08話/「肉っていいよねー」
お久しぶりです、間が空きました。漸く続きをアップできます。
いよいよ、料理勝負、本番です。肉が焼かれます。トマトソースが絡みます。ジュージュー。
……このシーンを書きながら思いました。「俺、この原稿が上がったら、ハンバーグ焼いて食うんだ」、と。
――09月25日(土曜日)/座標軸:風見ナミ
「表っ!」
やや甲高い少女の声が響く。
「では、ワタシは『裏』か。了解した」
対になるように、低い男の声がそれに続く。
コインが宙を舞っている。須田兄ィの大きな手が、落ちてきた銀色の小さな塊をその掌に受け止める。
「おおー、かっちょえー。須田さん、凄いです。大人っすねー」
伏せた手を開く前に、「表」を指定した屋ノ塚カヤの声が大きく響く。
「こういうの、映画でしか見たこと無いっすよー。あ、もちろんオレンジャー系ですよ、映画は。その映画はテトラ・ポッター物じゃなくって……」
と、彼女はそこでことばを止める。須田兄ィが、掌で隠していたコインを開いたからだ。
「……『裏』だな」
冷静な声で告げたのは、掌の上にコインを乗せた須田兄ィだ。
「『裏』だな」
繰り返すように声を返したのは、残り籤を引いたレイジの、やはり静かな声だった。
「んで。どっち?」
「先攻」
間髪入れず、レイジは声を返す。今朝の作戦会議でナミが助言した通り、彼は先攻を選択する。
「て、ことで。ほんじゃ、裏組が先攻な。表組は後攻ってことで」
「須田さーん。ひょっとして、後攻って、味見対決だと不利じゃないっすかね?」
若干の残念さを声に滲ませ、カヤが愚痴っぽくポロリと零す。
「ま、大丈夫じゃねーの。そんじゃ、風見チーム、チャッチャと始めちゃってくれ」
「了解。行くぞ、ナミ」
「はいはい」
気合いの入ったレイジの声に、明らかに乗り気では無いナミの声が重なる。
「コイントス、って、マジ映画みたいだったっすねー。カッケー」
後攻だと決まって落ち着いたからなのか、カヤが安堵の表情を見せ、大きな声でお喋りを続けている。服装は、いつものように動きやすいスポーツウェア。但しお洒落を意識してか、高級メーカーの、色の綺麗な上下セットである。この日は多くの人間が集い、主賓のサキを除けばシェフ陣は主役級の頑張りが必要とされている。だから、お洒落に手を抜くのは流石に女子高生である彼女にはできない相談だったのだろう。
尤も、先日とは違い、バスケットボールは置いてきている。当然だ。この日は彼女もまた食材を沢山持ちこむ必要があったのだから。優先順位とは、そういうものだ。
一方で。
「カザミン、神矢さん。調理中の写真もオッケー?」
そう言って、江坂サエが台所に入って行く風見組についていく。
この日はポニーテールに髪を纏め上げ、ヘアに付けたシュシュに始まり、服装はもちろん靴下までピンクでカラーを統一している。先の挨拶によると、「今日のラッキーカラーなんだって♪」ということらしい。この時代の和国の少女らしく、彼女もまた占いやおまじないの類が大好きであることを、ナミは改めて思い出していた。
さて。今日は9月25日の土曜日、その当日である。
この日、調理に関係する人間は11時頃に風見家へ集合するようにと、ナミは声を掛けていた。そしてカヤは時間よりもやや早めに、サエを伴って到着していた。カヤの勝負に賭ける意気込み、そしてテトラ・ポッターと生リョージ君の視聴への意欲を感じさせる時間配分である。
朝からずっと仕込みをしていたレイジは、意外と早くにその準備を終えていた。10時を過ぎて手持ち無沙汰というところで、丁度、若い客人2人が早くに来訪した。
時間に余裕があるのをいいことに、最初は普通に2人をもてなしていた筈の彼が、いつの間にか『犬侍』の作劇面における構成の巧みさなどという暑苦しい話を独自で展開していた。まったくもって、相手の顔色も場の空気も無視しての、布教よろしくの独演会状態である。
その話題に関しては閉口気味だという表情を隠すこともないカヤ、そしてサエの誘導により、いつしか話が『犬侍』から時代劇全般へ、そして彼の大学時代の専攻である「和国文化論」の話へと展開し、更には旅の多い暮らしをしてきた彼が世界の貨幣の流通事情を語っていたところで、11時の少し前に須田兄ィが単独で到着した。遠い国の、変わった硬貨の話をしていたときだった。
「『コイントス』は映画やテレビでしか見たことがない」
と言うカヤ、そしてサエの話を受けて、須田兄ィが
「そんじゃま、それでやってみようか」
と言ったところで、皆の中にこの日の勝負が改めて強く意識された。
「『表』でも『裏』でも、好きに選びたまえ」
そう言ってカヤに選択肢を預けたのはレイジだ。ここは若輩者、もしくは女性に花を持たせようという意図もあったのかもしれない。しかしナミがその横顔を見上げると、たとえ先攻でも後攻でも自分は負けない、という確信にも満ちた表情を浮かべている。まるで拳道の試合前のような表情だと思いながら、勝負の行き先に今一つ乗り気でない彼女は小さくため息を吐いた。
そうして決まった先攻の、風見チームであるのだが。
台所に入ると、2人は即座に料理の仕上げに取りかかった。
ナミが冷蔵庫から捏ね上げた肉団子の入ったボウルを取り出していると、その右脇で彼が張り切った様子で腕を大きくブンブンと振り回している。その動作自体は実際の調理に関しては無駄なものでしかないのだが、意気込みだけは充分伝わって来る。何よりここは、普段使っている、彼にとっては使い慣れた台所である。
――ホームでの調理、その優位性を最大限活用しなければ――
などと、使い間でもある彼の独り言のような念が不意に漏れ伝わって来て、彼女は小さく微笑んだ。その意気込み、普段の『犬侍』への情熱を思えば、彼女としても解らなくもない。
そうして2人はテキパキ、サクサク、どんどんと、ことを進めていく。
ピンクのフリフリ衣装を可愛らしく着こなしたサエが、慣れない手つきで新型のコンパクトデジカメを弄り、台所の中をカシャリカシャリとフラッシュつきで撮影している。撮影技術は不明なものの、2人の調理の邪魔にならないように、上手い具合に立ち回ってくれているのが、ナミにはありがたかった。
しかし台所は狭いということで、サエはその場での撮影を早くに完了させる。そうして外の食卓へと移動すると、そこから覗き込むアングルでの撮影に切り替えた。
「サエちゃん、あんたそんなに写真撮るの、好きだっけ?」
「ううん。別にぃー」
そう言いながら、彼女は楽しそうだ。たまに、居間に残るカヤたちの方にもカメラを向けている。
居間にいるカヤと須田兄ィのコンビはというと、バスケットの試合の話などをのんびりとしている。
「それにウチのバスケ部、弱小だから、対外試合って言っても。地区大会も初戦敗退が殆どですし……近隣校との交流試合ばっかですね、基本は。もうちょっと強かったら、東乃市や北乃市の上のランクの高校とかとも交流が盛んになれるんですけれどもねえ。ウチの実力じゃあ。ええ。ええ。もっと、私だってボール触りたいっすよ。でも、ウチは2年生も層が厚いし、来月すぐの秋の大会で3年生が本格的に引退しちゃうんで。レギュラー狙うチャンスは、その頃ですね。ええ。ウチ、大学受験とかって、頭のいい一部の文科系の部活の人たちくらいですよ。私たちには別世界です。それで……」
続く会話の内容は、学校のこと、部活の先輩方の進学のことといった塩梅で、妙に平和だ。料理に関する段取りを打ち合わせる様子もない。聴力にこっそりと魔力を乗せて、ナミはそんな2人の寛いだ様子を窺っていたが、右隣で真剣な様子で火加減を見ているレイジに対しては特にそれを伝えずにおいた。そのレイジはというと、居間のライバルたちの様子を意識する余裕も余力も無い程、料理に全神経を集中している。
やがて。
居間の時計の針があと数分で12時を示しそうな頃、玄関のチャイムが鳴る。本日のメインゲストである葉山サキの到着だろうと見当をつけて、ナミは台所をレイジ一人に任せて玄関先に向かった。
――座標軸:風見ナミ
インターフォンの画像越しに、彼女の親友の柔らかい笑顔が見える。ナミはすぐに扉を開けた。
「今日はなんだかスゴイねー。お招きありがとね、カザミ」
挨拶もそこそこに彼女は真っ先に礼を述べる。
「ううん、まあどっちかっていうと、カヤちゃんとレイジがそれぞれ張り切ってるっつーか張り合ってるっつーか。それだけだから。あんたの釣り針が大きかったってことよ。だから、ま、礼ならアッチに言って。両者とも、やる気バッチリよ」
彼女の微笑みに釣られるようにして、ナミも自然と大きな笑みを浮かべる。
「あと、これ。アカネさんから。ご馳走になってばっかじゃ何だからって」
「ありがと。何?」
「葡萄」
「へー。シーズンだし、いいね」
「うん。それとほら、今日は武道者の集合率が高いからって。それにひっかけて」
「何、それ。ダジャレ?」
「うん、アカネさんの。今日の面子の内訳を、面倒だからその人の趣味で解説したら、こうなった。カヤちゃんとサエちゃん以外は、みんな武道者だし」
玄関でそのまま2人が立ち話をしていると、居間からサエがカメラを向けながら声をかけてきた。
「やっほー。久しぶり、サキちゃん。元気ぃー?」
「あー、サエちゃーん!」
次いで、本日のメインシェフのもう一人、後攻のカヤが居間のドアから顔を出す。
「サキちゃん、私もいるんだってば! こちとら料理人なんだよっ!」
「おー、カヤちゃん!」
そうして高校生たちはわいのわいのと盛りあがる。最後に会ったのが中学の卒業式という面々が、お互いの伸びた髪や変えたメイク、今日の服装と、なぜか今日の運勢、更には身長の話などで一挙に話題を展開している。
と。
「でもさー、サキちゃん。少し痩せた?」
軽く聞こえる声色ながらも、やはり心配を隠せない表情で、サエがカメラを下ろしてサキの頬を無遠慮にぐにぐにといじりながら声をかける。
「まあ、環境激変したからねー。もう慣れたけどさ」
「あ、そうか。今はウルサイかーちゃんじゃなくって、猫と従姉妹と一緒だもんね」
中学時代から、サキは周囲に母親との不仲を隠そうとはしていなかった。父親はもっとはっきりと嫌いだと言い切っていた。だから、7月にアカネの家へと転がり込んだことそのものも、彼女は結構サバサバと割り切った様子で皆にネタとして面白おかしく話をしていたのだろう。ナミも、そうしたメールの一部を受け取っていた覚えがあった。サエ、カヤの顔色からは、金銭面、殊に学費は大変ではあるものの、丁度親の監視がなくなって従姉妹と楽しい生活を送っている彼女のイメージがすっかりできあがっていたことが窺えた。元から、大の楽天家というキャラクターが知れ渡っていることもある。返すことばも、思いのほか、カラッとした口調だった。
猫と言えば、第一の客人の来訪時に既に雲隠れしてしまっている風見家の猫、無有ときょうだい筋にあたる猫が2匹、アカネの家には残っている。サキはそこに転がり込んだかたちだが、そうした若猫との生活を、時折のメールの話題にしているからだろう。今度はアカネの猫の話で更に盛り上がりを見せている。そうして猫の話題でひとしきり笑いころげていると、須田兄ィが居間のドアからひょっこりと顔を出した。
「そうだ。サキ、紹介しちゃうわね」
「おお、これが噂の『中野町の種馬』さんですかー」
「ちわーっす。こちらが噂の、『剣道を嗜む美少女』さんですなー」
サキは魔力持ちではない。魔力無しは口説かないという信条だというのに、早速、須田兄ィが持ち上げ気味の返事を返してくる。若い未婚女性に対しての達者な一言。もうすぐ来るであろう連れ合いたるハルカがその場にいようものなら、張り手は確実だ。ナミの頭の中に、その図が鮮やかに浮かび上がる。
ともあれナミは、今日が初見となる双方をきちんと紹介する。2人は正式に名前、とは言ってもそれぞれ通称だが……その交換を終える。
と、サキが早速須田を見上げながら、
「それにしても須田さんも、背、高いですねー」
盛んに頷いている。
レイジのようながっしりした体格ではないが、ひょろひょろと長いながらも、須田兄ィもかなりの高身長だ。サキにとってはそれが面白かったのだろう。ウンウンと頷いているその様子に、サエが、「私もカレシは背が高い人がいいです!」などと、明後日の方向で会話に参加してくる。
「ってか、サエちゃん、まだカレシできないの? 卒業時にあんだけカレシつくるカレシつくるってキアイ入れまくってたのに」
「うん、ウチの学校の男子、見る目が無さ過ぎ」
「ホントに、それだけ?」
「……そ、そうよ!」
「てか、どうして部活、茶道部なんて選んじゃうのよ、サエちゃん。部活に男子いないじゃん」
「えー、だって、茶道やってるお淑やかな大和撫子、ってモテそうだと思わない?」
周囲にも好評だったのになー。ブーブーと半ば愚痴のように、サエがサキに「彼氏ゲット未だならず」の話を、学校の話に絡めて転がしていく。「その『周囲』とは家族だけじゃないのか」というカヤのツッコミにサキがウンウンと大きく頷き、サエが偽泣きでよよと崩れる。そんな高校生の即興漫才を、長身の魔力持ちの男が軽く笑いながら、どこを褒めていいものかと困ったような目で3人を見回している。
客人4人が問題無くじゃれ合っている様子を見て、ナミは皆を居間へと誘導すると、再び台所という名の戦場へと戻った。
既にレイジはトマトソースを丁度良い加減に仕上げており、自信に満ちた目線で台所に入ってきたナミを見下ろしてきた。
「少し早いか。あとはハルカさんと須田の娘が揃えば、焼き始めることは可能だが」
「そうねー」
ナミが見ると、居間に掛けられた時計の針は丁度12時、正午を指していた。そろそろ、残る客人2人もやってくるだろう。但し彼女たち2人に関しては、子どもであるミドリの気まぐれを宥めながらの移動だ。時間が前後することは構わないと、彼女はハルカに事前に伝えてある。
彼女は目をそのまま客人たちに向ける。ノリが良くなったサエが、再びカメラを意識して、カヤとサキのツーショット、あるいは客人4人のショット、などと撮影会を繰り広げていた。
そろそろだろう。そう踏んで、ナミは台所を今度は本当にレイジ一人に任せることにして、人びとをもてなすことへと意識を振り向けた。この日の彼女は料理人ではなく、レイジの助っ人でしかないのだから。
風見家の食卓は5人が着席可能だが、この日の集合人数はそれを上回る。それに何より、風見の食堂はそれほど広くはない。
朝の時点で、ナミとレイジは収容人数を考え、食堂と続きの間となる居間を臨時の食堂とすることにして、テーブルとソファセットの位置を変更していた。立食パーティを真似たバイキング形式を想定し、食堂から続く居間のソファセットを中心に、床に座り込むかたちでのセッティングである。
食卓テーブルは、完全に料理と食器置き場として位置付けた。清潔に整理し、神矢の本家から借りた皿も、既に綺麗に積み上げた。
肉料理の付け合わせとなるサラダは、キュウリとレタス、キャベツとトマト、過熱済みのカリフラワーとブロッコリーを山のように切って、取り易いように分けてある。ドカ鍋に大量に作ったスープが台所の中で鎮座しているが、それも後でテーブルへと運び込む。
ナミは、自宅の五合しか炊けない炊飯器を心配し、サエにパンの買い物を依頼しておいた。それは先程受け取り済みであり、そのパンも切って、見た目も良く盛りつけた。
「ハンバーグと合うパンなら何でもいい」というのがナミのリクエストである。ナミ同様に美食を旨とするサエは、主に自身の母の助言に従って、中野町で一番美味なパンを焼くパン屋を適切に選び、薄切りの上食パンと、全粒粉でできたバケットを買ってきてくれた。
しかも、代金を支払う気でいたナミの手を留めて、「品物代はカンパするわよ。むしろ私、ご馳走になる側じゃない」などという有り難いことばつきで。
恐らくそれは、彼女の家族からの気遣いだろう。中学時代も、彼女の家族はこまごまとこうした気遣いを見せてくれていたことをナミは思い出し、改めて心が温かいものに満たされるのを感じた。
そうやってナミが段取り全てにチェックを入れていると、呼び鈴が鳴った。
ナミが慌てて玄関へ向かう。須田兄ィも、女子たちの姦しい和から離れて、玄関へとやって来る。ナミが見ていたインターフォンに、須田兄ィも同様にチラリと視線を飛ばす。その画像を目に収めて、安心したような小さな吐息を洩らした。
画面越しの人たちをすぐに家に呼び込もうと、彼女は素早く扉を開いた。
「こんにちは、ハルカさん。ようこそ、ミドリちゃん」
「こんにちは、青の魔女ねえさま。タツー、今日は何して遊ぶのー?」
この日もいつものように、服装はペパーミント・グリーンとピンクの2色のコーディネート、そして上質な翡翠の小さな石を両耳に携えて、姫魔女のミドリが機嫌良く立っていた。子どもらしく簡素に挨拶を済ませると、父親である須田兄ィに手を伸ばして、靴を脱がして貰い、すぐに風見家へと上がっていく。そして父の手を素早く取って、玄関脇のドアから居間へと入って行った。
少し遅れて、須田兄ィの現在の連れ合いこと橘ハルカが丁寧に頭を下げてから家へと上がる。
「こんにちは、ナミ。ちょっと見ない間に……また、背が伸びました?」
「まさか! 変わってませんよ……多分」
そういえば、ミドリはともかく、ハルカと会うのは久しぶりだったことをナミは思い返す。一月以上は間が開いているかもしれない。8月中旬、半日程借りていた須田家の車を彼等の団地の家へと返しに寄った夏の朝の日が最後だろうと、ナミはぼんやりと意識の隅で思い返す。だが、いくらなんでも、流石に一月程度では身長がそう目に見えてわかるようには伸びてはいない。
「ミドリちゃん、どうです? 慣れました?」
「なかなか、ですね。やはり私には子育ての経験がないのが、高いハードルですし。ミドリはあのように、私をまるで好いていませんし。それに、向こうの親も手放したくは無いみたいだし……」
ハルカは、ミドリの母と直接の交渉はしていないらしい。
拳道だけを言えば強いのだが、どちらかと言うと杓子定規な程に生真面目で融通の利かないハルカは、基本的には交渉ごとには向かない性格だ。それに、元妻と現妻という関係上、2人の女性の間には、第三者のナミには考えも及ばないような確執やら何やらがあるのだろう。窓口は、完全に須田一本ということらしい。
それでも離婚そのものは当初から大した諍いも無く、非常にあっさり、スムーズに完了しており、須田と前妻との今の関係にも特に問題は無い。そうした前提のもと、まともに話し合いが進んでいるということ自体は、まだましな状況ではある。
「でもカノジョ、この土日もデート、だそうです。いい加減、ムカツキますね」
相変わらず几帳面な様子で丁寧語を使い、けれども話す内容はそうとも言えずに、ハルカがナミに、ミドリの引き取りの話が一進一退であることをさりげなく伝えてくる。向こうの女性の話題に触れると彼女の怒りが呼び覚まされたのか、彼女の拳は拳道者の道場での姿勢を取りかけていた。
けれども彼女はそんな自分に気がつき、一瞬の間を置いて表情を改める。そうして穏やかな声で、
「でも。あの子が、2人だけで一緒にここまで、こんなに長く歩いてくれたのは、今日が初めてです」
そう言うと、少し嬉しそうにナミへと目線を送った。その瞳を受けて、ナミも笑顔になる。
すると。
「ナミ、そろそろ食事にしないか?」
レイジが台所から、皆にも聞こえるように、大きく声を掛けてきた。
――座標軸:風見ナミ
「みなさん、本日はこの風見の家にお集まりいただき、どうもありがとうございます」
レイジを除く客人6人に向け、ナミが軽く挨拶を始める。そのレイジはというと、既にハンバーグを焼き始めていた。ジュージューという音と共に、肉の焦げるいい匂いが漂ってくる。
「ま、ぶっちゃけ今日は、こちらの葉山サキちゃん、彼女に『ハンバーグをご馳走する会』なんですけど、そのメインシェフは2人、メインディッシュも2回です。つまりはハンバーグを2回食べるってことになるんで、皆さん、おなかの具合をよーく考えて、自分のお皿に好きにおかずを取り分けてください」
背後に寄せてある食卓の上を手で示して、ナミは続ける。
「頃合いを見て、後攻のカヤちゃん、そして須田兄ィもハンバーグの調理を開始してください。レイジが今焼いている分が終わって給仕を始めたら、すぐに台所は解放するってことで、予定組んでます。よろしく」
各々が手にお茶、あるいはジュースのグラスを手にしている。前口上に飽きたミドリは、須田の膝の上で既にジュースをちびりちびりと飲んでいた。
「後攻チーム、大丈夫だよね?」
大きな瞳に力を込めて、ナミがカヤ、そして須田兄ィを捉える。
「おお、勿論!」
「そうだよ、こっちのが美味しいよー」
須田兄ィ、そしてカヤ、いずれもが気合いの籠った声を返してくる。
「なので、お腹は、そちらもきちんと食べられるように調整してください。特に、審査委員長のサキは、よろしく、ってことで」
「はいはい」
緊張感も何も無い間の抜けた声で、主賓のサキが合いの手を入れてくれる。
「まー、ハンバーグはきっとどっちも美味しいと思うんだけども。それで、彼女がより気に入った方には豪華賞品がある、ってことで……これはもう、みんな、知ってるわよね?」
ナミが、やや芝居がかった身振りで皆を見渡す。
「テレビドラマ『犬侍』の、劇中歌のプロモ撮影の参加、そして特別先行視聴会、それの参加権利ってやつです。それを選ぶのはサキ本人だけれども、一応、まーみんなでワイワイご飯食べながら、いろいろと遊びましょ。以上!」
そうした前置きの話の間に、部屋にはうっすらとジューシーな香りがほのかに広がり始めていた。小さく、ビチビチと食べものの焦げる美味しそうな音がする。
そうしてナミが挨拶をしている間に、ハンバーグの第一弾が焼き上がったようだった。レイジが、大皿をテーブルへと運んでいる。皿の上には、やや小ぶりのハンバーグがこんもりと盛られていた。
「皆さん、お待たせした。お好きに取り分けていってください」
そう言って皿を置き、続けて彼が台所からハンバーグにかけるトマトソースの鍋を持って来る。焼きたてのハンバーグに熱いソースが落ちると、更にビチビチと実に美味しそうな音が大きく上がる。見た目も赤さが鮮やかに映え、大層綺麗だ。各々が視覚で焼き上がりを楽しんでいると、空腹を刺激する温かくも旨味のある匂いが、強く、部屋中に広がっていった。
皆も立ち上がり、料理の取り分けを開始した。すぐさま彼は台所へと取って返し、第二弾の分を焼きに入る。フライパンの大きさが微妙で、一回に全部焼けないのだ。なんとも辛いところである。
人数に対して部屋がやや狭いものの、それでもそう混乱すること無く、皆が和気藹藹と取り分け用の皿にハンバーグと野菜を乗せていく。ご飯やパン、野菜にスープといった、メイン以外の食事が用意されていたからだろう。安心して各々、自分の皿になんやかやと盛りつけていっている。
子ども枠として優先的に配膳させて貰ったミドリ、そして保護者の須田兄ィとハルカが、後に閊えないようにと素早く盛りつけて席へと戻る。後半のシェフとなるカヤも、素早く、最小限となる味見程度の量を盛りつけて、そそくさと居間のソファへと戻る。肝心の主賓たるサキは鷹揚に、台所の中で未だフライパンの番をしているレイジに改めて礼の声を掛けると、遠慮の無い分量を盛りつけていった。そんなみんなの様子を、自分の皿のことは無視して、サエが「ミドリちゃん、ちょっとだけこっち向いてー」などと声を掛けまくりながら写真を撮り続けていた。
「いただきます」
大きい声が上がり、そして皆がそれに合わせるようにして「いただきます」と唱和する。どうやら、食事のマナーを気にした須田兄ィとハルカの夫婦が、ミドリに手本とばかりに行儀を優先してあれこれと口を出しているらしい。
ナミは、皿の行き届かなかった人の分、そして、ご飯やパン、スープや野菜、それらを皆に勧めながら、お茶やジースの配分を確認していく。問題は無さそうだ。既に、写真を撮りまくっていたサエも食事に突入している。
「美味しい! これ」
最初に声を上げたのは、そのサエだ。
「神矢さん、凄いです」
「そだなー」
それに頷いた声を重ねてきたのは、今日のライバルとなるカヤと、須田兄ィだ。
「へー、これ、ミソジがつくったのー?」
ミドリは、いつの間にか神矢レイジにつけていた筈の新しい綽名「ミソお兄さん」を、「三十路」へと変更しつつ、それでもナミの使い魔が料理をしていることそのものに感心をしている様子だ。
「ミドリ、前にも言っただろう、ワタシの名は……」
全てのハンバーグを焼き終えたレイジがたっぷりいろいろと盛りつけた自分専用の取り皿を抱え、更に変更を重ねた自身への呼び名に対して、ミドリに苦言を呈してきた。
「あれ、レイジさん。ミドリちゃんからは、そんなあだ名貰ってるんですか?」
ミドリと初対面となるサキは、既に姫魔女とは打ち解けているらしく、ミドリの隣に座っていた。そして、呼び名のことを気にして苦情を申し立てているレイジを、からかい半分に見上げている。
「そうだよー。カヤちゃんねーさんとサエちゃんねーさんはね、とってもいいおなまえだね、ミドリちゃんセンスあるね、ってほめてくれてるのにー」
そんな事実は無かった筈だと思ったナミだったが、そうした子どもとおっさんと高校生たちの会話は放置して、ひとまず次の対戦相手のために台所を片づけることにする。
台所に入ったナミは、軽く、自分用によそった皿を口に含む。
肉の焼け具合は程良く、肉汁の旨味とトマトソースの絡みもいい塩梅だ。これまでの練習の成果をきっちり出してきた。そうナミはレイジの師匠のような、あるいは姉のような感覚でその事実を受け止める。いつしかフムフムと頷いて、一人微笑みを零していた。
居間では、レイジがサキを中心に皆に目線を配りながら、トマトソースの手順を淡々と説明していた。料理本のレシピと大差ないが、基本を押さえたシンプルなつくりの解説である。サエからは「煮込みでもよかったですね、この味は」などと、褒めて貰いつつも次の上達を願うというニュアンスの籠った感想を貰っている。
次いで彼は、肉と野菜は、東乃市まで行って調達したことをアピールしていた。タマネギはより甘くて美味しい有名産地の良質のものを。トマトも同様だ。肉屋は有名店へと足を伸ばしたが、「自分は料理にそこまで明るくはないから、せめて素材だけでも良いものを選んだ」などと、恐らくは水無瀬少年辺りに教えて貰った言い回しを使っての解説を続けている。
サエがタマネギの産地について少しツッコミを入れているが、どうやらその産地が彼女の祖父祖母の出身のようで、思わぬところでタマネギ談義が盛り上がりをみせる。須田兄ィはそこに適当に茶々を入れながら、ミドリの手元をあーだこーだと面倒を見ている。
活発にレイジの解説に口を挟むサエとは違い、審査委員長たるサキからは、「美味しー」「ああ、いいですわーこれ」「肉っていいよねー」といった簡単な感想しか出てこない。
2人の女子高生の、食へのこだわりの落差が顕著だな、とナミはぼんやりと居間を見渡しながら、台所を使いやすいように片づけて行く。
気がつくと、彼が適度なところでハンバーグの解説を切り上げ、ナミの手伝いにと台所へと入ってきた。
「レイジ、美味しく焼けたじゃない。良かったわね。それで……どう? みんなの手応えは」
「ああ!」
妙に力の籠った一言で、瞳を輝かせながら彼は頷く。それだけだ。
「カヤちゃん、あまり口出ししていないところを見ると……彼女、何か次の策があるのかしら」
「どうだろうな。ワタシのハンバーグの出来に圧倒され、蹂躙された、といったところなのかもしれんな」
あまり穏やかでは無い言い回しで、彼が自信をたっぷり剥き出しにして、皿の追加を取り出して行く。
「おや。そろそろかな」
そう言うレイジの目線の先に、須田兄ィに声を掛けて立ち上がるカヤの姿があった。
後攻の彼女は、敵の分は味見で充分とばかりに随分と少ない量で食事を中断したようだ。魔力持ちらしく普段はそれなりの量をガッツリと食べる須田兄ィも、同様らしい。2人共、勝負に気合が入っているようだ。
残る皆はまだのんびりと、ハンバーグの肉の話や、トマトソースが合うのはご飯かパンか、といったような話を、笑顔で交わし続けている。人によっては、スープや主食のお代わりも結構進んでいる。
サキが、不器用なハルカに代わって、ミドリの食器回りの様子を見ている。ハルカは逆におっかなびっくりといった様子で、子どもの手元をサポートしたり、しそびれたり、といったところだ。
ミドリが話題に飽きそうになると、サエが子どもに大人気のテレビ番組『にゃんこロイド』の話題をひいて、会話を繋いでいる。
「カヤちゃん、兄ィ、大体オッケーよ。調理に関わらないことだったら手伝うから、言ってね」
「おう! ほんじゃま、ちょっくらお借りするぜ」
「はい。カザミン、お邪魔するわよ。あんたの台所」
どちらも長身となる後攻シェフコンビは、既に清潔なエプロンを身につけ終えていた。
「はいはい。頑張ってねー」
軽く声を掛け、ナミはその場を2人のシェフに譲る。
と、早速、須田兄ィは手元の袋から高そうな赤ワインを引っ張り出していた。
「あ、やっぱりそういうの使うんだ」
つい、目に入ったその瓶に、ナミは台所の2人に声を掛ける。
「そ。やっぱソースを最高に美味く作るには、素材がきちんとしてねーとな」
「そこは同意する、種馬」
既に台所を出ていたレイジがエプロンを外しながら、同意を示して頷いた。
すると須田兄ィはもう一本、今度は白いワインを取り出した。
ワインが2本。だがこの日の主賓は未成年で、飲酒可能な成人の参加者は3人だけだ。そうやって不思議そうな表情を浮かべナミを目線に収めた須田兄ィが、
「あ、こっちもソース用。アルコールは飛ぶから大丈夫」
と、軽く声を掛けてくる。ナミはとりあえずといった様子で納得した表情を示すと、台所のことは後攻のシェフ2人に完全に任せることにした。
「そうだ、ナミ。皿なんだけど、少し汁物が受けられるような深さのある皿って、出せるか? そんなに大袈裟じゃなくて大丈夫なんだけどよ。ちょっとの深さで」
「うん、一応は。そういうのも借りてきている」
「あ、そっか。お師匠さんの食器か、それ」
兄ィも神矢家から借りた食器のことを気にしながら、同時にテキパキとメインシェフであるカヤに、最小限のことばで的確に指示、もしくはアドバイスを送る。
「ほれ、きちんとフランベ。アルコールを飛ばすっ」
「重たいです、須田さん。振れませんよ」
「いや、だからフランベってのは振るんじゃなくて……面倒だ、貸せ」
そんな感じの会話を耳にしながら、ナミは、一応は敵陣となる彼らに遠慮して、食事に興じている残りの面々の様子を見に戻ることにした。
この日の食事スペースとなった居間では、話題は既に拳道と剣道のそれぞれの特徴といった話に移行している。元々、時代劇の話題を除いてそれほど口が達者な方ではないレイジは、既にハンバーグに関して語れるだけの手持ちのネタは尽きたからだろう。完全に聞き役に回っていた。
意外なことに、この場で盛り上がりを見せているのは、普段はどちらかというと人見知りの気のあるハルカだった。それを盛りたてているのが、サキである。
サキが剣道に絡めて、彼女にとっては経験の無い拳道について、ハルカにあれこれ質問をするというかたちで場が進んでおり、ハルカも自身が明るい分野であるからだろう、淀みなく話を続けている。偶にサキがその答えを剣道に引き比べて、差異と、また同義の部分を比較するように上げて行くと、武道に縁の無い文科系少女のサエが「おもしろーい」やら「かしこーい」やらの、ちょっとだけ的外れの明るい合いの手が挟まれる。レイジは、ハルカの拳道者としての技量に一目置いていること、そしてその解説される中身の適切さ加減もあってのことだろう、ウンウンと小さく頷く程度だ。
ハルカとサキに守られるようにして挟まれ座っているミドリが、よく解らない、といった声を洩らしたり、顔色を浮かべたりすると、サキはすかさず、その言い回しをかみ砕いて説明していく。弟たちを長年面倒見てきただけあって、子どもの少ないボキャブラリーから会話を繋ぐことに、彼女は慣れているのだろう。一人っ子のサエや、そもそも一人暮らしの長いナミにはできそうにも無い芸当に、ナミは親しい友人の知らずにいた長所を見出して、驚きつつも微笑んだ。
場の状態は悪くは無い。ナミはそれを見て取ると、レイジの肩をチョン、と指先で軽くつつく。
同時に、念話。
――飲みもの。みんなに勧めて回って――
――了解――
彼が身振りだけで、割と器用に飲み物の減っている人にお茶のリクエストを聞いて行く。
「葉山さんは、剣道は何年程されていらっしゃるのですか?」
年少者に対しても丁寧語を崩さないハルカが、いつものように馬鹿丁寧な口調で、けれども真に関心を込めた声で会話を続けている。
「小学校の高学年からですから、大体5年近くですね」
「5ねんかー。アタシといっしょだね、サキちゃんねーさん」
「そっかー。ミドリちゃんは、5歳だもんね。一緒だね」
「うん。12がつで、6さいになるよー」
ミドリのうしろで、ハルカが声を出さずに、穏やかな表情でしっかりと頷いた。
「そっかー。もうすぐ6歳だね、ミドリちゃん」
「まださんかげつもあるよー。ながいよー。ずっとさきだよー、サキちゃんねーさん」
そっか、と言って、サキは小さく笑って少女の頭を撫でた。
「そう言えば、葉山さんは神矢悟朗君と、お知り合いなんですか」
中学、剣道、ということで、ハルカが連想したのだろう。ふいに思い出した、といった面持ちで彼女は声にする。
「ええ。中学が一緒でしたし。同じ剣道部ですよ」
「ああ、やっぱり」
と頷くハルカに、
「あ、私も中学は一緒ですよー! not剣道でしたけど」
と、能天気な声で、サエが口を挟む。
「そうですね、江坂さんも同窓でしたね」
そう、律儀にサエにも返事を返すハルカを無視して、
「ごろー、ごろー!」
ミドリが嬉しそうに声を張り上げる。
「そうそう、橘さん、ミドリちゃん。サキちゃんは、剣道部で主将だったんです。で、神矢くんは剣道部のエースかな」
そう、サエが更に声を重ねていく。
「やっぱり強いんですね、神矢君は」
ハルカは素直に感心の声を零し、
「ごろー、ごろー!」
と、ミドリは更に一人勝手な盛り上がりを見せる。
話題がいつの間にか、剣道から、ミドリご執心の剣道少年、神矢悟朗の話へとシフトしている。サキは悟朗とは中学の3年間、同じ部で切磋琢磨した仲でもあるだけに、相応に親しい。ハルカも知らない彼の剣道関連のエピソードを、若干話を盛りながらあれこれと繰り広げて行く。
そしてあまりにもあからさまにミドリが悟朗への好意を明言するのを、サキは面白いと見て取ったのだろう。
「ミドリちゃんは、お父さんの拳道よりも、悟朗と一緒に剣道やりたいの?」
と、思いっきり煽る表情でミドリへと顔を寄せ、瞳を落としていく。
「うん!」
「ミドリ、そりゃひでぇぜ!」
すぐ後ろで、須田兄ィの声がする。
「あ、須田さん!」
その声に、今日のカメラウーマン、サエがハタと立ち上がる。
「後攻チームの写真……」
その責務を忘れていたことを思い、しまった、といった顔でサエが声を洩らす。
室内は既に、温かい湯気と、新しい食べもののおいしそうな香りが部屋を満たし始めていた。
「ま、いいってことよ。こっちは殆どあっためるだけだったしな」
そう言いながら、彼は腰を伸ばして全員へと目線を送りながら、
「お待たせしました。第二弾、ハンバーグの出来上がりです。皆さん、ドゾー」
満面の笑みを浮かべて皆を食卓へと誘った。
「フム」と、声を洩らしていの一番に立ち上がったのは、ライバルを迎え撃つ、といった目線で鋭く須田を見るレイジだった。
他の女性陣は、そんなレイジの雰囲気を無視して、
「わーい! 新しい食べものだ!!」
と叫ぶかのように立ち上がったサキを筆頭に、好奇心を湛えた顔でそれぞれ立ち上がると新たに温かい湯気の立つ大皿の待つ食卓へと向かい出した。
「給仕はしますよ」
立って給仕をしていたのは、後攻のメインシェフ、カヤだ。
皿は、少しだけ深みのある、サラダ用の取り皿である。そこに、ハンバーグが並んでいた。
そう。ハンバーグ。
しかし。ハンバーグは、2種類、あった。
(続きます)
藍坊主の曲に『コイントス』というシンプルで真面目な曲があるのですが、実はカヤちゃんのイメージはこの曲に支えられていました。
彼女自身はお笑い担当のキャラではあるのですけれども。芯には真面目なところもある、ということで。
さて、次回は、その彼女の料理、そして結末編へとなだれ込みます。
次回、そしてその次で終了です。この2回は、まとめてアップの予定です。
一応、今週中の完結を目標に、手筈を組んでいます。
今少し、お待ちください。
お目通し感謝です。ではまた。(只ノ)