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入学式の校長の話って異様に長いよね


 にしても、通学路が坂道なのだが、すごく急だ。中学校時代に部活をせずにずっとネトゲをしていた俺にとってはすごくつらい。


 くそっ、課金アイテムがあれば目的地までひとっ飛びできるのになぁ。それかウィザードが魔法をかけてくれたら足が早くなるのになぁー。


 そんなことを考えているうちに目的地についた。


 いざ、目的地につくと、これからの学園生活を待ち望んでいたかのような活気溢れる新入生たちがたくさんいた。

 基本的に人ごみも苦手なので、早く帰りたいなぁと思いながら、式の会場に向かう。


 「あの人ごみにメテオ打ち込みたいな。」


 式に会場に着くと、出席番号順に生徒が座っている。確か俺は2組の7番だったはずだ。

 1クラス30人程度の4クラス分の人数がこの体育館に集まっている。


 「新入生の皆さん、ようこそ我が本校へ。校長の―――」


 校長の挨拶が始まった。しかし校長の話ってものはやはり長いんだよなぁ・・・。設定開いてメッセージコマンドを『はやい』に設定できないものか。


 「――これからの皆さんがよい学園生活を送れるように、心から願っています。」


 『新入生一同起立!』


 おっと、めっちゃ気を抜いてたよ。俺は慌ててみんなと少し遅れたタイミングで立ち、礼をして座る。

 

 

 それにしても式が長いので、俺はこのクラスのみんなの顔をさりげなく見てみることにした。

 やはり普通に見ると少し怪しいので横目でチラッとみたり、椅子を利用して腰を曲げる勢いで後ろを見たりした。


 あれっ後ろの席の子・・・すごく可愛いな。


 二次元のキャラクターしか長らく見てなかったからか、美化されているのかもしれない・・・。

 いやでも、それを抜きにしてもすごく可愛い。はっきりいってタイプだ。


 まぁ、俺には恋愛なんて全く関係のないことである。一度ネットの中で女キャラクターを好きになったことはあったが、中身はおじさんだったことがある。おじさんにネトゲのアイテムを貢いでいたのだ。中学生が。


 「じゃあ、これからみんな教室の方に移動してもらうぞー。」


 おっと、もう式が終わっていたか。担任の先生になるであろう女の先生が前に立っている。20代後半といったところであろうか。透的にもオールオッケー!といった見た目でなかなかに綺麗な人だ。しかし、少し体育系な感じが否めない。


 

 体育館から移動をし、教室に入った。俺の席は・・・おっ一番後ろの席。これはすごいラッキーだ。まぁ学校にくるかわからないけど。

 横の席は誰だろうか?と横に目をやると、そこにはなんとさっきの後ろにいためちゃめちゃ可愛い即ハボな女の子がいたのだった。


 このとき俺は、この子の笑顔を見るために学校に来ることを激しく誓ったのであった。


 「じゃあ、とりあえずみんな自己紹介をしてもらうぞー!まぁ、まず私からだな!私の名前は三谷(みたに)恵理(えり)だ。このクラスの担任となった。普段は体育の授業を担当することになる!これからよろしくな!」


 黒髪のショートで体育会系の感じがすごくいいですね先生!って思わず心の中で言ってしまった。今日は入学式だからか、正装をしているが、普段はジャージなのだろうか?


 「じゃ、1番の阿笠から自己紹介していってくれ。そうだな、名前と何部に入りたいかと、好きなこととかでいいぞ!」


 「――阿笠健太です。野球部に入りたいと思っています。好きなことは・・・」


 明らかにモブっぽい感じがするので横耳に挟む程度にしておいて俺は左にいる女神の方をボーッとみていた。早くこの子の名前を知りたいのだ。

 

 「次…おい、桐谷!お前だぞ!」


 「えっ!!あ、はい!」


 自分の順番がいつの間にかきていた。これまでの間に自分が興味のあるような人はいなかったのであろう。それよりも女神のほうが勝っていたのだ。

 最初の自己紹介がすごく大事だ!これで学園生活が決まるといっても過言ではないのだ。


 「えっと、桐谷透です!部活はまだ決めていないです。好きなことは…パソコンで動画を鑑賞することです。よろしくお願いします!」


 完璧だ。完璧な自己紹介をした。それといって印象に残るものでもないのだが。

 社交辞令のような拍手を浴びせてもらってまた、モブの自己紹介が始まり、いよいよ女神の自己紹介となった。

 どんな子なんだろうか・・・非常に楽しみだ。


 「橘由香です。部活は入るつもりなくて、好きなこともこれといってない。強いて言えば読書かしら。よろしくお願いします。」


 ん・・・


 なんか性格きつそうな感じの女の子だな・・・。


 ネットの世界でしか女の子とまともに喋っていない俺にとっては、彼女のような性格の子があまり得意ではない。

 これはきっとガードもすごく硬いんだろうし、俺みたいなネトゲ廃人とはしゃべってもくれないのだろうな・・・。


 そんなことを思いながら、残りの人の自己紹介を、RPGで興味のないイベントを消化する如く聞いていたのであった。

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