13王都陥落
全ては亜貴の計画だった。レンがそれを知ったのは、命からがら王都を脱出した後のことだった。
NPCの施政者が支配していた王都は、亜貴という一人のプレイヤーが頂点に立つ、異色の都市へと変貌していた。どうやったのかは分からないが、今や王国は亜貴をリーダーとする集権国家に変わっている。全てのプレイヤーを排除することを至上目的とする彼女に、それだけの無制限の権力を与えてしまえば、どういうことになるのかは想像に難くない。
全土にお触れが出された。プレイヤーはそのすべてを抹殺すべし、という過激なものが。
思想だけ垂れ流しているのなら、まだ恐れる必要はない。むしろ思春期特有の病気かと、鼻で笑ってやれる。しかし、亜貴は実際にそれを実行するためのプランさえも周到に用意していた。
接収された王族直轄の商店に無料で配布された魔道具。誰が作ったのかわからないが、鉢植えの形をしたそれは、近くにいる人間が、プレイヤーなのかNPCなのか判別する機能を持っている。魔女狩りの道具としてこれほどふさわしいものはない。武器屋や宿屋を利用しようとした冒険者は、自動的に踏み絵を踏まされ、黒だと判断されれば、問答無用で処断される。この炙り出しで、王都に潜んでいたプレイヤーの半数近くが消されたようだ。
亜貴から貰った生存者数を表示する魔道具。新たな法が施工される前は、
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だったのが、一晩のうちに
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に変わっていたのだ。宿屋はもはや安心して眠っていられる場所ではなくなっていた。レンたちが泊まっていた宿屋にも官憲の魔手は伸びてきた。対人用にカスタムされた装備を身につけたNPCの秘密警察が、黎明に踏み込む。起き抜けで頭の働かない冒険者は一発でアウトだ。
身の危険を感じたレンは着の身着のままで、宿屋を抜けだした。ヤマメとメフィに知らせる暇はなかった。自分が生き残ることだけで精一杯だったのだ。気配察知がなければ、レンも捕まって殺されていたのだろう。
大通りを歩いているだけで、レンは浮いていた。多くの商店の店先に置かれた鉢植えが反応しているのだ。近くにプレイヤーが居ると、周囲がざわめく。平静を装いつつ、騒ぎに乗じてその場を離れたが、一瞬の後に秘密警察が殺到してきて、交通規制を始めたのを見た時にはゾッとした。本当に刹那の差で難を逃れたのだ。肌で危険を感じ取っているのか、王都を出るまで鳥肌は止まらなかった。
大きな店を避けるようにレンは中心部から離れていった。中心部にはそのような商店が数多く出店しており、移動には慎重に慎重を重ねる必要があった。しかし外縁部に近づくにつれ、店の数は減っていき、大雑把に迂回するだけで回避できるようになってきた。
そうして油断させるのも作戦のうちだったのかもしれない。ようやく外周門にまで辿り着いたレンを出迎えたのは、聞き知った声だった。
「よう、王都を出るつもりなのか?」
人ごみからヌッと伸びてきた太い腕に掴まれた。振りほどこうにも、巌のような堅さで身動きが取れなくなった。
「リュウ、だったか?何の用だ」
「分かりきったことを口にするなよ。……ただ逃げられるとでも思ったのか?」
「……お前はこういう小細工は好きそうなタイプには見えなかったがな」
「好きか嫌いかといえば、嫌いだな。けどこれも、姫さんの計画だからよぉ。口出しなんて畏れ多いぜ」
「姫さん?亜貴のことか」
亜貴が強力な組織を作り上げ、何か計画を進めていることには気づいていた。レンはそれに協力するように要請されていたのだから。どうやら王都で起こっている今の騒動は彼女の企図したもののようだ。どうやったのかは知らないが、リュウという男も配下に加え、計画を促進させたようだ。
「ああ、伝言。”時間切れ”だそうだ」
レンは薄く唇を噛んだ。亜貴に求められていた協力関係の期限切れを示しているのだろう。協力することはあまり乗り気ではなかったが、悩んだ末に決断するのではなく、状況が大きく動いたことでの時間切れという幕引きは、レンの望んだものではなかった。
「だったらもう用事はないだろ。手を放してくれ」
掴まれた部分に血が通わず、痺れてきていた。一向にリュウの手が離れる様子はない。
「おい……」
「逃がせ、って命令受けてるんだがよ。遊び足りねえ」
蹴られた。そう脳が認識した時には、既にレンの体は宙を舞っていた。レンの体を片手で持ち上げ、全身を捻ったリュウが、回し蹴りの要領で自分を蹴飛ばしたのだと理解するのにはさらに数秒が必要だった。その間に蹴りあげられたレンの体は、大きく吹き飛び、建物の壁に激突していた。
肺から空気が残らず逃げた。脇腹の熱さは、HPゲージの減少から、痛みだと判断できる。
「……が、ヤル気のない奴と戦うことほど退屈なこともない。見逃してやる。行け」
「……気に入らないから一発殴ったとでも言うつもりか、まったく脳筋の思考はわからないな」
腹部の痛みを気合でごまかして、強がった。一言話すために呼吸をするだけで、引きつったように腹筋が暴れ狂う。正直、限界だった。
門に他の見張りはいなかった。亜貴に”逃がされた”レンは惨めな逃避行を続けた。王都からまっすぐ南下しながら、たびたび生存の魔道具を確認する。生存者数は次々に減っていき、夜を迎える頃には、
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にまで落ち込んでいた。
事実上の王都の支配者となった亜貴。配下のトラップメイカーがテイミングした魔獣の類を番犬がわりに王都に放ち、精強な魔物の軍団を作り上げた。元から王都に存在していた騎士団も徴収し、配下に組み込んだため、その軍事力の増強はとどまることを知らなかった。
表の世界のあらゆる組織は、彼女に傅き、忠誠を誓った。カーズドワールド全土に支配権を強めていく亜貴。誰が呼び始めたか、王都は魔都と呼ばれ始め、そこに君臨する王として亜貴は魔王、と呼ばれ始めていた――
バルサは苛立っていた。原因はすぐ近くでラッパ飲みをしている下品な男のせいだ。バルサが注いだコップだというのが、また腹ただしい。初めからこの男は気に入らなかった。だから彼の言うことやること、全てが気に入らない。まるで自分をイライラさせるためだけに行動しているんじゃないか、と半ば本気でバルサは思った。
「おかわり!」
「私は給仕ではありません。ご自分でどうぞ」
「え?メイドさんって給仕じゃないのか?」
「メイドではありません。少なくとも亜貴様の命以外でこのような服を着ることなどありません」
「へー。じゃあそのメイド服は、姫さんの趣味か」
なんだかひどく馬鹿にされた気がして、無性に腹がたった。だからこの男は気にいらない。
「……不敬です」
なぜこのようなガサツな男を幕下に加えたのか。主の判断に疑問を挟むわけではないが、そう思わざるをえない。主に膝を折ったもう一人の同僚。エルフ男のグラビは、細やかな気遣いもできる男性だ。目の前の暑苦しい男とは似ても似つかない。なにより、自分と同じく主に絶対の忠誠を誓っている。バルサにとっての判断基準はそこにあった。バルサもグラビも、共に主にその血の一滴まで捧げた奴隷である。なのに、この男――リュウはどこか反抗心のようなものが心の奥底に残っている気がする。それが、自分をイライラさせる諸悪の根源なのだと、*は唐突に理解した。
「なあおい。俺を嫌うのは構わないがな、せめて職場の同僚くらいの最低限のコミュニケーションは頼むぞ」
「そうですね。確かにやりすぎました。申し訳ありません」
わかってしまえば話は早い。主の意図が分かったのだ。リュウは主の配下に加わったと言えども、ある程度自由意志を持ったままだ。反逆を狙っているフシもある。そこを見極めるために、見張り役として自分が選ばれたのだろう。そうでなければ、自分がリュウの世話を命じられるはずなど無いのだ。そんな仕事はNPCでもできる。自分はもっと重要な仕事を任されるべきだ、とバルサは考えていた。
バルサは昨日行われた、王都陥落作戦の第二段階を思い出した。バルサはその作戦の中で非常に重要な役割を果たしていたのだ。
リュウに屠られたモンスター、ピクシー。戦闘で全て消費せず、一体だけ温存しておいてよかったと、心底思う。主に命じられた任務は、ピクシーをテイミングして配下に加えること。ただのお使いではあるが、その命令が主の瑞々しい唇から紡がれれば、言葉は光を帯びて金科玉条に変わる。喜び勇んでバルサはピクシー捕獲のために郊外へ向かったのだ。
その道中で、主の知り合いであるらしいレンという少年に出会い、気になっていた辻斬り騒動調査の協力を約束する。ピクシーを捕まえた帰り道、レンとともに夕暮れの街を探索し、見つけたのが、辻切りの犯人とそれを殺したリュウの姿だった。
その時は早とちりをして、リュウを下手人だと勘違いして、突っかかってしまったのだが、思えばアレが自分とリュウの因縁の始まりだったのだと思う。別段リュウと仲良くしたいわけではないが、第一印象が最悪になってしまったのは、手痛い失態だった。まさか同僚になるとは、想像できなかった、という言い訳はしたくない。
主に言われていることだ。潜伏活動中は他のプレイヤーの敵意を無駄に買わない。もし敵対してしまった場合は、最悪処理することまで視野に入れろ」と。
その言葉を守れなかったことが悔やまれる。今更リュウを殺すわけにもいかない。なによりそんなことは無駄だ。せめて、任務だけは円滑にこなせるように、馴染む努力をするしか無い。
リュウとの出会いは、主の介入で幕を下ろした。お互いに戦いたかった様子だったが、レンの仲裁もあって、即殺し合いという気は削がれてしまっていたように思う。結果として、引き分けのような形で、引き上げることになったのだ。
バルサはリュウに負けている。そのせいで、主の名を貶める事だけはなんとしても避けたかった。もとより、自分が未熟なこと位は承知している。けれど、それが主の無謬を傷つけることだけは許せない。その強い感情が、リュウとの間に深い溝を掘ったであろうことは想像に難くない。
主に命じられた任務自体は、案外あっけなく成功した。ピクシーを全て損耗していれば刎頚モノの失態だったが、一体残しておいた事で、滞りなく事態は推移した。
主はつい先日、作戦の第一段階として王家の血を継ぐ幼子の王子と仮初の婚姻を果たしている。どうやってその同意を取り付けたのか、社会常識をぶち破るような、大胆な発想で、名ばかりの王族の仲間入りを果たした主は、王国掌握に向けて、次なる一手を打ち出した。
それが今回の任務。ピクシーの幻惑の魔法を利用した、王の精神破壊。王都陥落作戦の第二段階。王を操り、国を乗っ取るなんて、ベタベタのRPGの悪役のようだ、と思って主に尋ねると、RPGの悪役の行動を参考にしたと言っていた。主はあまりゲームには詳しくなさそうだが、カーズドワールドにダイブするにあたって、一週間ほど古今東西の有名ゲームを調べたそうだ。今回の作戦の着想はそこから得た、と言っていた。
テイミングされたピクシーは、バルサの思う通りに動かすことができる。本来であれば、方向性の定められ、定式化された一定の命令しか出せないはずだが、主から教えられた世界の秘奥を参考にして、スキルを改良していった結果、ある程度意のままにペットモンスターを操ることができるようになったのだ。
「賢しい人間なら、この世界の法則に気づいている奴は何人もいるでしょうね」と主は言っていたが、ゲームの一要素にすぎないスキルについて、そこまで深く洞察研究し、しかも成果を上げることができるプレイヤーが主の他に存在するのか、バルサには疑問だった。
もっとも主に関することにはフィルターがかかっているのは自分でも薄々分かっているので、過大評価なのかもしれない。他にもスキルの秘密に気づくプレイヤーは居るのかもしれない。少なくとも自分には無理だ、とバルサは思っていたが。
ともあれ、作戦は成功した。主の助言を得てテイミングのスキルを自在に使えるようになっているので、王を操ることも容易だった。王宮で錯乱した言動を行わせ、重心の何人かを処断させることで、王へと向かう臣下の心を逸らす。バルサは、その作戦が笑ってしまうくらい思惑通りに言ったのを見て、王国という組織への蔑みの念を強くした。
もし自分の主が狂ったような理解不能の行動をとったとしても、私だけは絶対に裏切ったりしない。バルサから見ると、王国の臣下の態度はとにかく仕える王への心服が足りないように思える。例え殺されようとも主の手にかかって命を昇華するのならば本望だ。とバルサは思ったのだ。
臣下の心が王を離れたのを見計らって、王族として国権を掌握した主は、「王を療養させる」という名目で、長い間破棄されていた大昔の牢獄塔を改修して、王をそこに放り込んだ。そんな横暴は許されないと言って、反論した臣下は多くいた。乱心した王は完全に見限られたわけではなかったのだ。それを聞いて、バルサは王国の臣下に対する認識を改めた。
そして、そうやって王の幽閉に反対した者たちは、次の日、行方知れずになった。それで、残った臣下は主の言いなりになった。主の粛清は苛烈なものであったが、それは逆らうものには容赦をしないという、一種の儀式のようなものでもあったのだ、とバルサは思う。主が暫定的な最高権力者となり、矢継ぎ早に繰り出す指示は誤ったものが存在せず、短期間にその効果を実感できる政策ばかりだった。そうして人心を掴んだ直後に、主が出した布告こそがこの作戦の本命だった。
第三段階。第二段階の目標が、最高権力の掌握までだったとするならば、これより先の第三段階は最終段階とでも呼べる目標を掲げている。すなわち、カーズドワールドのプレイヤーの鏖殺。
手始めに、公共機関からすべてのプレイヤーの締め出しが行われた。エルフのアルケミストのグラビが錬金のスキルで作成した魔道具は、スキル応用によって、その効果の幅を大幅に拡大していて、プレイヤーとNPCを判別できる能力を備えていた。大量生産されたその魔道具を、接収した王国内のショップに配備。それを利用したプレイヤーの締め出しを行ったのだ。
最初はプレイヤーの補給拠点でもある、武器屋と道具屋。その次は冒険者であるプレイヤーの収入源である冒険者ギルド。最後に宿屋。そのすべてからプレイヤーは締め出された。捕らえられた間抜けなプレイヤーは次々に処断されていった。グラビが錬金で創りだした、残存プレイヤー数を表示する機器で見ていたバルサは、その迅速さに戦慄した覚えがある。
王都からプレイヤーの姿は消えた。残っているのは主に忠誠を誓った数名の部下と、主だけ。最初期からいたバルサとグラビ以外にも新顔が二人いた事に不満を感じたが、バルサが最も驚いたのは二人の内、一人についてだった。
「お前は……!」
いつの間に主に取り入ったのか、あの辻切り事件の容疑者が、そこには居た。バルサは不本意にも敗北してしまったが、主と彼の間に決着は付いていない。それが何故ここにいる。何故主の配下になったのだ。彼と主との間に、自分があずかり知らぬ「何か」が在ったであろうことが、バルサをたまらなく不快にさせた。
「よう姉ちゃん。久しぶり……というほど前のことじゃあ無いが、なんだか懐かしく感じるぜ」
敵意や殺意のような鋭いものを、軽薄さという薄い衣で覆ったような、聞き覚えのある口調を再び聞いて、バルサは思った。彼と自分は不倶戴天の敵同士なのだ、と。
バルサが主から、彼の世話を言いつけられるのは、その数日後のことである。
あれからひと月が過ぎた。カーズドワールドの世界は、まさしく魔王が支配していた。魔王が討ち漏らした少数のプレイヤーは、ゲームの目的である魔王の撃破だけを一心に目指していた。
ある者は、現実世界への帰還を誓い、ある者は、魔王に殺された仲間の復讐を誓い、またある者は、ばらばらのプレイヤーたちを結びつけ、団結することを誓い。
そうした人間、プレイヤーの集まりは、”勇者互助組合”という最大規模のギルドを生み出していた。参加する人数は、残されたプレイヤー27人のうち実に八割。魔王自身と、その四人の配下がその27人に含まれていることを考えると、できうる限り最高規模のギルドに成長したといえるだろう。
そんな多数派に同調したがらない自分は、ひねているのだろうか、とレンは自問した。同時に思う。多ければ正しいのか。少なければ間違っているのか。魔王亜貴の掲げる鏖殺の目的と、魔王打倒を掲げる”勇者互助組合”のどちらが正しいのか。どちらも同じ事を言葉を変えて主張しているだけではないか。耳障りの良い言葉で誤魔化している分、”勇者互助組合”の方が悪辣ではないか、とレンは思う。とはいえ、レンがどちらに味方しているというわけでもない。今は、離れて事の成り行きを見守っているだけだ。しいて言えば中立、といった立場になるのだろう。もっとも他には誰もいない。レン一人だけの勢力とも呼べないような存在だが。
けれど、人数だけが力ではない、というのは嫌というほど思い知っている。現に今も、たった五人の勢力である魔王軍は、破竹の勢いで全土を制圧している。”勇者互助組合”はレジスタンスのように、各地で抵抗運動を続けているが、未だ魔王軍に有効打を与えたことはない。劣勢というのもおこがましい。勢力としては、大人数を擁するはずの”勇者互助組合”は下の下だった。だったら、自分一人でも何かができるはずだ、とレンは考える。
「亜貴にできてオレにできないことはない」
独り言のように口をついた言葉だが、頭の中で考えるだけでなく、耳から入って冷静に聞いてみると、なんとも無茶苦茶な精神論だと、自分でも笑ってしまいそうになる。そもそもからして、亜貴とレンの間には友情以外の接点など無いのだ。能力ではそのすべてが亜貴が上回っている。自慢できることといえば、やりこんできたゲーム数くらいだが、それがたまらなく頼りない。自慢できることなどではないのだ、と弱気が押し寄せそうになる。
思い切り頬をつねった。
大昔も昔。ダイブ技術が発達していなかった頃。人類が夢をコントロール出来ないものとして、さじを投げていた頃。その頃は、夢と現実を区別するための儀式として、こんな他愛もないことをやっていたらしい。今レンに必要なのは、それだった。何が真実で何が虚構なのか。それを見定めること。
それまでこの放浪の旅を続けよう。それからどちらの勢力に肩入れするか、あるいは独立勢力として立つのかを決めよう。
もしかしたら、レンが悩んでいる間に、”勇者互助組合”は魔王軍に滅ぼされつくされているかもしれない。それならそれでいい。たった五人に抗する事もできない集団など斃れてしまえばいい。
そう、独りごちた。
荒野を完封が吹きすさぶ。ここまで僻地には魔王軍も”勇者互助組合”もやってこない。しばらくゆっくり自分を見つめなおすことができそうだ。
レンは、たった一人でその草も生えない荒野を踏みしめ、どこともしれないどこかへと歩き去って行った。
第一部終了です。