004話 ティグスタット村
ティグスタット村に着いた。
門は無いが門番、見張りと言った方が正しいだろうか、
声をかけられる。
「身分を証明するものは持っているか?」
「持ってないので、ギルティチェッカーで確認お願いします」
「じゃあ、こっちへ来い。この水晶に手を載せるんだ」
言われた通り手を載せる。すると、水晶から白い光が放たれる。
ちなみに犯罪歴が有ると黒い光となる。これがギルチィチェッカーである。
「大丈夫なようだな。入村料として200ガル徴収する」
銀貨2枚を握り込むようにして手渡す。
魅了の魔手の効果で好感度が上がる。
「お前しばらくこの村を拠点にするつもりか?」
「はい、冒険者として活動しようと思っています」
「なら、真っ直ぐ行くと建物が見えてくるから、その3軒目が冒険者ギルドだ。そこで登録すりゃあギルドカードが発行されるから、次からはそれが身分証明書になる、入村料はもう払わなくてよくなるぞ」
「親切にありがとうございます」
「なあに、気にするな。おめえさん名前はなんて言うんだ?俺はテッドだ。気軽にテッドって呼んでくれ」
「カナタ ミサキです。 カナタって呼んでください、テッドよろしく」
「ああ、カナタもよろしくな」
テッドに見送られながら僕は冒険者ギルドを目指した。
歩いていくとすぐに冒険者ギルドが見つかった。
意を決して入り口をくぐり受付と思われる場所に座る。
「はじめまして、どういったご用件でしょうか?」
「冒険者登録をしたいのですがこちらで大丈夫でしょうか?」
「はい、こちらで承っております。では、これに名前と戦闘スタイルを記入していただけますか?記入している間に必要なものを取ってきますので」
「はい、分かりました」
渡されたプレートに名前を記入し、戦闘スタイルの項目の剣、盾、攻撃魔法に
チェックを入れる。
「お待たせしました、カナタ ミサキ様ですね。戦闘スタイルは剣、盾、攻撃魔
法ですね。えーと、回復魔法ももしかして使えますか?」
「あ、チェック忘れてました、下級ですが一応使えます」
「それでは回復魔法にもチェックを入れてと、ではこちらの針を刺してここへ血を一滴垂らしていただけますか?針は毎回クリンネスの魔法で奇麗にしてありますので病気の心配は有りませんよ」
血液感染の知識が有る事に少し驚きながら言われた通りに針を指に刺し、登録装置に血を垂らす。すると、装置に置かれたプレートが淡く発光し変化した。
「それでは、こちらがギルドカードでございます」
カナタ ミサキ
ギルドランクG
貢献度「0/100」
剣、盾、攻撃魔法、回復魔法
討伐履歴「」
と書かれた白色のカードを渡された。
「カナタ様、それでは冒険者ギルドについて説明させていただきます。今回は私、アイシャが説明を行います。まず、ギルドカードについてです。初回発行は無料ですが再発行には金貨1枚いただく事となっております。冒険中、死亡した冒険者を発見した際はギルドカードの回収をお願い致します。ギルドに届けていただければ謝礼をお渡ししております。装備品などはご自分のものとされて結構です」
世界知識によるとギルドカードは古代技術により作られており新たに作るには莫大な費用がかかるためこういった処置がなされているそうだ。
「次にギルドランクについてです。ギルドランクはG、F、E、D、C、B、A、S、SS、EXの10段階に分かれており、Fランクまでが初級でカードの色は白、次にE〜Cが中級でカードの色は青、B、Aが上級でカードの色は赤、S、SSが特級でカードの色は銀、EXは超特級と言われ世界に4人しかいません。カードの色は金です。初級、中級、上級、特級、超特級ではギルド提携店でのサービスが異なります。初級で10%割引、級が上がるごとに5%ずつ割引率が増え、超特級では30%割引になります。ただし、緊急討伐依頼がでた場合は、指定ランク以上の人は応じない場合、罰金とランクの降格が有ります。主立ったところは以上となります。細かな規定については、こちらの冊子にまとめてありますので、時間のある時に目を通しておいてください。なにか、質問はございますでしょうか?」
「はい、ここまでくる途中にミニゴブリンとホーンラビットを狩ってきたのですが常時討伐依頼に有りますか?」
「そのミニゴブリンのみ常時討伐依頼の対象ですね。10匹ごとに1銀貨となっております。その他の素材はあちらの素材カウンターで引き取っております」
あらかじめボックスから取り出しておいた40匹分のミニゴブリンの耳を渡す。
「はい、えーと数えますね。1234…全部で40匹分ですね。4銀貨と貢献度4ptです。ギルドカード出していただけますか?」
ギルドカードを渡すと登録の機械とは別の機械にカードを載せ作業をしている。どうやら作業が完了したようだ。
「貢献度4pt追加しておきました、あとこちら4銀貨です。ご確認ください」
ギルドカードと4銀貨を受け取る。
ギルドカードは貢献度「0/100」から「4/100」に表示が変わっていた。
「ところで、おすすめの宿ってありますか?出来れば朝食、夕食付きの所がいいのですが?」
「それでしたら、向かいの通りの白猫亭がおすすめですよ。ご飯もおいしくてギルド加盟店ですから割引が効きますよ」
「アイシャさん今日はありがとうございました。少しの間かもしれませんが、この村を拠点に稼ごうと思っているので、よろしくお願いします」
すっと、手を出し握手を促す。
「カナタ様もよろしくお願いします」
しっかりと握手してくれた。好感度はばっちりだ。
その足で素材カウンターへ向かう。
「素材の買い取りお願いします」
「そこのスペースに出してくれるかい、結構大量だね、あんた、アイテムボックス持ちかい?全部状態がいいねえ、ちょっと、待ってくれるかな、査定するから。終わったら名前呼ぶから教えてくれ」
状態がいいのは、不思議なアイテムボックスの、自動解体の効果である。
ファイアボールで丸焦げになった死体も、自動解体にかかれば新品同様の死体になるのである。
「カナタです。アイテムボックス持ちなんで、これからもたくさん持ち込みます。よろしくお願いします。えーと、「ジーベックじゃよ」ジーベックさんこれからよろしくお願いします」
例によって握手をする。
しばらくして名前を呼ばれる。
「ミニゴブリンの死体が一匹につき5ガル、40匹じゃから200ガル、ホーンラビットの角が一本当たり5ガル、皮も5ガル、肉は10ガル、20匹じゃから400ガル全部で600ガル、6銀貨じゃ」
「ありがとうございます。6銀貨確かに受け取りました」
素材も売り尽くしたので白猫亭へと向かう。ちなみに、魔核は売っていない、なぜなら、低級のモンスターの魔核は価値が低く売ってもたいした金にならないのである。合成する事でランクの高い魔核に変換出来るのである。魔核のランクを上げる事で、付与出来るスキルや魔法の、レベルの上限が大きくなる。低級1~3、中級4~5、上級6~7、特級8~9、超特級10である。魔核はスキルや魔法を込め、スロット付きの武具に装着する事で、魔導武具を作る事が出来る。また魔導具も作る事が出来るのである。世界知識より。
白猫亭に着いた。そのままんま白猫の看板だった。
「いらっしゃいませ、お食事ですか、それともお泊まりですか?」
「アイシャさんの紹介で泊まりに来たんですが」
ギルドカードを提示しながら答えた。
「あの子の紹介で、あら新人さんかい、なら一泊朝食、夕食付き100ガルのところを80ガルだね」
「10%引きの90ガルじゃないんですか?」
「アイシャは私のいとこなのさ、そして私はメイシャよろしくね」
手を差し出してくるので握手する。
「そういうことなんですね、じゃあ10日間宿泊お願いします」
「じゃあ、8銀貨になるね。夕食は18時から21時の間、朝食は6時から9時の間だよ昼食と時間外は8ガルになるからね」
僕はメイシャさんに8銀貨を払う。
「はいよ、部屋は207号室だよ。階段上って突き当たりの部屋だよ。夕食ももう大丈夫だからね。鍵見せれば食べられるよ。風呂は階段横の廊下の突き当たりに有るから、時間はいつでも大丈夫だよ」
「メイシャさんありがとうございます。お風呂が有るとは、すごいですね」
「なあに、たまたま温泉が湧いてるだけさ、この村唯一の、自慢出来るところかな」
「お風呂入れるとは思ってなかったんで、とてもありがたいです」
「そーかい、気に入ってくれて何よりだよ」
「では、夕食食べたら温泉入ってきます」
食堂に向かう前に一旦部屋に入り装備品をアイテムボックスにしまう。
不思議なアイテムボックスは装備を外さずに仕舞え、出す際も直接装備が出来てしまう、普通のアイテムボックスとは違うのだ。人前でそれをしてしまうと普通のアイテムボックスではない事がばれてしまうため一旦部屋に入ったのだ。
さてと、準備ができたので改めて食堂に向かう。
「今日のおすすめ料理はなんですか?」
「今日のおすすめはホーンラビットの胸肉ソテー定食だ」
「じゃあ、それお願いします」
「空いてるとこ好きに座っときな、出来たら持っていくから」
もしもの襲撃に備え一番奥の席に座る事にした。
「ホーンラビットの胸肉ソテー定食お待ち」
「ありがとうございます」
やっとまともな食事である。昼飯は携帯食料でとても美味しいとは言えなかったのだ。
「いただきます」
まずはメインのホーンラビットの胸肉ソテーから柔らかでジューシーでとても美味しいです。パンをスープにつけて一口塩味がちょうど良くとても美味しい。飲み物も柑橘系だろうか酸味と甘みのバランスがちょうど良い。気がつけばあっという間に食べてしまっていた。
「ごちそうさまでした」
「兄ちゃんいい食いっぷりだったぜ。作ったかいが有るってもんだ」
「カナタと言います。おやっさんは?」
手を差し出し握手を促す。
「カイゼルだよろしくなカナタ」
がっちりと握手をした。
鑑定をかけたらカイゼルは《料理Lv9》だった。
食事が終わったらお待ちかねの温泉である。
転生初日から温泉に入れるとは、これはやはり天運のお陰か。
クリンネスをかけて体を奇麗にし、湯船につかる。極楽気分である。
風呂から上がり服を着て(もちろんクリンネス済みである)部屋に戻る。施錠し、何気なく鍵をアイテムボックスに仕舞った。
すると脳内に「解錠Lv2、施錠Lv2を獲得しました」とアナウンスが流れた。意外なところからスキル得られるんだな。
おそらく、19時半くらいだろうか。まだ寝るには早い時間である。
まずは魔核の合成を行おう。机の上にミニゴブリンの魔核x40、ホーンラビットの魔核x20を置き、生活魔法のコンポジットで合成する。完成したのが低級魔核「60/100」である。
まだまだ時間はあるが室内で魔法の練習は出来ない。そこで僕は出来るだけ音を立てないようにステップを行いながら解錠、施錠を行う事にした。気配察知も全開だ。解錠、施錠のLvがMAXの10になったところで眠る事にした。暗いところで解錠、施錠を繰り返したため、夜目スキルが、音を立てないようにステップを行ったため忍び足スキルを覚えLv8まで上がった。気配察知もLv10になりいつの間にか覚えた魔力察知もLv8まで上がった。
こうして、エスティライド生活の1日目が終わった。
初めての村
冒険者ギルド登録
初めての宿
初めての温泉
カナタ ミサキ
種族:人間
性別:男
年齢:25
職業:放浪者
レベル:17
HP:500/500
MP:650/650
STR: 95
VIT: 100
DEX: 100
INT: 130
AGI: 95
LUC:999
100,000ガル
スキル
特殊スキル
変化なし
パッシブスキル
《気配察知Lv10》"up"《魔力察知Lv8》《夜目》"new"
アクティブスキル
《ステップLv10》"up"《忍び足Lv8》《解錠Lv10》《施錠Lv10》
《生活魔法》"new"
称号
変化なし