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ラブホでスマホ

これは私が何年か前に実際に体験した事を

元に書いています

登場人物の名前は仮名にしてあります


「あーっ!ちょっとちょっと、チサイさん!

ココ分かんないんだけど!」

従業員休憩所のテーブルの向かいに座っている

サボちゃんが声を上げた

「えー、ドコドコ?あー、これはね……」

そう言って真新しいスマホを受け取り華麗にタップ

「はい、出来たよ」

「わぁー、ありがとう。

やっぱりあなたがいないとダメね」

スマホを受け取りながら

サボちゃんが朗らかに言う

サボちゃんは御年62歳

最近ガラケーから最新スマホに変えました

操作がおぼつかなくても

電話やメールのやり取りぐらいは簡単なので

いちいち聞いてこないのだけど……

仕事の合間の休憩で

私がスマホゲームをしているのを見て

自分もやってみたいと仰った

自分のアバターを作って

服や雑貨をコーディネートし

日記なるものを書き

他のアバターのフレンドさんを作り……

ええ、1から丁寧に教えてあげましたとも

写真の撮り方やデコり方、フレンド作りのコツまで

サボちゃんはとても優秀な生徒さんで

見る見るうちに習得し、フレンドさんも増えました

そして、今ではそのゲームの中のミニゲームまで

それはもう楽しそうにしております

そんなサボちゃんを見ているのは大変微笑ましく

今の職場も悪かないなぁと思っていました


職場と言うのはラブホテルで、

主に客室清掃と調理を担当です

初めて面接で来た時には

ラブホの前に野犬が

3、4頭いて中に入れず、

「犬がいて中に入れましぇ〜ん」

と連絡を入れたら

サボちゃんが迎えに出てくれました

この時、サボちゃんを初めて見たのですが

ほっそい体でふらぁ〜っと出て来て

何事もないように犬の合間を歩き

駐車する場所を教えてくれました

車を止めている間、サボちゃんは

しっしっと犬を追い払っていました

ガリガリに痩せた犬と

ガリガリに痩せたサボちゃん

もし面接に受かったとして

私、ここで本当にやって行けるのかしら?

そう思った瞬間でした



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