声が伝える声
また、この世の声ではない"声"が聞こえている。
私は物心がついた頃から、人ではない声が時たま聞こえていた。
その事について両親に話しても、あまりまともに取り合ってはくれない。
もっとも、母親だけは先祖様の供養に熱心なせいか、その手の話に寛容で「そういう人間もいる。あまり気にすることじゃないよ」とは言ってくれる。
ただし他人にいちいち自慢することではない、と教えられてきたために親友のミノリにですら打ち明けてはいない。
「おっはよー、マユ!!」
そのミノリが遅刻ギリギリで教室に入ってきて開口一番、元気よく私に向かって叫んだ。
「ミノリ遅いよ。また先生に怒られる」
「アハハ。面目ない。ユラユラTVが面白すぎてさぁ」
ユラユラTVとは小学生高学年あたりをターゲットにしたであろうテレビ番組だが、何故か高校生の間で流行っており、うちのクラスでも例に漏れず話題になっている。
ちなみに私は何度か視聴を試みたが、どうにも賑やかすぎるのが合わないらしく自然と見なくなっていた。
「もう。録画して帰ってから見ればいいでしょ……」
「リアルタイムで見るから良いのだよ、マユ君。わかるかね?」
「分かりたくありません」
私はミノリの行き当たりばったりな行動に半ば呆れ顔をしつつ、プイッと顔を背けた。
「おうおう……」
と、ミノリは泣く振りをする。
こういうやり取りがケンカしているように見えることもあるらしいのだが、別にミノリに怒っているわけではない。
むしろ彼女とはかなり波長が合う。これが私達の日常であり平常運転なのだ。
「ミノリ」
ふと気になっていた疑問をぶつけてみる。
「ん?」
カラッとした笑顔をこちらに向けるミノリ。
「新しい家はどう? 慣れた?」
「そうだねえ、前の家よりはボロだけど住んでみると悪くはない、って感じかなあ。住めば都ってね。アハハ」
ミノリの家は一週間ほど前に原因不明の火事で消失していた。
幸い怪我人は出なかったものの一家のショックは大きく、ミノリの破天荒な性格を持ってしても流石に堪えたらしい。
翌日から気丈にも学校には出てきてはいたが、生来の笑顔を取り戻しつつあったのがここ二日くらい、といったところだ。
「そっか。生きててよかったよホントに」
「うん」
二人の間に少しシンミリとした空気が漂った。
そこに教室の扉を開けて担任が入ってくる。
「マユ、また後でね」
「あいよ」
そういった他愛もないやり取りをして、ミノリは自分の席へと戻っていった。
彼女を取り巻く雰囲気にどこか陰があるのは、火事の影響がまだ残っているせいだろうか。
昼休みに入るといつものように、ミノリが屋上でお弁当を食べようと誘ってきた。
春の心地よい日差しを浴びながら過ごすこの時間が、私は大好きだ。
ミノリと私は、あの映画が面白かっただの、あの曲は出来が良いだのとくっちゃべっていたが、区切りが良いところで珍しくミノリの方から真剣な雰囲気を持ち込んできた。
「幽霊って信じる?」
あまりに唐突な質問に、私はドキっとした。
「どうかな。信じるといえば信じるし、見えないから信じたくないってのもあるかも」
曖昧にお茶を濁してやり過ごそうと考えた。
今の今までミノリとはこういった話題をしたことは無かったし、あまりしたくなかった。
"声が聞こえる"事が判って変人扱いされるのが怖かったのかもしれない。
「じゃあ、心霊現象に悩まされていると言ったら笑う?」
ミノリはやや曇った表情をしながら続けた。
「心霊現象……? ホラー映画の話?」
話を逸らしたい私は、少し戯けてみせた。
でも実はミノリを取り巻く空気が普通ではない事、それがこの世の者ではない何者かの影響を受けていること、を薄々ながらも感じ取っていた。
彼女が真剣に困っているのであれば、親友としても話を聞いてあげるのが筋ではないか、という疑問も湧いてきた。
「…………」
そのままミノリが何も言わず俯いているので、とうとう根負けして私も真剣に返した。
「どういう現象?」
いつものミノリらしさは無く、悲しいような困ったような少し濁った眼を私に向けている。
「勝手にドアが閉まったり、ケータイが落ちるはずのない位置においた所から落ちたり、他にもポツポツと……」
信じないわけではなかった。むしろそういった事もあるだろうな、という気持ちで聞いていた。
無論、自分の"聞こえる"現象がなければ、とても素直に聞き入れられるとも思えなかったが。
「人のような影が見えるとか、声が聞こえるってことは……?」
「……そういえば、何度か小さい女の子が視界の端を横切ったことがあって……」
唾をゴクンと飲むミノリ。
「確認しようとそっちに視線を向けるともう居ないの」
と、記憶を反芻しつつ話している彼女の顔色は青白くなりつつあった。
普段見せない空気だからこそ、あまりにも真剣で真実味を帯びていて、辛い思いをしている事が伝わってきた。
「誰かに相談した? 親とか……」
「してない。ウチは今はみんな辛い思いしてるし、新たな問題を持ち込みたくないなって」
わがままなようで優しさに溢れているミノリらしかった。
彼女は自分が我慢すれば、場が収まる時によくこういう選択をする。
「そんなに悩んでるなら、親に言うべきだと思うよ。もしかしたら何か分かるかもしれないし。それにあんまり寝れてないでしょ」
「うん、まあね。アハハ……」
目の下にうっすらとクマが出来てたのはそういう訳だったのか、と合点がいった。
結局この時は話がそれ以上進むことはなく、家族に相談してみるということで結論が付いた。
心霊現象と共に成長してきたような存在の私はともかく、日常に突然割り込んでくる怪異の脅威とは如何ほどだろうと想像しつつ眠りについた。
「それ本当?」
翌日になって状況がここまで一変するとは、さすがに想像出来なかった。
私は、ミノリが報告してきた事について全てを理解しきれないまま、阿呆の子のような表情で聞き返す。
「マジマジ。本当。いやあまさか、座敷童子が家に住み着いてたなんてねえ」
どうやら、昨日聞いた心霊現象というものは座敷童子が起こしていたものらしく、ミノリが見た影というのも全て座敷童子の仕業らしい。
オカッパ頭で振り袖を着た少女と聞いたら、確かに心霊に詳しくなくとも知っているくらい有名だし納得できるだろう。
「女の子の霊を見ただけならともかく、ロトくじの二等賞が当たったなんて聞いたら確かにそう思う……」
「でしょ!! やっぱり座敷童子としか考えられないよね!!」
昨日の暗い表情を抱えたミノリは何だったんだろうと思うくらい本来の彼女らしい、いやそれ以上の元気な思いがけない幸運に恵まれた時の人間そのものの、ともすれば目を背けたくなるくらいの眩しい雰囲気を醸し出していた。
「それで結局、怪奇現象のことは家族で話し合ったの?」
「話し合ったよ。それが家族全員、同じ体験をしていたみたいで、お母さんなんかは特に自分がノイローゼにでもなってしまったんじゃないか、てくらい悩んでたみたい」
ミノリの母親と私は面識があるのでよく知っていたが、さすがミノリの親だなと納得できるくらいの明るい性格の持ち主だ。
その母親でもノイローゼ手前に追い込まれるくらいに悩んでいたと言うのだから、どれだけの苦悩であったか。
結局は家族全員が自分の勘違いかもしれないという思いで数日間、互いに打ち明けること無く過ごしていたらしい。
「それでどうしたものかって時にお父さんが、ふとロトくじの当選番号を確認したらまさかまさかの大当選。家族全員ビックリ。みんなが見ていた少女の影は座敷童子なんじゃないかって話になったわけ」
「本当にそういうのってあるんだねえ、流石の私でも腰を抜かしちゃいそう」
少しばかり大袈裟には言ったが、私は本当に驚いていた。確かに昨日まではミノリを取り巻く空気というものが、暗く悪いものに感じられたからだ。
それが今日になって、私の勘違いでしたと言わんばかりの彼女と家族へ降って湧いた幸運。
自分の直感みたいな物が外れる事は、無いわけではなかったが珍しい事だ。
「まあ取り敢えず、心霊現象が悪いものじゃなかったと言うことは伝えておきたかったの。マユにも迷惑かけちゃったし、ね」
「迷惑だなんて、そんな事、微塵も思ってないから安心して」
お互いに笑みを浮かべて、そうやり取りした。
その日、学校から帰って自分の部屋でくつろいでいると、例の声が聞こえてきた。
『見えないのか』
「何が」
『お前の友達の、だよ』
「私は見ることは出来ない」
『あれはちょっと普通じゃあない』
「どういう事?」
『さあな……』
それっきり聞こえなくなる。
声の正体は分からない。
小さい頃からずっと同じ正体不明の人物、というのは可笑しいかもしれないが、そういったモノが私のそばに居ては時々話しかけてくる。
会話めいたやり取りをすることもあるが、何かを一方的に伝えてくる事が多く、今のように何の解決にもならないといったケースもよくある事だ。
そんな事が今では、慣れっこなので気にしないように、いつの間にかなってしまった。
ミノリの事が心配なのは確かだが、良いことが起こったなら、彼女自身が安堵しているなら、それ以上首を突っ込まなくていいじゃないかという思いもある。
"声"が言ったことは気にしないようにした方が良いのではないかと思いに至った。
それからは面白い事に、ミノリと彼女の家族に立て続けに良いことが舞い込んできた。
父親の趣味のゴルフ大会があり、偶然いいスコアが出て最新型のテレビを貰っただの、母親が商店街のくじ引きで旅行券を当てただの、ミノリ自身も難しいと言われていた志望大学の推薦を取るといった、幸運としか言いようのない不思議な出来事が連発しているらしい。
今回の出来事の経緯を知らない者でさえ、今の彼女が置かれている状況を見れば、ある種の神がかり的な偶然の渦の中にいるように見えるだろう。
ついこの間まで心配していた私でさえ……いやもちろん今でも最初に抱いた不安のようなものは消えてないのだが、そんな事を忘れるくらいのラッキー続きの日々である。
ある日の放課後、ミノリが私に一つの誘いをかけてきた。
「マユ、今週の土日は暇?」
「今週は特に何もないけど」
「じゃあ、山に行かない? ほら例のお母さんが当てた旅行券、3人分なんだけどお父さんは行けないって言うから、代わりにマユどうかな、って思ってさ」
「うーん……」
少し考えてせっかくだし行こうかと返事をしようと思った刹那、あの声が私に話しかけてきた。
『ダメだ』
「えっ……!」
日常の、それも誰かとの会話中に割り込んでくるなんて、生まれて今まで数えるほどしかなかったので、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「マユ?」
当然、不思議に思ったミノリがマジマジと私を見つめる。
『命を失うだけでは済まなくなるぞ』
"声"は脅しをかけるように尚も続ける。
『この世とあの世のどちらでもない存在だ』
全く何を言っているのか分からなかったし、聞き返した所で答えが返ってくるはずもないが、私に対して強い警告をしている事だけは理解できた。
今までこういった切羽詰まった感じの声を聞くのは二度ほどあった。
一つは、祖父が亡くなる時。
一人暮らしをしていた祖父は心臓発作で亡くなったのだが、家族にも弔報の連絡が行かないうちに、"声"は私に対して教えてくれた。
まだ老人施設へ入るような歳ではなかった当時、まさか何の前触れもなく突然死することなど、誰も想像し得なかったが"声"のおかげで駆けつけた私によって発見された。
私が行かなければあと数週間は発見が遅れただろう、とそれから後に知って悲しくなったものだ。
もう一つは、父親がバイクの事故に巻き込まれそうになった時だ。
私が小さい頃、週末になるとバイクで遠出をしていた父。
その父が出かける準備をしていて、私は母親となんとくなく話をしている時に『父が死ぬ』という声が聞こえた。
その時は声のメッセージの信憑性がどうこう考える頭など無く、ただただ父を失うかもしれない一心だけで泣いた記憶がある。
私が泣き止まず「行かないで」と尋常じゃないほど繰り返すので、逆に私の頭がどこかオカシクなってしまったのではないかと心配になった父はとうとう外出を諦めた経緯がある。
これもまたその後に知ったことだが、父の行くはずだった場所で大きな玉突き事故があり多数の人が亡くなった事件があった。
父が巻き込まれていた、という確証はないのだが"声"の言った内容と照らし合わせると、とても偶然と笑って過ごせる出来事とは思えなかったのだ。
この二つの経験から、今回のことも只ならぬ事態になる確率が高いという強い想いが頭をよぎった。
「マユ、どしたの?」
会話の途中で突然黙ってしまった私に、ミノリが問いかけてくる。
「あ……、いや、その」
思いもよらぬ、第三者の突然の介入によってスッカリ混乱してしまった私はとっさに言葉が出てこない。
「具合でも悪くなった? 保健室に行こうか?」
と優しく気を使ってくれるので、私はついに、彼女を失ったらどうしようという気持ちと、父や祖父の体験が走馬灯のように頭にフラッシュバックしてしまい涙が出てきてしまった。
「ううっ……、ミノリだめ。旅行には行かないで」
「ちょ、ちょっとどういう事……。どうして泣いてるわけ?」
至極もっともな疑問であるが、順を追って全てを説明するのは困難であると思われた。
今この場で私に出来るのは、泣きじゃくってみっともない思いをしてでもミノリを止めることだけであった。
今回の出来事をミノリに一から全て説明するのは難しかった。
それでも嫌な予感がすることを、声の存在は伏せつつも、父や祖父の例を出して彼女に対して懸命に伝えた。
その事について教えてくれてありがとう、と言いつつも「気のせいだよ。座敷童子が付いてるんだし大丈夫大丈夫」と笑うミノリに、私は結局この時はそれ以上の切諌を断念せざるを得なかった。
そしてとうとう旅行の日が来て、ミノリとミノリの母は二人で旅行に出かけてしまった。
私はその日、目が覚めた時から猛烈な頭痛と吐き気に襲われていた。
とても嫌な予感がしているのだ。
その証拠にまた"声"が聞こえている。
『親戚縁者……』
『悲しみか……』
"声"のトーンもいつもより低い。
『聞いてるのか?』
色んな心配事が頭の中を巡り巡っていたので、その問いが私に向けた物だと気づくまでに少し時間を要した。
「えっ? 何?」
『オカッパ頭の少女は危険だと言っている』
「オカッパ頭……。もしかして、座敷童子のことを言ってるの」
『あの少女に縁ある者が俺に告げているのだ』
「ミノリのこと? ちょっと……!」
いつもの様にまともな言葉のキャッチボールにならず、私はつい語気を荒らげてしまっていた。
『死ぬぞ』
「もういい!! 電話して止めてみせるから」
空虚に向かってそう言い終わるか終わらないかのうちに、ミノリに電話をかけていた。
やはり最初から感じていた違和感は間違いなどではなかったのだ。
座敷童子の話を聞いている時でも、常にどこか喉の奥に異物がつっかえているかのような不安と違和感があった。
多分ミノリと家族が見たものは座敷童子などではない。もっと異質の、この世に存在してはいけない者だろう。
携帯のコールが二度三度と鳴り続けたところでミノリが電話に出た。
「ミノリ、お願い。何も言わず今すぐ戻ってきて」
「ちょっとちょっとどうしたのかね、そんな切羽詰まった声で。今から電車に乗るところだよー」
明るく脳天気な調子で応えるミノリ。もっとも旅行を楽しみにしているのだから当然なのだが。
「ミノリとママが死んじゃう! お願い……どう言えばいいのか分からないけど信じて欲しい」
私は頭が悲しみという感情に支配されていて、理論立てて説明することなどとうに出来なくなっていた。
「怒るよマユ。死ぬとかなんとか……。この間から変だよ。何? 羨ましいからそんな事言うの?」
彼女の怒りも無理は無い。楽しい旅行の最中に死ぬなんて脅されたら、どんな聖人でも良い気はしないだろう。
『"ルビーのネックレス"と、それに"納屋で火遊び"』
「何」
どう説得しようか迷ってると、電話の最中にまたしても声が語りかけてきた。
『縁ある者からの言葉だと伝えろ』
声が助言してくれるなど初めての体験だったかもしれなかったが、この時はそんな事を気に留める余裕もなかった。
「ルビーのネックレスと、納屋で火遊び」
声に言われるがままに、私はミノリに伝えた。
「ルビーのネックレスと納屋で火遊び、ってどういう意味……えっ、ちょっとママ」
何やら電話の向こうで揉めている声が聞こえる。
しばらく言い合ったのちに、ミノリの母親が電話を代わった。
「マユちゃん久しぶりね。今の話を誰に聞いたのか聞かせてくれる」
私は思いがけない展開に少し戸惑ったが打ち明けることにした。
「ミノリに縁ある人だと言ってます……。私は詳しくは知らないけどその人が旅行をやめろって私に言うんです」
「そう……。参ったわね。私とおばあちゃんしか知らない話なのよ。昔、私が小さい頃にね、私のおばあちゃんの家に行った時にルビーのネックレスを持ちだした事があったのよ。そして納屋に持ち込んでそのまま好き勝手遊んだり、火遊びしてる所をおばあちゃんに見つかって酷く咎められた事件があったの。まさかそれをマユちゃんが言い当てるなんて本当にビックリしてるのよ」
ミノリの母親は自らエピソードを一息に語ってくれた。
「私じゃなくて縁ある人……ミノリのお母さんのおばあちゃんって事になりますね。その人が私に教えてくれたんです。」
「だからこそ信じるのよ。嘘や冗談を言ってるとは到底思えないもの……。それで、旅行は中止したほうがいいのね」
「はい。楽しみにしてたと思うから言いにくいんですけど、今すぐに電車に乗るのをやめて引き返してください。ええ、ミノリにも……はい。よろしくお願いします」
そんなやり取りをして私は電話を置いた。
「ありがと」
"声"に対し、私は思わず礼を言っていたが当然ながら返答はなかった。全く不思議な奴だ。
旅行から引き返してきたミノリと母親そして私の三人が、驚くべき大惨事が起こってしまったのを知ったのは夜のニュースだった。
二人が乗るはずだった電車は線路に置いてあった石を踏み敢え無く脱線、そのまま車体が横転し多数の死傷者を出した。
石は何者かによって置かれた形跡があったが、犯人を特定するのは困難であるとの見方だ。
ミノリはすぐさま私に連絡を寄こし、今度のことに感謝していた。
ちなみに事故を回避してからは怪異も幸運もピタッと止んだようで、良いのか悪いのかなんて苦笑いしているミノリの顔が印象的だった。
ミノリのママも「おばあちゃんの供養、もっとチャントしなくちゃいけないわね」と言って早速お墓参りに行ったらしい。
私は何もしてないのだ。ただ"声"に導かれるままただただ従っていただけだ。
"声"が何者かは恐らく生涯判ることはないだろう。それでも私はそういうのも悪くないな、と思っている。




