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睨む目
見張られている。
数千数億の目がこちらを睨んでいて、振り向けばそれだけで死ぬ。
観客席から罵声を飛ばされ、時にはモノを投げられる。
それでも動けずにいる。
演じない事、破滅する事、明るい方に進まない事……それらが俺に与えられた役。幸せになるとか、それなりの人生を送るとか、普通の役をこなすのは無理だ。俺はどう足掻いてもゴミだから、主人公は勿論、通行人Aにさえなれない。
けれど、だからこそ、誰かを輝かせたい。
見向きもされない花や原石の隣に置かれて、少しでも誰かが比較してくれたなら、あっちの方が良いと言ってくれるなら、俺を睨む目が減ってくれるなら……
心から幸せだと思うのだ。
……もうこれでいいじゃないか。
早くこの渇望を終わりにしてくれ。