紫音と勝手な行動
戦闘を繰り広げる紫音達。しかし、彼らの戦いに異変が生じて・・・・・・
『チームJ、準備よし』
『チームB、準備よし』
『チームC、こっちも準備よし』
「狙撃班も準備が出来ています」
『よし、突撃!』
天野さんの号令と共にドアをぶち壊すと室内へ侵入して行く。そして、建物から発砲音がこっちまで響いて来た。
『コニー、2階いる連中は全員敵だ! 狙撃してくれ!』
「リョウカイです!」
コニーさんはそう返事をすると、窓越しに見える敵の1人に照準を合わせてトリガーを引いた。
スゴイ! 身体の中央に当てたっ!!
驚いている中、コニーさんは隣にいた敵も撃ち抜いて倒す。外から狙われていると悟った1人がテーブルを倒して隠れる。
コニーさんがその隠れているテーブルに向かって3〜4発撃ち込むと、裏側からグッタリとした手が出て来た。そう、撃ち倒したのだ。
「流石コニーさん・・・・・・ん?」
「どうしました。シオン?」
「建物の左側の道路から白い車が2台来ました。あれはぁ〜・・・・・・敵の援軍!」
まさか、他にも敵がいたとは!
「アマノ達にシらせないとダメです!」
「そ、そうですね! こちらシオン! 敵の援軍がそちらに向かっています! 状況はどうですか?」
『もう少しで制圧完しそうだ! そっちで敵の増援を何とか出来ないか?』
「時間稼ぎなら出来そうです!」
『了解、頼んだ!』
アマノさんの声を聞いたコニーさんは、マガジンを差し換えて走っている白い車に狙いを定める。
「タイヤか運転手。どちらを撃ち抜くのか、コニーさんに任せます」
「OK。運転手をウち抜きます」
コニーさんはそう言うと、敷地内に入って来た先頭車両の運転手を即座に撃ち抜いた。運転手を失った車は、けたたましいエンジン音と共に猛スピードで外に置いてあったコンテナに突っ込んだ。
そして残ったもう一台の方は狙撃されたと勘付いたのか、来た道を戻るように車をバックで走り出した。
「壁の裏に隠れるつもりかも! コニーさん!」
「任せてクダさい!」
コニーさんはそう返事をすると、バックをしている最中の車の後輪タイヤを撃ち抜いた!
コニーさん、凄過ぎ!! このままいけば僕必要ないんじゃない?
後輪タイヤを撃ち抜かれた車はコントロールを失い、門の側面に激突をして停まってしまった。
「ナイスショット!」
「200mぐらいなら、これぐらいゾウサもないです。敵が降りて来るので、応戦しましょう」
コニーさんの言う通り、2台の車の中から敵が出て来て即座に物陰に隠れた。
「コニーさん、風速は毎時0.2m。安定しているよ」
「OK。先ずはネラえる敵を倒しましょうか」
コニーさんはそう言うと、見えている敵を1発で仕留めた。そして立て続けに倒された仲間に顔を向けている男の頭を撃ち抜く。
「2体撃破」
向こうは2人もやられた焦りからか、手当たり次第撃ち始めた。
「天野さん、外にいる敵が手当たり次第発砲をしているので、流れ弾に注意して下さい」
『了解! こっちも残った連中の抵抗を喰らっている。だが、何とか出来る範囲だから俺達を気にせず敵の排除に集中しているんだ!』
「了解です!」
コニーさんは立て続けに敵を倒して行き、残り後3人というところで異変が起きた。
「ん? ・・・・・・あっ!?」
「どうしたのですか、シオン?」
「何で彼らがあんなところに?」
僕達の側で狙撃を見ていた舞ちゃん達が、何と犯人達に向かっていたのであった。
何が何だかわからないけど、彼らを止めないとマズイ!
別の無線機を手に取ると、大声で話し始めた。
「入浜の生徒達! 危険だから戻りなさいっ!!」
『それは出来ません』
「出来ないって、何でっ?」
『校長先生の命令で、彼らを捕まえるように言われたんです』
校長先生の命令って・・・・・・。
「危険だから戻って来て下さい!」
『危険なのは百も承知です! なので、援護をお願いします!』
「ちょっ! 勝手に動かないで! そんなに広がってたら庇い切れない! 今すぐに戻って来なさい!」
必死の訴えも虚しく、 M4A1 を構えながら犯人に近付いて行く。
「ああ〜もうっ! コニーさん」
「わかっています、シオン! 彼らがテキと交戦する前に、倒せばいいんですね!」
コニーさんはそう言うと、また発砲をして敵を倒した。残り2人は何処から弾が飛んで来ているのか気付いたらしく、狙いは外れているがこっちに向かって撃って来た。
「コニーさん、居場所がバレ始めたから気を付けて下さい。それと、天野さんと通信をするので、あの2人をお願いします」
「リョウカイです!」
彼女はそう返事をしてからすぐに弾を発射させた。
「こちらシオン。問題が発生しました!」
『どうした、何があったんだ?』
「そっちに入浜の学生達が向かってしましました! そちらで保護出来ますか?」
『何だって! お前近くにいたのに止めなかったのかぁ?』
天野さんの声に怒気を感じるが、怯まずに話を続ける。
「気が付いたら彼らが勝手に向かっていたんですよ! それに無線で言ったのですが、こっちの話を話に聞く耳を持たないんです!」
『マジかよ・・・・・・』
絶句している天野さんの顔が頭の中に浮かんで来た。
『まぁいい。こっちの方はもう・・・・・・って、オイオイオイオイオイッ!?』
「どうしたんですか、天野さん?」
僕がそう言った瞬間、スポーツカーがシャッター突き破り外に出て来たのだ!
「GT-R!?」
『コニー、あの GT-R を止められるか?』
「コニーさん!」
「マカせて下さい!」
コニーさんはそう言うと、GT-Rに狙いを定める・・・・・・が。
「クッ!?」
入浜の学生達がGT-Rの存在に気付き、コニーさんの射線に入るような形で広がって撃ち始めた。
これじゃ撃てない!
「生徒達! こっちの射線に入っているから退きなさい!」
僕がそう言うと舞ちゃんがみんなに向かって何かを言うが、他の人達は聞こえてないのか、それとも聞く耳を持っていないのか、そのまま撃ち続ける。
「早く退いて!」
そう言うが、全く動こうとしない。そんな中、密輸者は逃げ道を見つけたと言わんばかりに生徒達の合間を縫って門から出た瞬間、猛スピードでその場を逃げ去ってしまった。
「早い!」
流石のコニーさんでも、道路に出てしまったスポーツカーを撃ち抜くのは出来なかったようだ。
「目標が逃げました! 繰り返します! 目標が逃げました!!」
『ああ〜、クソッ! まぁいい! 建物内は制圧が出来た。外の方はどうだ?』
「クリア状態です」
『そうか。シオン、コニー! ケツがめり込んでいる車のところに集合してくれ!』
「了解! コニーさん。行きましょう」
「・・・・・・はい」
スポッターをさっさと片付けると、急ぎ気味に合流地点に向かう。
「シオン、コニー。やっと来たか」
「遅れてキてゴメンなさい」
「あの距離なら、時間が掛かっても仕方ないだろう。それよりも、これからどうするか話し合うぞ。それと、だ・・・・・・」
天野さんがアゴをクイッとさせた方向に目を向けると、入浜の生徒達とリトアさん達が言い争っていた。
「だぁーかぁーらぁーっ! これ以上私達と共に行動をさせられないって言っているでしょう!」
「でも、校長が付いて行けと命令していますし」
「それに、私達だって役に立ったでしょ?」
何か物申そうと歩き出したコニーさんを、天野さんは静止させる。
「こっちの命令を反いた時点で迷惑だったよ。それにさっきの行動が役に立ったと思っているのなら、キミ達の勘違いだよ」
「勘違い?」
「ああ、キミ達はコニーさんの狙撃の邪魔をしていただけだよ。シオンくんが言っていたでしょ? 邪魔だって」
リュークさんの言葉に思うところがあったのか、一歩引き下がった。
「でも、俺達だって車にダメージを与えたじゃねぇか」
「・・・・・・停められなきゃ、意味がないと思う」
「糸風?」
舞ちゃんはそう言ってから、リュークさんと宇野元くんの間に入った。
「みんな、もう大人しく帰ろうよ」
「ハァ? どうしたんだよお前。怖気付いたのか?」
「怖気付いた訳じゃないよ! 私達はこの人達が言う通り、ただの邪魔なだけな存在って気が付いたの。だから下谷先生のところに帰りましょう」
「舞・・・・・・」
日野谷さんが歩み寄る中、校長から通信が入ったのか、瀧口くん達はイヤホンに耳を傾ける。
「・・・・・・はい。わかりました! みんな行こう!」
そう言って身体を翻して歩き出した瀧口くん達。しかし舞ちゃんと日野谷さんだけは、信じられないような顔をして立ち尽くしていた。
「行くって、何処に行くつもりなの?」
「我々は密輸業者を追いに行きます! 行こう。舞、日野谷!」
「・・・・・・え?」
「今の会話に疑問を持たなかったの?」
信じられないような顔している2人に対して、宇野元はキレた様子で歩み寄った。
「テメェらがそんな腰抜けなら、俺達だけで行く! 行くぞ瀧口!」
「・・・・・・ああ」
「ちょっ、待って! 2人だけじゃ無理でしょ! 戻って来なさい!!」
リトアさんの声も虚しく、2人は走り去ってしまった。
こうして、勝手に行ってしまった入浜警察予備校の生徒達。果たして彼らは大丈夫なのか?




