016話 上級昇格試験
上級昇格試験です。
(おはようございます、カナタ)
(おはよう、クロノ)
エスティライド生活14日目の朝だ。
さっそく、お風呂に入って目を覚ます。今日は大事な上級昇格試験だ、しっかりと朝ご飯を食べ、準備をする。
ちなみに装備は、右手に妖刀ムラマサ、左手にダーインスレイヴとアイギスの盾、両手に鬼神の篭手、体に大魔道士のローブ、両足に鬼神の足甲、腰に解体のナイフとマジックスレイヤースタッフだ。高い攻撃力と守備力、魔法攻撃に至っては4倍の威力だ。はっきり言って、敵はいないだろう。ちなみに偽装の効果でミスリルの装備に見えるようにしてある。
「ミーシャさんおはようございます」
「昇格試験頑張るんだよ」
「はい、ありがとうございます、行ってきます」
ギルドについた、まだ8時には早い。昇格試験の前に盗賊の報奨金の受け取りと依頼のチェックをしようと思ったのだ。
「リーネさん、盗賊の報奨金準備出来てますか?」
「カナタ様、お待ちしておりました、準備出来ております。まず盗賊のリーダーが10,000,000ガル、サブリーダーが7,500,000ガル、残りのメンバーが一人当たり5,000,000ガルで合計87,500,000ガルです」
87白金貨と50金貨を受け取る。
50金貨はちょうどいいから他のメンバーに渡そう。そう思いながら、依頼をチェックしていく。迷宮の地図作製依頼なんてものがある。そう言えば世界知識によると、迷宮がこの近くにあったな、正しくは迷宮の近くにこの町が作られたのだが。(カナタ、7:50です)(ありがとうクロノ)どうやら時間だ。
旅のメンバーが揃っていた。挨拶もそこそこに一人一人に10金貨ずつ渡していく、最初は渋っていたがなんとか説得して渡した。試験官達がやって来た。
「みんな揃ってるな、上級昇格試験担当代表のエミリオ=ランスフォードだ。昇格試験の内容は、迷宮の10階層までの突破だ、各パーティーにSランク冒険者が試験官として付く、みんな6人パーティーを作れ」
30人が思い思いのパーティーを作っていく。
成り行きというか当然のように僕は商隊護衛メンバーがパーティーとなった。試験官は予想通りエミリオさんになった。
「なんで叔父貴がくるんだよ」
「かわいい、甥っ子の面倒を見るのは当たり前じゃろ」
「だいたい、王都に居たんじゃないのか?」
「そろそろ昇格すると噂で聞いてな、早馬で駆けて来た」
「ああ、もう、好きにしてくれ」
残りのメンバーはエミリオさんに自己紹介していく、もちろん僕は握手もした。他のパーティー達も打ち解けたようだ。エミリオさんが姿勢を改める。
「みんな、準備ができたようじゃな、では出発する」
ぞろぞろと、西門から冒険者の集団が出て行く。自由の翼+3名は最後だ。10分ほど歩くと、迷宮に着いた。
順番に10分間隔で迷宮に入っていく。僕らの順番は最後だ。何故、試験官のリーダーのエミリオさんが一番じゃないのか聞いたところ、他の冒険者が敵を全滅した後に進んだ方が、エイザスさんが安全だからという理由だった。親バカならぬ叔父バカか。だが、エミリオさんの思惑は見事に崩れる事となる。
僕たちが迷宮に入った頃、他のパーティー達はまだ1階層を彷徨っていた。その一方、僕らのパーティーは、統率、指揮の効果で僕がパーティーを引っ張り、マッピング、超直感、罠察知で、最短ルートを突き進む。結局、魔物と戦う事無く最短で1階層をクリアした。
2~5階層も最短ルートを進みボス部屋の前まで来た。ここまで出て来た魔物はオークが12匹だけである。不思議なアイテムボックスの自動収集機能はoffにし、解体のナイフで解体、格納するという手順で処理している。
ボス部屋に突入した。ボスはオークナイトのようである。ステータスを見たが5人に任せても問題ない相手のようである。手加減スキルで見た目はダメージを与えているように見せて実は全く与えてないという攻撃を繰り出しながら、槍の攻撃を封じる。実際にダメージを与えるのは5人の役目だ。
といっても、僕が動きを完全に封じているので、戦闘はオークナイトが一方的にいたぶられる形で終わった。すると、転移石が現れた。これを使うと迷宮から脱出でき、次回は迷宮入り口横にある、転移ポータルから脱出した階層まで転移出来る。10階層が今回の目的なので転移石はオークナイトを解体し、一緒に格納する。新たに、迷宮脱出、迷宮位置記録、限定転移のスキルを覚えた。
6~10階層はオーガが出現する。オークの上位種で格闘を得意とする。だが、これらも、問題なく倒しながら最短ルートを進んでいった。10階層でマッピングに反応があった。コン、コン壁を叩く、すると、他とは違う軽い音のする場所があった。
「ん、カナタ、隠し部屋か?」
「そうみたい、うーんとここかな?」
罠の反応はない、スイッチを押すと、隠し部屋への入り口が開いた。中には宝箱が一つ鎮座していた。高レベルの施錠がなされていたが問題なく解錠し、中身を取り出した。ドラゴンスレイヤーソード2本、ドラゴンスレイヤーランス、ドラゴンスレイヤーアロー、マジックバスターロッドの計5個の武器が入っていた。
ドラゴンスレイヤーソード
レア度:ウルトラレア
状態:良好
説明:竜気により高い切れ味を誇る剣。
ドラゴンスレイヤーランス
レア度:ウルトラレア
状態:良好
説明:竜気により高い貫通力を誇る槍
ドラゴンスレイヤーアロー
レア度:ウルトラレア
状態:良好
説明:矢に竜気を纏わせて高い貫通力を誇る。
マジックバスターロッド
レア度:ウルトラレア
状態:良好
説明:魔法の威力が+50%上がる。
これらの装備は5人に装備させた。
ボス部屋の前に着いた。ここまでの討伐数はオーガ18匹である。いよいよ、最後の部屋である、気を引き締めてボス部屋に突入した。
まさにそこには鬼が居た。
「キングブラッディキリングオーガじゃと!!SSランクの化け物がなんでこんなところに」
エミリオさんはそう叫んだ。
キングブラッディキリングオーガのステータスはこうである。
キングブラッディキリングオーガ♂
レベル:120
HP:12,000/12,000
MP:2,500/2,500
STR:2,000
VIT:2,400
DEX:1,500
INT: 500
AGI: 500
LUC:3
特殊スキル
《スーパーアーマー》《スキル指南》
パッシブスキル
《体術Lv10》《総合格闘術Lv10》《剛腕Lv10》《剛脚Lv10》《身体強化Lv10》
《生命力Lv10》《魔闘気Lv10》《鬼気Lv10》《金剛身Lv10》《直感Lv10》
アクティブスキル
《気力操作Lv10》《魔力操作Lv10》《鬼力操作Lv10》《発勁Lv10》
《浸透勁Lv10》《震脚Lv10》《咆哮Lv10》《威圧Lv10》《殺気Lv10》
《支配Lv10》《統率Lv10》《指揮Lv10》
称号
《師範》
スキル指南に師範、いいんだけどダンジョンボスだから宝の持ち腐れになってるな。支配、統率、指揮も死にスキルだし、警戒するのは震脚からの発勁だな、いい機会だから、化勁を覚える実験台になってもらおう。
みんな、竜気を纏った武器を持ってるし、魔闘気も覚えている。ダメージは通るだろう。ちなみに、気の強さの順番は強い順に、神気、妖気、竜気、鬼気、魔闘気の順番である。
「みんな、散開して隙を見て一撃離脱」
僕の指示でみんながオーガを取り囲むようにして散開する。
挑発で攻撃を僕に集めようとしたが、どうやら、直感で僕が一番強いと悟り、僕だけを攻撃対象に入れてきた。
震脚からの発勁が迫る、浸透勁をイメージしながら受け流しを行う、打撃そのものは受け流したが発勁のダメージは5割ほど受けてしまった。その間に、みんなは攻撃する、ダメージはわずかだが与えている。そんな攻撃は無視して、2発目の発勁が来る。今度は2割ほどのダメージに抑えた。みんなが攻撃し、3発目の発勁が来る。今度は完璧に受け流す、その流れでダーインスレイヴで出血攻撃を行う。これで、傷は塞がらず、出血し続ける状態となった。
化勁をマスターした僕にはもはや、キングブラッディキリングオーガは敵ではなかった。化勁で攻撃をいなし、幻魔剣と出血攻撃で出血箇所を増やしていく。
見る見るうちに、体力が奪われHPが30%を切った。生命力が発動し、オーガの動きが良くなる。そのままだと、みんなが危ないので、重力操作で10倍の重力をかけ動きを減じる。
しばらくして、オーガは倒れ動かなくなった。失血死したようだ。転移石と宝箱が現れる。オーガを解体し格納した後、宝箱を開ける。一振りの刀が入っていた。
鬼切り丸
レア度:レジェンド
状態:良好
説明:一太刀で鬼を両断出来る妖刀。
刀は使う人が居ないので文句無く、僕のものとなった。
10階層を突破したので、時空干渉を受けない状態だと取り残されてしまうので一時的に解除し、転移石で地上へと戻った。踏破時間は2時間30分と最短記録だった。これで、昇格試験は合格のはずだ。
エミリオさんはあれからずっと黙っている。SSランクの魔物を倒してしまったのがまずかったのだろうか?
試験は全員帰ってくるまで待たないといけないので、少し早いが昼食にする事にした。せっかくなので、スリーピングワープシープのステーキにした。食べ物は人を元気にする、エミリオさんも明るさを取り戻した。
「叔父貴、いつまで待ちゃあいいんだ?」
「お前達が早すぎじゃ、地図も無いのに最短ルートで進むわ、おまけに、隠し部屋まで見つけるわ、他のものが出てくるまで待つんじゃ」
「他のやつはどれくらいで出てくるんだ?」
「大体6時間前後じゃ」
「じゃあ、後3時間も待たないといけないのか」
「ところで、10階層のボスなんと記録されておるか?」
「叔父貴の言ってた通り、キングブラッディキリングオーガだよ」
「SSランクの魔物って本当か?固かったけど、誰もダメージ受けてないぞ。カナタばっかり攻撃が行って大変だったな」
「受け流しは得意だから問題なかったよ」
(そう、問題はこの青年だ、あれの攻撃は受け流しでは防ぎきれないはず、それにまともなダメージを与えていたのもこの青年だけだ。)
「別の冒険者がいいとこまでダメージ与えてたんじゃないかな?そこに丁度僕たちが来た。犠牲になった冒険者には感謝しないとね」
エミリオさんが疑っているようなのでごまかしておく。
「そうだな、俺たち運がよかったのかもな」
新たに得た支配と詐術で意識を上手く誘導していく。最終的に、みんなが迷宮から出てくる頃には、死にかけのボスにとどめを刺したという事になっていた。不名誉な事に洗脳スキルを覚えてしまった。
「みんな無事に帰って来たようじゃな、では、ギルドに戻って更新の手続きを行うぞ、さあ、出発じゃ」
帰る順番は帰還が早かった順だ。もちろん、僕たちのパーティーが一番だ。ギルドに着くと2階の広めの部屋に通された。
「では、おぬしら、ギルドカードを出せ」
みんなギルドカードを渡す。
「これでおぬしらはAランクに昇格じゃ」
ギルド職員が処理して新しく赤になったギルドカードを受け取る。よくみると、貢献度が「100/100」と成っている。
「いきなり、Aランクでしかも貢献度も満タンに成ってるんですが?」
「弱っていたとはいえ、SSランクの魔物を討伐したんじゃ、これくらい当然じゃ。相手が万全じゃったらSランクだったのう」
上手い事誘導出来てよかった、僕はともかく他の5人はいきなり、Sランクに成ってたら大変だったろうな、もしかしたら、Aランクでも大変かもだけど。
更新手続きが終わったので素材の買い取りカウンターに向かう。
「ゼーベックさん、素材買い取りお願いします」
素材を並べていく。
「オーク肉x13で13,000、スチールメイスx12で18,000、ミスリルランスが1本で200,000、ミスリルアーマーが1つ250,000、オーガ肉x18で27,000、オーガの角x18で90,000、キングブラッディキリングオーガの肉が15,000、キングブラッディキリングオーガの角が50,0000、転移石が1つ3,000,000で3,663,000ガルじゃ」
366金貨と30銀貨を受け取る。
6人で討伐を行ったので6等分して61金貨と5銀貨ずつになった。魔核は買い取らせてもらった、オークx12で120、オークナイト1つで1,000、オーガx18で18,000、キングブラッディキリングオーガは1,000,000で合計1,019,120ガルだ。一人当たり、203,824ガル、20金貨と38銀貨と24銅貨になった。
みんなと別れ掲示板で依頼をチェックする。珍しい魔物の情報は無い。迷宮の地図は15階層まで作製されていた。1ヶ月ほど前に迷宮の成長があったようで、成長する前は25階層が最下層だったらしい。ならば、今は30階層が最下層と見ていいだろう。
決めた、3日で、この迷宮を制覇する。16階以降の地図も作る。よし、早速紙を買いにいこう。紙は結構高かった。一枚一金貨もした。
黒猫亭に行き、3日の宿泊を頼む。
「ミーシャさん宿泊3日お願いします」
ギルドカードを提示しながら言う。
「カナタ、無事、昇格したみたいだね、3日だと210ガルだよ」
2銀貨と10銅貨を渡す。
「部屋はそのまま301空けてあるよ。はい鍵だよ」
「ありがとうございます」
部屋に入ると訓練用亜空間を作り分身10体を作り出し、10倍の重力下で震脚からの発勁と化勁の訓練をする。20:30になるまで訓練を行った。STR、VIT、DEX、AGIがそれぞれ、2ずつ上がった。
ちょっと遅めの夕食をとり、風呂に入る。
戻って、魔核合成を行い、低級魔核「1/100」、中級魔核「22/100」を得た。
魔核の合成が終わったので就寝する事にする。
こうして、エスティライド生活の14日目が終わった。
師範
スキル指南でスキルを教えるとき
教わる相手のスキル熟練度が+100%される。
カナタ ミサキ
種族:人間
性別:男
年齢:25
職業:暗殺者|武神
レベル:45
HP:1,230/1,230
MP:1,350/1,350+100,000
STR:240(300)+25%
VIT:246(307)+25%
DEX:243(352)+45%
INT:270
AGI:240(348)+45%
LUC:999
1,002,996,688,928ガル
スキル
特殊スキル
《スキル指南》"new"
パッシブスキル
《迷宮位置記録》"new"
アクティブスキル
《発勁Lv10》《震脚Lv10》《化勁Lv10》《洗脳Lv10》《支配Lv10》《迷宮脱出》
《限定転移》"new"
称号
《師範》"new"




