。

だが念の為に入っていた保険が下りて、PMCからも謝罪料としてお金も貰えたので、元は取れていた。


「ミニカーを買うんでしたら、またGT-Rを買った方がいいッスよぉ」


「ッ!?」


田嶋の言葉を聞いた見崎は、ミニカーを大事そうに抱き締めながら身体を震わせた。


ああ、車を購入する事に恐怖心を覚えてるッス。


「ほら社長! もうこれで3度目なんスよ。だからさすがに4度目はないと思うんスよ! うん! だから安心して買っても大丈夫ッスよ!」


自分で言うのもなんだけど、何を言ってるんスか。俺は!


そんな事を思ってら、見崎の震えがピタリと止まった。


「大丈夫ッスよ。今度こそは壊れる事はないと思うッスからぁ!」


「ッ!? いやああああああああああああっ!?」


身体を丸めて泣き叫んでしまった。


しまった! 壊れるって単語もダメだったのか!


「社長! 購入は怖くない! 怖くないから新しい車を購入しましょう!」


「イヤアアアアアアアッ!?」


田嶋はその後も説得をしていた。会社の存続の為、引いては自分の仕事の負担を減らす為に!


同時刻。紫音は一軒家の前に立っていた。


結局あの日は追い掛ける事が出来ずに、ただ呆然と見つめるだけしか出来なかった。

あの日の言葉が信じられなくて、舞ちゃんのお家にやって来た。外観を見た時は懐かしさと、舞ちゃんとの思い出を感じたのだが・・・・・・。


「誰も、いない?」


そう。紫音が口にした通り、カーテンが外されて門にあった銘板が取られていたのだ。


やっぱり、あの時の言葉は嘘じゃなかったんだ。


舞ちゃんは遠くの何処かへと引っ越してしまった。その事実を知った紫音は、深いため息を吐いてしまった。


「大園?」


名前を呼ぶ声に反応して振りかって見てみたら、鬼人族の日野谷さんが立っていた。


「日野谷さん。どうしてここに?」


「・・・・・・」


日野谷さんは僕の問いに何も答えず、近付いて来た。


「親友がいなくなったのが信じられれなくて・・・・・・大園は?」


「スナックで、 さようなら。 って言葉が信じられなかったから、来て確かめに来たんだ」


「そう、なの・・・・・・ねぇ、大園。舞にね。大園を恨まないで欲しいって言われたのよ」


「え? それ、どういう事?」


僕自身、日野谷さんに恨まれるような事をした覚えがないのに。


そう思っていたら、日野谷さんが僕の方に向き直った。


「舞の一言がなかったら、大園を恨んで。いいや、違うわ・・・・・・八つ当たりしていたわ」


「八つ当たり?」


「そうよ。実野妓と同じで、全部大園のせいにして責めようとしていたのよ。でも、舞の一言でハッと気付いたのよ。自分は誰かのせいにして、うさ晴らしをしようとしているって」


「そうなんだ」


紫音はそう言いながら、スマホの画面に映っている舞の連絡先を見つめる。


「最後に1つだけ、大園に言いたい事があるの」


「何かな?」


「もう私に関わろうとしないで。私もアナタと関わらないようにするから」


「・・・・・・わかったよ」


「さようなら、大園」


日野谷さんはそう言うと、振り返って立ち去ってしまった。


・・・・・・僕も、ケジメをつけよう。


紫音はスマホを操作して、 さようなら舞ちゃん。 をL◯NEで連絡をした後、舞ちゃん関連の連絡先を消した。


これでいいんだ。これが僕と彼女達の正しい関係なんだ。これからも僕はPMCとして生きて行こう。


紫音は自分にそう言い聞かせながら、その場を立ち去った。その数日後には元舞ちゃんの家には、子供連れの夫婦が入居したのであった。

こうして紫音は舞とお別れすることとなった。


そして今回で 東京PMC’s は完結となります。

長い間ご愛読ありがとうございました! 現在考えている新作の方を楽しみにしていて下さい!

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結おめでとうございます。  事件は解決しても紫音の日常は変わりませんね。  紫音の父親がどうなったかなぞは残りましたが、きっぱり完結した方がよかったかもしれません。  お疲れさまでした…
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