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東京PMC’s  作者: 青空鰹
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紫音とコニーと恋愛

実野妓くんが緊急搬送される事になり、救急車に乗る事になった紫音。彼は助かるのか?

しばらく救急車に乗り、病院に着いた瞬間、救急車から急いで実野妓くんを下ろし走り出した。


「急患だ!通してくれっ!!」


「病院に着いたよっ! 意識をしっかり保って!」


「あ・・・・・・うぅ・・・・・・・・・・・・」


病棟内を駆け足で進んでいる中、紫音は実野妓に語り掛けるが返事がないし、焦点が合わないので心配になって来る。


意識がハッキリとしていない。どうしようかなり危険な状態だ。


そんな事を思っていたら、ICUと書かれた表示が見えて来たところで僕は看護師に止められた。


「ここから先は医療関係者以外立ち入り禁止です!」


「え? あっ・・・・・・」


止めて来た看護師を横目に、ICUと書かれた扉を潜る実野妓くんを見つめた後、看護師に目を向ける。


「あの、実野妓くんは助かるんですか?」


「・・・・・・かなり危険な状態なのは確かな事です。ですが、医療従事者として出来る限りの処置は致します。なので、そちらの席に座ってお待ち下さい」


看護師に言われるがまま席に座ると、看護師はICUの中へと入って行った。


「ハァ〜〜〜・・・・・・」


今までの疲れがドッと出たのか、深い溜め息を吐いてしまった。


そんな中、追い付いて来た天野さん達が僕の元へと駆け寄って来た。


「紫音、アイツの様子は?」


「かなり危険な状態と言っていただけなので、助かるかどうかわからないです」


「そんなぁっ! ねぇシィくん! 龍平くんは助かるよね?」


「・・・・・・」


迫って来た舞に対して目を逸らして無言を貫いた。いや、無言を貫くしかないと語った方が合っているかもしれない。


「何でなにも言わないの? 平気だって言ってよ、シィくんっ!!」


「止めて舞!」


日野谷さんが引き剥がしてくれたが、舞ちゃんは踠いて離れようとしている。


「離してよ! カナちゃんっ!! 私はまだシィくんから大丈夫って聞いてない!」


「聞くのはいいけど、そんなに迫ったら困るだけよ! それに聞く相手を間違えているわよ!」


「お医者さんも最前は尽くしてる筈だから、信じて待とうよ! 舞ちゃん!」


そう言うが彼女の耳に届いてないらしく、叫びながら日野谷さんの腕の中で暴れている。

そんな中、後からやって来たコニーさんが無言のまま舞ちゃん近付き、右手を上げた瞬間だった。


スパァアアアンッ!!?


何と舞ちゃんの頬を平手打ちした後に、胸ぐらを掴んだのだ。


「いい加減にするんです! シオンはイシャじゃないんだから、タスかるかどうかわかる訳ないじゃないですかっ!!」


「え? あ・・・・・・」


「ジブンの大切な人が傷付いてしまった気持ちはわかります。でも、そのもどかしいキモちをシオンにぶつけるのは間違っておりますよ!」


「そうだ。こうなってしまった以上は、助かる事を信じて待つしかないんだ。だからそこで座って待っているんだ」


舞ちゃんは2人の言葉のお陰で冷静になれたのか、暴れるのを止めた。


「・・・・・・わかりました」


舞ちゃんはそう返事をすると僕の隣に座り蹲ってしまい、日野谷さんがその隣に座り、舞ちゃんを慰めるように背中を撫でる。


「シオンくん。ボク達は飲み物を買って来るから、彼女達をお願いね」


「あ、はい! わかりました」


そう言い残すとリュークさんは天野さん達と共に廊下を歩いて行くが、何故かコニーさんだけが残り舞ちゃんの目の前に立った。


「ねぇ、マイ。どうしてあのミノギって人と付きアう事にしたの?」


「・・・・・・私の事を好きって言ったから」


「それだけ?」


「うん、それだけ。どうしてそんな事を聞くの?」


「ちょっとキになっただけよ」


そう言うと僕の隣にやって来て、尻尾を優しく掴んだ。


「シオンはアイカわらずモフモフで気持ちいいですね!」


「コニーさん、今そんな事をしてる場合じゃないと思うんですが・・・・・・」


「ワタシは、シオンの事を好きですよ」


「えっ!?」


こんな状況で何を言ってるのぉ!?


「でも、あくまでも友達としてスキって意味ですよ。レンアイ感情は持っていません」


「あっ、そうなんだ・・・・・・」


ちょっと残念そうな顔をしていると、コニーさんが顔を近付けて来た。


「まぁでも、シオンがワタシの事をスキで付き合いたいって言うのでしたら、ワタシは付き合いますよ」


「え? どう言う事なの?」


「シオンなら、何があってもワタシのコトを守ってくれると思いますし、何よりも頼れる人ですからねぇ。

シオンが告白をしてくれたら、ワタシは付き合いますよ」


コニーさんはそう言うと、唇を重ね合わせて来た。


「フムッ!?」


「なぁっ!?」


「へぇっ!?」


僕達が驚いている中、コニーさんは重ねた唇を離した。


「ねぇマイ。好きな人にこんな事が出来て、アイテが求めても出来るの?」


「それはぁ〜・・・・・・」


「まぁ、ワタシがカンヨする事じゃないから口出し出来ないけど、1つだけ言える事があるの」


コニーさんはそう言うと、舞ちゃんに向かって指をさした。


「アナタ自身はもっとショウジキ・・・・・・いいえ、ワガママになってもいいと思います!」


「ワガママ? 何を言っているのかわからないわ」


「今のアナタにとってワタシの言葉が理解出来ない筈です。でもワタシにはわかります。そんな生き方をしていたら、いずれは自分自身を壊してしまいますよ!」


「自分自身を・・・・・・壊す?」


舞ちゃんはそう言うと、俯いてしまった。


「ちょっとアンタ! デタラメな事を言わないでよ!」


「デタラメかどうかは鬼族のアナタが判断する事ではありませんよ。マイ自身がワタシの言ったコトバをデタラメかどうか判断するんです」


コニーさんはそう言うと僕の隣にやって来て抱き付いて来たので、ドキッとしてしまった。


「コニーさん、あのぉ〜・・・・・・」


「シオン、アナタがワタシに告白するのはもう少し待って下さいね。まだ・・・・・・ね?」


いや、するつもりは全くないんですけどぉ。


そんな事を思っていたら廊下を走る音が聞こえて来たので、そちらに顔を向けると見知らぬ男性と女性がやって来た。


あの人達はもしかして。


「ハァッ! ハァッ! す、すまない! 息子は無事、なのか?」


「もしかして、実野妓くんのご両親ですか?」


「はいそうです! 龍平は・・・・・・龍平は無事なのですかっ?」


そう言って迫って来たので、僕は身体を仰け反らせながら話し始める。


「落ち着いて下さい。今向こうで治療を受けている最中です!」


「そう聞いているんじゃない! 俺の息子は助かるのかって聞いているんだよ!?」


「看護師によると今全力で治療を行っているそうです」


この言葉以外聞いていないから、結果を知らないし言えない。


「そんな。じゃあ息子は・・・・・・」


「助かるかどうかわからないって事ですね?」


「・・・・・・はい」


僕がそう言うと、実野妓くんのご両親は泣き崩れてしまった。そこに舞ちゃんが側にやって来て慰合う形になる。そんな状態が続く事2時間、手術中と書かれたランプが消えた。


「どうやら手術が終わったみたいだな」


「そうですね」


果たして無事なのかどうか。と緊張していると、扉が開き先生が出て来たのだが・・・・・・。


「石野先生! 何でこんなところにいるんですか?」


そう、中から出て来たのは何と石野先生だった。しかもニッコリとした顔で僕達に近付いて来た。


「どうしても何も、私はサラに依頼されてここに来ただけよぉ」


「サラさんに?」


そんな事を言っていたら、リトアさんが僕の尻尾を掴んだ。


「なるほど。ここに来るように手配したのね」


「そうよぉ〜。下顎を撃ち抜かれていて、とても危険な状態だったけどぉ・・・・・・一命は取り留めたわよぉ」


その言葉に実野妓くんの両親は安堵を浮かべた。


「詳しい話をしなきゃいけないからぁ。ちょっとワタシと来て下さいねぇ。他の人達はここで待っていて下さぁい」


石野先生はそう言うと、実野妓くんの両親を連れて別室へと入って行ったのだった。

こうして彼の命は助かったが、石野は何を語るのだろうか?

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